湯治10(変態さん)

「つまりじゃな。構いすぎじゃ」
「なんで?どこが?魂の片翼!永遠の番!唯一無二の大事な人なんだから、ずーっとずーっとは離れないでいるのが普通でしょ?」
「程度の問題じゃろが!」
「父さんはそうしてたよ?」
「うっ!それがそもそもの問題というかじゃな…普通の人間にはぷらいべーとというものがあって」
「母さんもずっと父さんくっつけてたし?らぶらぶって憧れだったんだよねぇ…!先生のとこもそうだったよね。割と」
「…嫁の器が大きすぎたからな…。よいか?適度に一人の時間を作ってやるというのも」
「無理。離れたら死んじゃう!」
「…何でそんな所まで似たんじゃ…!破天荒な所は嫁似じゃし…!」
「そ?母さんはにこにこ笑ってたとこしか覚えてないからなぁ。イルカせんせも笑顔がかわいいっていうかもうもう!その辺ってやっぱり遺伝?」
「だがのう。若造を見てみろ。久しぶりに熟睡できたと言っておったぞ?薬や術でどうこうするよりこうしてゆっくりと休ませてやるのが番としてのつと…」
「ホントかぁぁあわいぃ…!どうしよ!ちょっとだけなら舐めてもいいかなぁ…!」
「駄目にきまっとるじゃろうが!」
「えー?でもぉ。よーっく眠ってるし!ほっぺとかお尻とか息子さんにちゅーくらいなら…」
「だー!?いい加減にせんか!様子がおかしいから見張れといわれたときに、ワシが言った事を忘れたか!」
「忘れてないけど!ちゃんとイルカせんせとの約束守ったもん!だってほら気配だって消してたし!結界張って!」
「…ワシからは丸見えだったがな。抜きすぎで死ぬなよ?」
「イルカせんせをみてるともうね…!とまんないよね!たまらなく色っぽいしかわいいしほっぺ真っ赤にして睨まれたりしたらもうそれだけで出ちゃいそうっていうか!」
「コイツは中忍じゃ。それは分かっとるな?」
「知ってるよー?経歴とか交友関係とか全部余さず調べたし!中忍になりたての頃とかすっごいかわいかった…!っていうか赤ちゃんのときから天使だよね!もう出会った瞬間に俺の物に…」
「はぁ…」
「でも強いのよね…。余裕で上忍狙えると思うんだけど、里で安全な生活して欲しいしぃ…!それにほら、外に出すと間男が、ね?中にいても色々面倒だけど守りやすいし!」
「まあ男ぶりは良い方じゃな。面構えはかわいいとは到底思えんが男らしい顔つきしとるし、お主がくっついておらんかったらそこそこの女子と所帯を持つことくらいは…」
「あ、その辺は欠片も残さず存在から抹殺するから大丈夫!」
「不憫じゃな…流石に。とにかく。このままではこの中忍は早晩精神に限界が…」
「んー?だいじょぶでしょ?だってイルカせんせいったらすっごく強くて逞しいもん!体も鍛えててさわり心地とか最高なんだけど!心もさいっこうなのよ?もうね。かわいいしかっこいいし!」
「…強いのは認めとる。図太いというか、ご主人とつきあえとる時点で普通じゃなかろう」
「間男からはちゃぁんと俺が守るもん!泥棒猫からも!あとイルカせんせの幸せを邪魔する奴等なんて存在すら許さないから!でも確かにかわいすぎて狙われちゃってるから、負担になってるね…やっぱり里の男全員消すべき?」
「待て待て待て!?本気じゃろう!?落ち着け!それこそこの中忍が死ぬぞ」
「えぇ!?どうして…!?」
「ええい!良いか?この中忍はどこまでも至極真っ当な人間じゃ。どっちかというと堅物なほどな」
「遠慮深いよねぇ…!結婚の暁にはこの大陸ごとプレゼントとか思ってたんだけど、そんなとこも大好き!だからとりあえず新しいおうちのお披露目はバレンタインにしようかって…」
「小さな幸せを喜ぶじゃろ?コヤツは。毎日とは言わんが、美味い飯を食わせて、風呂もひとりでじっくりたのしませて、たまにはゆっくり眠らせてやれ。愛情というのはやればいいというものでは…」
「ご飯はいつも美味しいって褒めてくれるしぃ!お風呂はヤル前は最近一人が多いかも!最近なんて外でいい子で待ってると褒めてくれるんだから!ま、終わってからは俺と一緒だけどぉ…!」
「あー…何事もほどほどにな。たまにはこうして一人旅でもさせてやれ。流石に完全に一人は立場上危険じゃし、ワシらが護衛につくから…」
「そっかぁ…!浮気じゃないならたまには…覗きプレイも楽しかったし。無防備なイルカせんせって貴重だよね!警戒心で一杯のイルカせんせも必死ですっごくすっごくかわいいからもうもう!」
「のろけか…これで若造が少しでもコヤツに惚れておればまだましじゃがなぁ…」
「ん…駄犬?」
「しまった!?起きたか!?」
「あ、多分違う。…ね、イルカせんせ?どーしたの?」
「ん。いるならいい。…邪魔するなよ。朝飯は卵焼きがいい。…あと、俺は…ね、る…」
「えへへ!撫でてくれた!でも寝ちゃった…やっぱり気持ち良くして起こすべき?」
「まんざらでもない…のかのう?しばし様子を見るとするか」
「肌蹴た浴衣が…!」
「待てい!…今日は寝かせておく約束じゃろが」
「ちぇー?でもかわいいからずーっとみてようっと!うふふふふふふふふ!」
「…はぁ…。どうなることやら」
*****
「さわやかな朝…!朝っぱらから妙なもん見せられないし飲まされないしなにより体が軽い!」
「…良かったのう」
「悪いなつき合わせて。後は飯食って風呂入ってくるかな!」
「食事なら、ほれ」
「…相変わらずどこから…って気にしてもしょうがないよな」
「そうじゃな。なるようになるじゃろう」
「折角のチャンスだもんな…!たっぷり温泉たのしまねぇと!」
「そうじゃなぁ…」
「へへ!もしよかったらまた一緒に行こうな?駄犬も比較的おとなしくしてたし、やっぱり信頼関係があると違うんだなぁ。俺も調教がんばらねぇと。びた一文理解できる気がしないが」
「うむ。まあその。検討しておく。良いから飯を食え」
「おうとも!」
「はぁ…」

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変態さん。
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