湯治4(変態さん)

「…着いてきてる気配は…ないな?油断はできないが。流石上忍だな」
「わん!」
「お?アレお前」
「くぅーん」
「見たことない犬だが…どうせ駄犬の犬だろお前。話せるのはわかってんだ!白状しろ!」
「ぐえ!せ、拙者はその!」
「犬にまで変化って言うか犬に変化させてどうすんだ!?…って駄犬になに言っても無駄だもんな…」
「お主の様子が心配だと主が…」
「お前の主人の頭の中の方が心配だろうが!」
「それは否定できんが、様子が普段と違うから心配だと…」
「心配する位なら普通に生活させてくれ…」
「あーその。すまん」
「お前の責任じゃないだろ。怒鳴って…あと耳つかんで悪かった。ごめんな」
「…主がまだ本の幼き頃より側におったしのう。少しはわしにも責があろうて」
「そか。アレにも子供時代が…」
「白い牙の息子として見られることが多くてのう。しかもその期待を十分に満たすだけの能力があった」
「へー?まあそうだな。アレの神出鬼没さとか考えると腕は死ぬほどいいもんな」
「七光りよとそしられることもあったが、そんなものはすぐにふっとんだわい」
「七光り…か。親御さんはどんな人だったんだ」
「あーその…ちょっと抜けてはおったが。父親の方は戦場では鬼神のごとき強さを誇り、素早さでも郡を抜いておった。しかもじゃな!顔も良い!」
「へー…そういや父親に似たっていってたもんな」
「女にもてるのに鈍感というか朴念仁というか」
「強くて女に持ててストイックか…そりゃうらやましい。駄犬はそこは似なかったんだなぁ。隙を見せればおったてて…!」
「じゃがのう…嫁とであってからは…」
「お、おい?なんで声のトーンそんなにおちるんだ!?…なんかこう重要すぎる話を聞いた気がするんだが!?そ、そこをもっと詳しく教えてくれ!」
「キャイン!」
「へ!?あ!消えた!っつーかあれか!?敵襲!?」
「敵!?敵がいたんですか!間男ですか間男ですか泥棒猫ですか!?俺の大切な大切なイルカせんせいのお尻は無事ですか!?」
「うるせー!やっぱりいたな!敵っていうか…まさかお前が犬になんかしたのか!?」
「イルカせんせ…!うちの子相手でもあんまりいちゃいちゃしちゃだめですよ…!」
「なんで目が血走ってんだ!?落ち着け!」
「わんわんプレイならそこの茂みででもすぐ…!」
「しないにきまってんだろうが!…約束を、覚えてるな…?」
「緊急事態でしたもんね!敵がきたらいつでも俺が駆けつけますから…!」
「いらん。…くそ…!あの犬なんか知ってそうだったのに…!」
「しばらくは付きっ切りで護衛しますから…!安心してください!」
「…犬出せ犬。お前がいることも特別に許可してやる。少しの間だけならな」
「パックンに見られながら、か…。ちょっとそれは…」
「何考えてるかしらんがしないぞ!?何する気だ!?」
「いやん!イルカせんせのエッチ!」
「お前にも羞恥心があったことに驚いたが。…まあいい。犬がいないなら失せろ」
「お、俺が今すぐ…!」
「さっきの犬だといったはずだが?約束破りのペナルティを大目にみてやろうとしてるのになぁ?そんなに踏まれたくないのか?」
「パックン。イルカせんせにちょっとでも触れたらお前でも…」
「えらい目に遭った…。お?またか」
「詳しく話を聞かせろ!」
「…やれやれ…」

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変態さん。
温泉にたどりつかない…。
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