全部2(適当)



カカシさんへのプレゼント作戦を思いついたのは、去年のナルトの誕生日に遡る。
忍術書にはがっかりされたが、一緒に渡した玩具の類には目をキラキラさせて喜んでくれた。
それはまあいいんだ。ちょっとしたものばっかりだったしな。流行りモノのを子もちの同僚に聞いといたから、そんなにはずしちゃいなかったみたいだった。俺がお気に入りだったって理由で混ぜといた知恵の輪は不評だったけどなー…。 外すとくっついてる鍵が取れて、それがまた次の箱の鍵になってるとか、いろんなのを良く父ちゃんがくれて、貰ったとき夢中になって解いたもんだ。
力任せに千切ろうとするとは思わなかった。どうしてもっていうなら解いてやるかと思ったら、悔しいからがんばるっていってたから、今後次第ってとこだろうか。まあサスケにやったら夢中で解いてたぞって言ったせいもあるだろうが。
…ただ、その時のカカシさんが問題だった。
まずナルトのために用意したプレゼントの箱をちらちらみてたし、中身を開けて喜んだり落ち込んだりまたよろこんだりしてるナルトを見て、一緒に笑ってもくれたけど、出てきた玩具をじーっとみてたんだよなあ。
最初は仕込み箱が気になるんだと思った。術や札なんかに頼る事が多いが、使えない事がある。そういうときにはあの手のモノは結構便利なんだよ。
こっちが忍の存在を気取られたくないときなんかにそうやって隠すこともあるし、もちろん奪って中身を取り出すためにも使う技術だ。身につけておいて損はない。当然、ある程度のことは授業でやるし、普段からある程度訓練することは推奨されてもいる。
そしてそれが高じて趣味になっちゃうのも多い。
かく言う俺も仕込み箱の類が好きで、ついつい作ったり買ったりしてきちゃうんだよな。
授業でも使うという言い訳も一応はある。が、自分でもコレはやりすぎだろうなと思う程度にはコレクションがひっそり溜まってきてもいる。
大仕掛けのトラップの派手さも大好きだけど、ちまちま解くのも作るのも楽しいんだよ!
だからもしかしてカカシさんも好きなんじゃないかって思ったんだ。
ちょうどその前の月のカカシさんの誕生日には、酒とかそういうもんで済ませちまったから、失敗した思っていたところだった。
空き瓶、取ってあったんだ。カカシさんちの武器庫に入らせてもらったときに、しっかり凄まじい機密の嵐のど真ん中に座布団付きで飾られているのを見つけてしまった。
その時の罪悪感ときたら凄まじく、思い出を作ることを恐がる人だと知っていたのに、それでもこうしてこんな…もう中身のはいってない瓶を取っておいてくれていることに嬉しさと、それから申し訳なさで涙がでそうになった。
そうと決まれば話は早い。カカシさん向きに難しいのを何個か作って、それから気付いた。
俺は何度もカカシさんの家に泊まってるし、むしろ一緒に住んで欲しいと強請られてもいるし、つまりはカカシさんの家のことは隠し通路からイチャパラが各3冊ずつ別々に保存されていることから、なにからなにまで隅から隅まで知っている。へたをすればトイレの中でだって一緒にいたがるカカシさんが何もかもを知って欲しいと強請るから、機密に触れる恐怖にも耐えられた。
それなのに、俺は仕込み箱の類は殆どみた事が無かった。
1個だけ書斎みたいな部屋に置いてある机の引き出し小さいのがあったけど、どう考えてもずーっとほったらかしにされてたってわかる状態だった。
じゃあ、駄目なんじゃないか?こればっかり贈っても。
今更ながら気付いて落ち込んだのは、ナルトの誕生日から1月はたっていただろうか。
プレゼントに悩むあまり、仕事の休憩時間にも流行りモノが載っている雑誌から忍術書まで山ほど抱えて唸っていた俺を見かねて、同僚たちはそりゃもういろんなものをすすめてくれた。
その中に指輪ってのもあった。
カカシさんのことは一生一緒にいたいと思っている。だからそれはもちろん考えてもいた。
そうか。そうだよなぁ。カカシさんの一生を貰うんだから、一生分のプレゼントを贈らないと。
「ありがとな!」
俺が感謝の言葉を口にした途端、皆が一斉にホッとした顔をしたので、流石にちょっと反省した。
で、次の日には即行動を開始した。一生分を貰うってことは、まずは今まで生きてきた分の誕生日を祝うべきだと思った。カカシさんに出会う前の分だって、これから先だってずーっと祝うけど、去年の分も含めてリベンジだ。カカシさんには絶対に喜んで欲しい。
食い物とか消えちゃうモノは却下で、でも使えるもの。あとはチビだった頃のカカシさんに上げたかったものをどんどんバンバン用意した。作ったのもあるし買ったものもあるし、リサーチにリサーチを重ねて喜んでもらえることだけを考えて吟味したものを着実に手に入れていった。隠すのは一苦労だったけどな。
誕生日までにはギリギリ間に合って、疲れていそうなのは心配だったけど、ぐっすり寝てくれたときは小躍りしたもんだ。
これで、驚かせることができるって。
結論から言えば俺の決死の求婚は、無事大成功を収めた。
もうな!家に帰るとかわいいカカシさんがお帰りなさいって抱きついてくるんだぞ?最高だ!任務で帰還が遅れたら俺が出迎えてこっちから抱き締めてるしまあそのままの流れでベッドってこともあるがそれはそれで幸せだし!腰は痛むが! 目下の目標は来年の誕生日プレゼントでもう一度驚いてもらうことなんだが。
「イルカせんせの誕生日、楽しみにしてて?」
そういって物凄くたのしそうな顔で笑うカカシさんのプレゼントが、今から楽しみだったりする。



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適当。
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