かわいいは正義3(適当)




これの続き。


「ただいまー」
「おかえりなさい!カカシさん!」
 挨拶と同時にひしっと抱きついてきた人からは、うっすらとラーメンのにおいがしている。大方受付所で待つと言い張りでもして、ラーメンでも食って来いって追い出されて素直に一楽に行ったに違いない。で、そのまま受付戻ろうとして追い返されたってとこじゃないの?寂しいときでもラーメン食ったら元気が出るんですっていつも言ってたもんね。
 この人は大雑把でしぶとそうに見られることが多いけど、意外と繊細でしかもとびっきりの寂しがりやだ。
 でも、絶対にそれを表に出したりなんかしない。
 こんな関係になる前も多分かなり早い段階から憎からず思ってくれていたらしいのに、俺と離れるのが寂しいなんてこと、ひとつも口にしなかったし、そんな素振りをおくびにも出さなかった。
 ずっといるからこそ気づけたこと…それは、イルカ先生は寂しくなるとラーメンを食うってことと、電気を消せなくなるってことと、それから帰ってきてからのめろめろぶりがすごいってことと、ま、とにかく色々あるけど、俺のことを本当に心の底から大切に思ってくれてるってことだ。
 ちょっと乱暴に抱きついてくるのも寂しいからだし、抱きしめ返すともがくのは照れくささにひるんで逃げようとするからだし、それでも離れたくないから本気で抵抗はしない。っていうか多分できないんだろう。
 そして今日は俺もかわいくもだえるこの人を今すぐに見たい。あんなこともそんなこともしてるのに、そういう目でみられてる自覚なんて少しもなくて、今も顔とか体とかぺたぺた触ってきてるところも含めて、この人は本当に隙がありすぎて…そそる。
「怪我はないですか?腹減ってないですか?風呂…うお!」
「怪我はこれから確かめて?おなか減ってるっていうか、イルカ先生に飢えてるから今すぐ食べたいなー?お風呂は後で一緒にね?」
 俺の言葉を絶対に聞き逃したりしないけど、多分理解するまでに猶予を俺が与えられなかった。ベッドに転がされてのしかかられても、目を白黒させたまま俺を見上げている顔に、どっちかっていうと疑問符をいっぱい並べている。
 どうしよう。今すぐ食べちゃいたい。上に乗ってもらおうとかそういうのも考えてたのに、お土産に新作だっていうイルカ先生が大好きな数量限定って言葉つきのクリーム大福だって買ったのに、そんなことなんかどうでも良くなる。
「ね、したい」
 仰向けにしたまま足をちょっと開かせて、すっかりその気になっているモノをこすり付けてあげたら、やっと俺の意図が理解できたらしかった。
 熟れたトマトみたいに真っ赤になっちゃった。
「ねぇ。食べたい。全部。…だめ?」
「だめ、では、ないですが!そうじゃねぇ!いやその!怪我!報告書!任務はどうしたんですか?妙な薬とか術とか!どっか苦しいとか…むぐ!」
 よく動いてくれる口が気持ちよさそうで、味わってみたくなって舌を突っ込んだ。もがもが動かしてくれるから余計に気持ちイイ。それにもがかれると獲物を捕まえたっていう達成感みたいなのが湧いちゃうんだけど、何もかもわかっていない人が不安そうな顔をしてくるから、そこだけははっきりさせておかなきゃね。集中できないもん。
「怪我はないし、報告は別動部隊がまとめてするって。妙な薬も術も受けてないよ?ただイルカせんせが欲しいだけ」
「ならよ…くねぇ!その、そういった行為は、ええと」
 あーうん。そうね。まだイルカ先生的には早い時間かもしれない。大急ぎで帰ってきたってのもあるけど、この人にとってセックスは夜の行為で、しかも勢いをつけないと中々コトに及べない。抵抗もかわいいから燃えるって言ったらどんな顔してくれちゃうかなぁ?
 昼日中から押し倒して抵抗されたときだってそのままもちろん続行したけど、翌日ものすごく恥ずかしがってそれがまたかわいくて…って思い出すだけでも興奮しちゃう。ま、どっちにしろそろそろいいよね?
「駄目じゃないならいいよね?」
 にっこり笑って押し切るはずが、まだ何か言いたそうにしている。えーっと。こういうときは…。
「風呂!せめて風呂に入らせてください!今日は演習もあったし!」
「…イルカ先生に触ってないとおかしくなりそう」
 伝家の宝刀。助けてお願い。
 この人がこれで落ちなかったことはいまだかつて一度もない。今だって必死の抵抗はあっさり鳴りを潜め、代わりにイルカ先生の方から抱きついてくれた。イルカ先生は弱った俺に優しい。それはもうありえないほどに。ずるい俺の不安だって暴走しがちな欲望だって全部、こうやって受け入れてくれる。
「大丈夫。大丈夫ですよ。ここは…まあせまっ苦しいしぼろいですが、里です。俺も、その、ずっとそばにいますから」
 ここでそうやって笑うのは反則だよね?母という存在をよく知らない俺でもわかる。これは…慈母の微笑だ。己が身の全てを与え、それを喜びにすら感じる存在の。お人よしのこの人は誰にでも良く笑うけど、これを向けるのは俺だけだ。そうじゃなかったらこの人の意思を奪ってでも閉じ込めている自信がある。
 あーヤバイ。想像だけで勢いあまって強姦しそう。
 震える手を、暖かい手がやさしく包み込み、なだめるようにそのまま背に回った。受け入れられている。背筋がぞくぞくするほど興奮して、それと同時に泣きそうなほど安心する。がっつきすぎないようにまずはキスから。
「ほら、飯食って風呂入りましょう?」
 唇が触れる瞬間に飛び出した、慈しみに満ちた言葉に嘘はない。悪気もない。…ま、分かってたけどね。 でもそれはできない相談だ。
「後でね?」
 一言だけ返事をしておいて、手始めにアンダーを引っぺがす。今日もまたちょっと薄くなったトランクスを着ている。ランニングも首がちょっとくたびれた位じゃ捨てない。貧乏性なのと着心地だけを追求してるせいだ。おかげでちょっと汗をかくだけで透けて、脱がすだけで絶景が広がる。あー早く舐めたい。突っ込みたい。
「おわっ!あぶね!あたんなかったですか?カカシさん!」
片腕だけベッドについて、バランスをとるため空いた片手は膝の上に乗っている。足も片方しか立ててないからしっかり両足の間が丸見えだ。まるで自分から足を開いてるみたいに見える。
うん。エロい。そして俺が脱がせたのに受身を取ろうとして振り回した足に掠ったのを気遣ってくれている辺り、そもそも俺がなにをしようとした結果こうなったのかってこと事態を忘れてるかもしれない。
俺の大事なカカシさんに怪我なんかさせてたらどうしようとか言ってるんだけど。この程度で怪我する上忍なんてありえないでしょ。でもこの人はただひたすらに俺を、はたけカカシを心配してくれている。子どもたちの他愛のないトラップとも呼べないようないたずらにひっかかったのを知られたのも原因かな?って思わなくもないんだけど、多分それだけじゃなくて、俺のことをひたすら闇雲に守らなきゃって思ってる節がある。
そう、どっちにしろイルカ先生にとって、俺が庇護すべき存在であることは確かだ。上忍だとか男で、つまりは自分と同じ性別ってこととかは、さほど重要じゃないらしい。迷惑をかけるとか、未来の可能性がどうとかって辺りでは悩んではいたみたいだけど、最優先すべき俺が、離れたら死んじゃうとか涙目で喚いて見せたら一発だったもん。
あーもうかわいい。いつもかわいいって言ってくれるけど、この人ほどかっこよくてかわいい人って存在しないと思う。
「大丈夫だと思うけど、舐めてくれる?」
 茶化しついでに、でも半分くらい本気でお願いしてみた。どこをって、そりゃあ、ね?熱を持って開放を待ちわびるそこを握らせたら、はじかれたように手を離して口をぱくぱくさせている。赤く滑って、気持ちよさそうだ。どこもかしこも俺でいっぱいにしたい。あけすけに言うなら突っ込みたい。
 顔射したらさすがに嫌がるかなぁ。飛んじゃってるときはとろんとしたまま笑ってくれて、カカシさんの臭いがするとか言うから思わずそのままやり倒したっけ。今日も飛ぶまでやらせてくれるかなぁ。むしろ俺が止まれるかどうかって話が先かも?
「っ!そこじゃねぇだろ!絶対!」
「うん。でも一番痛いのはここかなぁ?」
 怒るくせに自分も大きくしてることに気づいてるんだろうか。にじむ体液のせいで薄くなった生地がさらに張り付いて、そこがどんな状態になっているか良くわかる。先端からくびれまでくっきり見えるのに、そのくせ全部見えたわけじゃないのが余計卑猥だ。パンツ買い換えてあげたいけどできないのはこれが原因なんだよねぇ。おいしそう。
「そりゃそんだけデカくしてれば…って、おい!」
「イルカ先生も、シて?」
パンツを少しだけずり下げて、苦しげに飛び出してきたそれを握るともう随分と硬くなっている。ここに触れられることに雄としての恐怖もあるだろうに、あっさりそこを明け渡してくれるところも男前だと思う。 抵抗が鈍いのは快感に弱いせいもあるかもしれない。この人はどうしてこんなにってくらい感じやすい。痛みには強いんだとか、鈍感なんですよとか笑ってたこともあったけど、それは多分ただひたすら我慢強いだけだ。しかも経験の積み重ねからくるものなんじゃないかな。そこら中に浅いのも深いのも残っている傷跡をみるとそう思う。精神力だけで生きてるんじゃないかって大怪我したくせに、平気で里中をうろつけるって怖すぎるでしょうよ。
だから強請る。絶対に残して逝ってしまったりしちゃいけない存在として、この人の奥深くに居座るために。ま、それだけじゃないけどね。もちろん。
 だって大好きな人になにもしないでいられるほど枯れちゃいないの。俺は。
「…ッ!手で、なら」
 咥えてもらうのも悪くないけど、こうやってもじもじ腰を揺らして触ってくれる姿をみるだけでもうイきそう。
 経験不足のせいか触り方は多分下手だろう。その手のちょっかいをかけられたこともないらしいし、三代目がやたらと内勤の仕事を押し付けて、自分の気に入りだと暗に主張したところには感謝している。ちょっかいかけすぎだと思うけどね。
「触って、くれるの?」
「…黙って」
 緊張しているのか小刻みに震える指先が、恐る恐るといった風にむき出しのそこに触れた。
「は、ぁ」
 触れているのがこの人だというだけで目の前に火花が散ったみたいにちかちかする。我ながら興奮しすぎだ。っていっても、この人に触れるときはいつもこうなんだけどね。だってこの人は無意識に人を煽るコトにかけては天才的だから。
「っ…!そ、その、いきます!」
 目を半分瞑って握りこんできた。ちょっと力が強くて痛い。でも離せなんて言わないし、言えない。言ったら最後落ち込ませちゃうもん。気持ちイイですかって、しょっちゅう聞いてくるから止まれなくなるし、そうするとこの人も飛んじゃうからお互いどろどろのめろめろだ。朝までコースなんて当たり前。下手すると休みとってその日もずーっといちゃいちゃしたりもする。俺の画策に協力的な後輩がいてくれるおかげで、その辺の自由は割りときくようになったもんね。持つべきものは優秀な後輩だ。
「ん。もっと」
「っ!」
 下着の汚れがさらに広がったところをみると、もしかして俺の言葉だけでイっちゃった?それでも少し力の抜けた手は一生懸命に俺のお願いを叶えようと動かしている。
 たまんない。もっと触れてもらいたい。それに…もっと触れてなめてしゃぶって突っ込みたい。つながったままもだえるこの人は最高で、もうだめとか言うくせにもっとしたいって言えばいつだってがんばってくれる。
 思い出すだけで勢いを増す俺の聞かん坊に、イルカ先生は俄然やる気になったらしかった。
「きもちいい、ですか?」
 自分だってしっかり大きくしてるくせに、俺のことばっかり気にしちゃうんだから。目が真剣だ。そのくせ興奮にそのふちを赤く染めて、無意識に舌なめずりなんてしてみせてくれている。
 気持ちイイ。どこもかしこもこの人に触れているところは全部気持ちイイ。他人触られるのが苦手だって言ったら信じてくれないんだろうな。この人にだけはいつだって触れていたいから、片時も離れたがらない俺に、いつも困ったように、でも嬉しそうに笑ってくれているから。
「…イイ。ねぇ。いれたい」
 そのおねだりは、ただ単にちょっとこの人が恥ずかしがる顔がみたいってのと、これから後ろもいじらせてねっていう宣言のつもりだったんだけど、イルカ先生は意を決したとばかりにものすごくきりっとした顔をしてくれた。
 えーっと。これってもしかして?
「…が、がんばります」
 なにを?どこを?どうやって?そんな疑問はサイドチェストの引き出しから俺がいつも用意しておいてある潤滑剤のチューブを、イルカ先生が震える手で取り出した時点で興奮と歓喜とともに吹っ飛んだ。

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適当。
ながすぎるのでここらでいったん切って肝心のところで次回。

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