蕩ける季節(適当)


最近ずっとずっとずーっと暑くて、まあ夏だからしょうがないんだけど。
俺は暑いのとかはあんまり気にならないけど、イルカ先生は暑いのはあんまり好きじゃないみたいだ。
「任務なら平気なんですけどねぇ」
なんていいながら、ちょっとだるそうにしている。最近、いつも。
…汗が肌を伝ってすっごく美味しそうだ。赤い顔も突っ込んでるときを思い出してどきどきする。
喘いで、縋って、それから…俺の名前を呼んでくれる時と似過ぎているから。
でも寂しい。暑いからってちょっとイライラしてるみたいで、いつもみたいに構ってくれないし、「暑いからひっつくな!」なんてつれないことまで言ってくる。
で、俺としてはそんなの我慢できないわけで。
どうせ夏なんだし、夏らしくとろっとろに蕩けて欲しくなったから、とりあえず色々用意したんだけど気付かれた。
「ばーかばーか!あんたが飲め!」
…で、新薬だったソレを飲んじゃったせいで、結果的にとろっとろに蕩けてもらえたから結果オーライ?
*****
最近暑い。やたらと太陽が馬鹿になったんじゃないかってくらい暑い。
夏だから仕方がないんだ。それはわかってる。
でも暑いもんは暑いし、汗はひっきりなしに噴出して体力を奪うし、目に入ったりもするし、なんだかダルイし…碌なことがない。
プール授業とかは楽しいんだけどな?
しかもだ。今年は余分なオプションがくっついている。
去年の冬だったか。ずっと一緒にいたいと、離れたくないと訴え続けていた男が、夢をみただかなんだかが切欠で、寂しいだのなんだのと喚き倒して…最終的に俺の家に転がり込んできたのは。
まあ、それはこっちもそろそろと思ってたからいいんだが。
…結局こっちが了承する前に一切合財荷物を持ち込んで居座ってしまったのには驚いた。
「ぜーったい!ここから動きませんから!ここ!俺の座る場所!それからこれもこれもこれも…!」
必死の形相で座布団だの常備しているエロ本だの観葉植物だの…数少ない私物を一切合財持ち込んで勝手に俺の家に置いて、泣きそうな顔で喚いてくれたのだ。
…最終的に俺にしがみついて「イルカせんせも俺のです!」までやらかしてくれた。
それがあんまりにもかわいかったから、一発殴ってそのまま同居と言うか同棲というか…とにかく一緒に住み始めたんだが。
元々寂しがりやでやたら引っ付きたがるこの男のせいで、色々と面倒ごとも発生している。
写輪眼だの高名な上忍だのを手に入れたかったらしい外野は…まあどうでもいい。あんなのにかまっている暇はないし、この男がどれだけ厄介で、どれだけ一途で、どれだけかわいいかもしらない連中のことなんか毛ほども価値を感じない。
それよりも…。
「これ!夏だから元気がでるドリンクです!」
なんていいながら、あからさまに怪しい甘い香りの漂う液体を差し出して悪巧みしてる子どもみたいに嬉しそうに笑っている。
小さなガラス瓶に詰められた青く澄んだそれは確かに夏らしく美しい。…だが無駄にキラキラした瞳が何を期待しているかなんて読めすぎるほどにわかってしまう。
つまり…こういうコトをやらかす男の方がやっかいだってことだ。
なにせどうでもいい外野と違って、この男のことだけは無視できないから。
俺がじとっと冷たい視線を向けたせいで焦ったのか、男はどんどんと新たな液体を差し出してくる。
「あと!こっちも!それにこれとか!あ!それと、これなんかもお勧めです!えーっと。それからコレ!」
色とりどりの液体はどっから取り出したんだかと思うほどに沢山あったが、最後の1個なんてあからさまに怪しい色の丸薬だ。…こいつは誤魔化す気なんてあるんだろうか?
かまってほしいだけ…だったりするんだろうな…。
だがとにかく。ソレでなくてもクソ暑いのに、こんなもん飲んだら絶対にとんでもないコトになって…明日仕事にならないだろう?
焦らすと必死になる男が楽しくて、最近おねだりを却下してばかりいたのが敗因か。
だからって迷わず薬物に頼ろうってのがいただけない。
キラキラした可愛い顔がまた却って俺のイラつきを助長した。
「ばーかばーか!あんたが飲め!」
とりあえず手近にあった青い液体を押し付けて飲ませてやった。
「んっ…イルカ、せんせぇ…?」
飲み下してすぐとろんとしだした瞳が、ギラリと光った気がした。
「やっぱりか…!」
それみたことか!やっぱりその手の…って!?コイツにも耐性ない薬なんて危ない物どこで手に入れたんだ!?
そう叫ぶ前に、男に圧し掛かられていた。
「とろっとろにしたかったんだけど…欲しいし我慢できない…!」
我慢なんてする気なかっただろう!迷いなんて一切なく飛び掛ってきたくせに。
「んっ…!」
しょうがない。こうなったら抜くしかないのだから。
ソレを言い訳にして、久しぶりの熱に溺れるのも悪くない。
乱暴に口内を味わう舌に残る甘い香りが残っている。
こっちまで蕩けそうだ。
…俺だけを見つめるその瞳に。
「せんせ、イルカせんせ…!」
「しょうがねぇなぁ…ふ…ぁっ…!」
混ざりたいと執拗に俺を求めるその手に答えて、その熱に溺れた。
腹の中一杯に注ぎこまれた熱の方が、夏の気温なんかよりずっと熱いと思いながら。

で、とりあえず…へろへろになりながら一発殴った後、他の薬は没収しておいたから、次は俺から仕掛けるのも悪くないかななんて思っている。

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てきとうー!
りんごのゆめのつづきてきな?
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