「あ!カカシちゃん!いた!ねぇねl!あそんでー!」 「ん、いいよー。でもちゃんとお母さんとお父さんに言って来たの?」 「行って来ますっていった!」 「そっか。…じゃ、遊ぼう?」 「うん!」 今日もころころと犬の子のように転がってきたイルカの手を握って、歩き出した。 イルカは父さんの知り合いの上忍の息子だ。 父さんとイルカのお父さんが一緒の任務になったせいで、俺が面倒を見てくれって任されたんだけど、可愛らしい顔してるから最初女の子だと思った。 それからだ。ある日突然こうやって俺の家までやってきては、遊べと強請るようになったのは。 暫く物陰から俺の様子を観察して、それからこうして飛びついてくる。 なんだか分からなくて、最初は扱いに困ったけど、嬉しそうに笑うのがかわいい。 …俺にはちょっと理解できない行動が多いけど。 「カカシちゃんは、んっと、好きな人、いる?」 「んー?ま、父さんは好きかな。尊敬してる。…ちょっと色々心配だけど」 うちの父さんは多分すごーく強い。 …でも多分ちょっと、いや大分おっちょこちょいだ。 任務ではそうでもないんだけど、うちにいると隙ができるって言うか…。 ぼんやり巻物読んだまま壁にぶつかったり、夢中になって読みすぎてご飯食べるの忘れたり…うん。いつでも俺のことを思ってくれてるのはよくわかるんだけど。 母さんが最後まで心配していただけあって、色々…まだガキの俺でも色々心配な人だけど、でも大好きだ。 だからそれを正直に言っただけなんだけど。 「…カカシちゃ…カカシちゃのおとーさ、と、けっこんしちゃうの…?」 いきなり泣き出したイルカが、わけのわからないことを言った。 「しないよ?だって母さんともう結婚してたし、そもそも父さんだし」 大体好きっていってもそっち方面の話じゃない。 まだチビだけど、父さんのせいか俺にまで粉をかけてくる女は多くて、いつもうざったいと思うことはあっても、そういう感情を抱いたことはない。 「カカシちゃ…かかしちゃはつらいこいしてるんだ…で、でも!でも!俺なら!」 「んー?イルカなら?」 ホントどうしちゃったんだろうね?こんなに悲しそうな顔をして。 あんまりかわいそうだから…今にも零れ落ちそうな位涙一杯の瞳を、舐めてあげた。 「カカシちゃ…い、いまちゅーした!」 「ちゅー?あ、キスのこと?キスって普通唇にするもんじゃないの?」 毒を盛られる可能性があるから注意するようにって、心配性の父さんにも口をすっぱくして言われてる。 …実際こんなガキ相手にもその手のちょっかいかけてくる連中はいなくもないから、俺だっていつも警戒してる。 ま、イルカのそのぷにぷにした唇には触れてみたいと思うけど。 「したの!だから責任!およめさんにもらう!」 「へ?…あはは!そうだね!責任とろっか?」 真剣な瞳についつい頷いてしまったんだけど、イルカがぱあっと顔を輝かせたから…まあ、いいかなって思った。 でもたしかイルカって男の子だよね?かわいいからいいけど。 根回ししておこう。早めに。 「うん!がんばる!カカシちゃんにふさわしい男になる!」 「ん。がんばって!」 なんだかよくわかんないけど…一生懸命なイルカがかわいくて、どうせ責任取るんだったらいいかなって思ったから、誓いを込めて今度こそその唇にキスをした。 真っ赤になったイルカはすごーくすごーくかわいかったのを覚えている。 …ま、そのまま気絶しちゃったのには驚いたんだけどね? その後、イルカの方が責任を取るつもりだったとか、俺のことを女だと思ってたとか、色々と新事実が発覚して驚いたんだけど。 今はしっかり責任とって俺のお嫁さん?になってくれているイルカが誰よりも大事で、その側にいられて、誰よりも幸せだから。…ま、そこはそれってことにしておいた。 ********************************************************************************* 適当。 遺伝性天然たらしとか。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |