かわいいは正義(適当)


 大好きな人から毎日かわいいって言ってもらえるのは嬉しいんだけど、最近周りが騒がしい。
「ちょっと!中忍のくせに正気なの!」
「ええと、中忍ですし、受付に負傷者や術にかかった者は入れないんですが、どうなさったんですか?」
 ここは受付所で、さっき恋人に見送られて後ろ髪を引かれる思いでやっと出入り口のところまでのろのろと足を進めてきたばかりだった。
 一瞬でも離れていると寂しい、なんてね?口に出したことはなかったのにあの人には全部ばれてしまう。顔だってちゃんと表情に出さないように気を使ってるし、そもそも半分以上隠してるっていうのに、どうしてかわからないけど俺の思っていることがわかるらしい。さっきだって、かわいいなーとか言ってくれちゃったし?
 かと思えばとてつもなく鈍くて、俺の好きな人が自分だってことに長い間気づいてくれなくて、決死の覚悟の告白の直後、あろうことか驚きすぎてぶったおれるなんてマネをしてくれたんだけどね。
 告白した途端恋人がこの世からいなくなっちゃうかもしれないなんて恐怖を味わうのはもう二度とごめんだ。
 振られても生きていてくれる方がいいし、側にいられるならそれで良かったから告白すること自体を相当に迷った上で決断した。見合いを世話するとかいうおばちゃんに絡まれているのを見てたら、我慢できなくなったんだよねぇ?
 いつかこの人は誰かの物になってしまうだろう。そしてそれを見守れるつもりでいた。それなのにいざその可能性が現実みを帯びてきた途端、胸の中にどす黒い思いが渦巻いて、その紹介するとかいう気立てのいい女をどうやって殺すかってことを頭が恐ろしく冷静に組み立てていく。泣こうがわめこうが閉じ込めてしまえばこっちのものだ。幻術もあるから自殺に見せかけるという手もある。チャクラの痕跡をたどられるなんてへまをしでかすはずもない。闇から闇へその女の存在そのものを消してしまうことすらできるだろう。 そこまで考えてしまったおかげか、逆に冷静になった。
 己という凶器を野放しにするよりも、距離を置くべきだと判断した。この分だと冷静なつもりでふっと正気を手放してしまうかもしれない。それなら心残りなどないように決着をつけた上で、どこかに姿を消すべきだ。
 そうやってある程度覚悟を決めたの上での告白だったから、その返事は本当に予想外だった。
 断られることを想定していた。いやむしろそれ以外の返事なんか考えられなかったのに、受け入れられるなんて妄想すらしたことなかったんだもん。もちろん駄目だったときは面倒そうな任務を引き受けて物理的に距離を置くつもりでいて、むしろそっちの手配は完ぺきに整えてあったっていうのに、さらっと、でも熱っぽくあなたが好きだなんて言ってくれるとは思わないじゃない?
 男の、同性の恋人なんて、あの人の辞書になさそうなんだけど、どうやらずっとかわいいと思っていてくれていたらしい。
 もっと口下手だと思ってたのに、それから口癖のようにかわいいといってくれるようになった。
 その大事な大事な恋人に対して、毒々しい目に刺さるように真っ赤な口紅をした女が、俺の大切な人に向かって騒いでいる。
 ナニあの女。殺そうか?
 一瞬で固まった殺意に対して、周囲の上忍が必死で止めようと目配せしてくる。えー?いいじゃない。だってこの女、俺のかわいい人になにしてくれてんの?ああでもあの人が泣いて止めるだろうから、やっぱり殺すより幻術で狂わせてやろうか。
 一人静かに楽しい拷問計画を練っているところに飛び込んできた耳障りなキンキン声は、俺の苛立ちを悪化させた。ま、おかげで周囲の忍たちがすばらしい速さで逃げていってくれたから、こっちとしては仕事がやりやすい。
 さてと、どうしてやろう。このゴミを。
「だって…はたけ上忍に対してかわいいってなによ!何様なの?地味で不細工な中忍のくせに!大体あの人は…!」
「ねぇ。俺のかわいい人になにしてんの?」
 もう任務とかあとでいいよね。俺が本気出せばすぐ終わるし、こんな女を野放しにしているほうが問題だもん。馬鹿そうだし見せしめにはちょうどいい。ギャラリーは逃げちゃったけど、叩きのめして吊るしておくとか、いくらでも方法はあるし?
 一歩踏み出すだけで無様に震えだすような脆い女が、俺の最高の人に手ぇだしてんじゃないよ。
「ひっ!」
 文句でも言い返そうとしたらしい口は、間抜けな半開きのまま固まっている。この程度の面で俺のかわいい人に不細工ねぇ…?随分自信過剰な女みたいだから、顔をつぶしてやるのもいいかもしれない。ゆっくりとチャクラを練って、その不器量な顔をさらに醜くゆがめる女を恐怖に震えさせてやるのは楽しかった。
「…カカシさん。大丈夫です。カカシさんは世界一かわいいですよ!」
 ぴんっと張り詰めた空気は、その一言で一瞬で霧散した。えーっと。かわいい?俺かわいいの?それに関しては俺もちょっと疑問だけど、その潤んできらめく瞳を見ると何もいえなくなるんだよね。
 美男子だなんだって騒がれた父さんに、俺は生き写しらしい。サクラにも黙ってればイケメン風なのにねーとか随分な言われ方にしろ、そういう意味ではそこそこ整った顔なんだろう。
 かわいいって、多分ちょっと違うじゃないかな。イルカ先生が言ってくれるってだけで嬉しいから、その辺はどうでもいいんだけど。
「俺、かわいい?」
 意識的に小首を傾げて見せると、胸元にこぶしをもってきてものすごーくとろんとした目で俺を見る。ふふ…効いてる効いてる。これやると他の連中はうめき声あげるんだけど、イルカ先生だけは今にも抱いてって顔してくれるんだよねぇ。もうたまんない。
「ええ!この方はその、多分ちょっと趣味が変わってらっしゃるんですよ。カカシさんは誰がなんと言おうとこの世界で一番かわいいんです」
 哀れみに満ちた表情を隠さずに、きっぱりと言い切ってさりげなく手を握ってきた上に、慰めているつもりなのか髪の毛までかき回されて、ものすごく任務に行きたくなくなってきた。だってこの状況って、どう考えてもイチャパラ一直線でしょ。
「…っ!」
 この状況に、さすがの女も正気を取り戻したらしい。ものすごい速さで逃げていった。泣いてたかもしれない。ま、そんなのはどうでもいいことだ。大事なのはこの人に妙なちょっかいをかけたやつを適切に処分することなんだから。犬はつけたし、後でもいいだろう。どうでもいいやつに割く時間を作るより、イチャパラ第一!
「イルカせんせ」
「…任務から帰ってきたらうまい酒でものみましょうね?」
 折角ロマンチックな雰囲気に持ち込んだつもりが、健康的な激励が返ってきた。うーん?これを無視するとまたお説教とかで時間をとられるかもしれない。かわいいからって!とかもだえるイルカ先生もかわいいけど、今日はやり倒したい気分だもんね。
「待っててね?イルカせんせ」
 ほっぺたに口布越しの口付けを残して、瞬身まで使って受付所を飛び出した。任務なんてさっさと終わらせてイチャパラだイチャパラ。あとあの女は影分身でちょーっと痛い目を見てもらおう。記憶も消しちゃおうかなぁ。イルカせんせのかわいい顔みたんだろうし。
 ときめきに胸を躍らせて歩く道は夏の日差しに輝いて美しい。今日は後ろからにしようか。それとも乗ってもらおうかなんてことを考えてるから余計に。
「うおおお!なんであんなに!かわいいんだ!ちくしょう!」
 よく通る大好きな声が見送ってくれて、それもすごく嬉しかった。

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適当。
同僚は隣で泣きながら馬鹿ップルなんて大嫌いだとほえたとかほえないとか。
夏のえろえろばかっぷるだいさくせんとかどうでしょう。

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