好きで好きで、でも人を好きになったことって初めてだったから、とりあえず一番身近で感動した物語通りに迫ってみたんだけど、どうにも結果ははかばかしくなかった。 好きですってずーっとずーっと言ってるのに「そうですか」って…酷いときはこっちを見てもくれないし、めんどくさそうにため息を吐かれることだってある。 言葉だけじゃ足りないんだろうなぁって思ったから、せっせとプレゼントなんかもしてみた。 手始めに一楽のラーメンをおごってみたら結構反応がよかったから、食べ物を任務先からお土産として買ってきてみたり、あとはおうちにお邪魔してちょっとした手料理を作ってみたりもした。 イルカせんせの好きなものをちゃーんと調べて、麺類もちょっとした甘いものも用意したのに、「なんでアンタ勝手にひとんちにあがりこんでるんですか?」って心底呆れた顔で言われちゃったんだよね…。 好きなのに。どうしたらいいか分からない。 あんまり辛くて一人で泣いてたら、鬱陶しいって紅に殴られた。酷い。 鬼婆って言ったら報復がいろんな意味で怖いからそっとしておいたけど、やっぱり涙は止まらなくてずーっとずーっと泣いていた。 そしたら呆れた顔をしていたはずの紅が、細長い箱を投げてよこしたんだ。 「これ、あげるわ。…飲ませてやっちゃいなさいよ」 酒好きで知られる紅がくれたものだけあって、酒はかなりの上等品だ。 ものをよこすこと事態気まぐれなあの女にはめったにないことだってのに、どうしたんだろう? 紅にも人の心があったってこと…なのかなぁ? とりあえず貰ったものは貰ったし、確かに酒が入れば打ち解けられるかもしれない。 酔っ払ってあわよくば…なんていう黒い考えも勿論あった。 万策尽きた感がある現状を打破するためには、多少乱暴な手段もやむを得まい。 そんなわけで、つまみ片手にイルカ先生のおうちにお邪魔したんだけど…。 「ああ、俺、酒は飲まないようにしてるんですよ」 「えー!なんで!?」 折角の作戦がって、お邪魔して早々なきそうになったんだけど、なんでもイルカ先生は酒に弱いというか…色々と危ないらしい。 イルカせんせを危険に晒してまではと思ったけど、酒に弱いなんて好都合すぎるから、とりあえず一口から初めて貰った。 ちょっとならと口をつけた瞬間、明らかに眼を見開いたイルカ先生は、「うわぁ美味いですねぇ!この酒!」なんていいながら美味そうに杯を干した。 始めてみるイルカ先生の嬉しそうな顔。いつも困った顔ばっかりみてたのに。 そうなるとこちらとしてもどんどん飲ませたいわけで。 …気づけば一瓶きっちり空になっていて、随分と飲ませてしまったことに今更ながら気がついた。 眼が据わってきてるなぁとは思ってたけど、これでそろそろ本音が聞けるかもって言うのもあって、ついつい飲ませすぎちゃったんだよね。 「アンタ、変態ですよね」 「へ?」 「まあとりあえず脱ぎましょうか?」 「え?え?きゃー!」 「あ、下も銀色ですね。サイズは…うーんピンク?」 サイズは大きさであってピンクじゃないし、なんでじーっと獲物みたいに見てるんだろう。俺を。 「なにすんですか!なにすんですか!」 拒絶も悲鳴もものともせずに、イルカ先生あっさり俺を組み敷いた。 その上肌の上をぬるぬる舐めてきたかと思ったら、ついでに俺の…俺の胸の飾りにちゅーまで…! 「…甘くない」 何でそんなに不満そうにしてるんだか、俺の方が聞きたい。 …ちなみに、そこから先は地獄に等しかった。 落ち着いて、やめなさいって言ったら、酒ぶっ掛けられるはぬれちゃったじゃないですかって言われて淡々とシーツで拭かれるわ、股間の形状一通り確認されるはやっぱりまた目まで舐められるわおいしくないって不満げに言われるわ…最終的には切れた俺が押し倒して舐め返しついでに夢にまでみた某所に指を突っ込もうとするところまではいった。 行ったのに寝た。しかもいよいよって所で。 「あ、俺眠いんでおやすみなさい」って。 もうなんなのよ!酷い酷い! って思ったので責任とってっておねだりしたら紆余曲折の末お付き合いできることになりました。 うーん。どうしてこうなっちゃったのか良くわかんないんだけど…結果オーライなの?これって? まあなんかこう…大事にしてくれてる気もするからいいんだけど!ぎゅーってしてくれるし!手触りいいですよねって言ってくれるし!まあ断固上は譲らないけどね!実際指までは…。 「アンタホントにアホだったんですねぇ」 とかしみじみ言われるのはどうにかしたいんだけど。 頭とか撫でてくれるからいいかなぁって思ってもいる今日この頃だ。 「好きですー!」 とりあえず今日もせっせと押し倒して、本人曰くそういう気分ってヤツになってもらえるように努力しようと思った。 ********************************************************************************* 適当。 というわけでアホの子的にはこんな感じ。うっかりまた酒飲ませる可能性があったりなかったり。 くれない先生的には鬱陶しいのであわよくばてきな意味で酒だったり。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |