夏の風物詩(かぼちゃのてんぷら)


「うまい…!」
「そ?しっかり食べてね?」
「おうとも!お前もな!」
「…にしてもまさかねぇ…?」
「こ、これ…!なんかぎゅむぎゅむしててうまい…!肉!肉だな!肉なんだな!」
「はいはい。ちゃんと食べなさいねー?」
「だからお前もな!」
「…はぁ…なんで留守にしてる間ちゃんとご飯食べなかったのよ?」
「だ、だって!暑いじゃないか!暑いし一人だし…なんか、食べなくても平気な気がしたんだ…」
「平気なわけないでしょ?玄関で倒れてるからびっくりしたじゃない」
「た、倒れてたんじゃない!アレは…アレは廊下の方が涼しいからちょっと転寝しただけだ!もうこれ食ったし元気だ!」
「はいはい。…ま、ちゃんと食べて水分とって、元気だっていうなら後で証明してもらうから」
「うぅ…!だってお前、何も言わずにいなくなるから…!」
「…あー…ごめんね?急に指名任務入ったの。でも伝言犬たちに…」
「わんこがいっぱいきたぞ!わふわふだった!でもすぐ消えちゃったんだよな…」
「そうね。大分撫で繰り回されたみたいだったけど、話は聞いてあげなかったのね…」
「今、夏なんだもんな…」
「ん?そーね。今度から冷房入れてく」
「勿体無いだろうが!それに…そうじゃなくて…」
「そんな顔しちゃって。…おいで」
「夏は暑いからカキ氷食って、そんで…一緒にいっぱい美味い物食べような?」
「ん。そーね」
「…いなくなったかと思ったんだ」
「久しぶりだねぇ?そんなこというの」
「アカデミーで怖い本が流行ってるんだ。夏だから」
「怖い本?へぇ?」
「災いが舞い降りて村が滅ぼされるんだけど、皆で逃げ延びて幸せな暮らしを始めるんだ」
「んー?ありがちな話だねぇ?」
「…でも、全部夢なんだ。起きたら自分が一人っきりでいることに気付くっていう。連れて行きたかったけどおいてくって言われるんだ」
「ほら、触って?…夢じゃないでしょ?」
「あったかい…。もうあの頃みたいにチビじゃないし、わんこだってもふもふだったのに…」
「ん。そうね。俺はもっとふわふわでしょ?」
「飯も、美味いし、お前もいるし、だから…だから平気なんだ…!」
「平気かどうか見てあげるって言ったでしょ?今日は一日中イルカチェックかなー?」
「…カキ氷作ってやる。あと貰いもののアイスも残ってるし、差し入れの煮物も、スイカも…」
「アンタ弱ってると腹減ってると思われちゃうのね…。ま、いいけど」
「お前も、食え。そんで…そんでとりあえず昼寝して、あと晩飯も一杯食うんだ!」
「そうね。…寝てもいないか…。もうお腹一杯でしょ?目がとろとろしてる」
「ぅう…!でも、お前がまだ食ってないし…どこにもいかない…?」
「いかないよー。このタイミングで任務きたら、イルカも連れてく」
「へへ!そっか…おいてかないでくれるんだな…よかった…」
「…ねちゃったか。スルのは後でにしてあげるから、早く元気になんなさいね?」


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かぼちゃのてんぷら。
夏の風物詩ということで!周りの人は夏のてんてー=飢えるだったりして!
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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