巣立ちと出会い(かぼちゃのてんぷら)

春は卒業…つまり新たな旅立ちの季節だ。
毎年感じる別れへの少しの寂しさと、立派に育って巣立っていくことへの大きな喜びを今年も噛み締めている。
手塩にかけて育て上げたかわいい生徒たちも、今や立派に忍としての道を歩み始めた訳だが。
「そっくりだ…」
一番心配したうちの子…もとい、生徒であるナルトの上忍師が、うちに勝手に住み着いた暗部に生き写しだ。
不安で不安で…特にナルトがちゃんと面倒を見てもらえるかがそれはもう不安で心配で、じい…三代目に無理を言って見せてもらった写真でもそう思ったが、間近でみるとより一層そっくりすぎてびっくりするくらいだ。
親子か兄弟…?
でも親子っていうには年に差がなさ過ぎるし、兄弟にしても年子か双子とかそういうレベルだ。そもそも親類縁者はいないって話だし。
他人の空似もここまでくるとある意味奇跡だと思った。
なんて言って挨拶したらいいか迷うが、とにかくこの人が俺のかわいい生徒たちを引き受けてくれるのかどうかが重要だ。
緊張と不安で一杯の俺にもたらされたのは、幸いにして待ち望んだ嬉しい結果だったんだけどな!
*****
受付所に入ってすぐ気付いた。
俺のかわいい恋人は、眉間にシワ寄せて俺を凝視し、あからさまに悩んでいる。
一生懸命で間抜けなその顔はとてもとてもかわいいんだけど。
「やっぱり別人だと思われてるよねぇ…?」
そもそもあれほど悩むまでもなく、ここまで外見も…チャクラさえ変化させていないのだから、普通の忍なら同一人物と気付きそうなものだが。
「あ、あの!あの!は、ははははは、はじめまして!」
不安で一杯の顔で俺に挨拶して、ちょっと震えてるし、しかも分かりやすく俺の答えを待っている。
…おもしろそうだから、しばらくは黙っておこう。
「はじめまして。これからコイツらの担当上忍になりま…」
「いやっほうーい!」
全部言い終わる前に、受付所の机を倒しそうになるほど飛び上がって、全身で喜びを表現してくれた。
…うん。やっぱりこういうのが楽しいから、側にいるのが止められない。
夜は別人じゃないかってほど、恥ずかしそうに喘いで縋ってくれる所も。
「楽しみ、だねぇ…?」
今日はどんな格好で家に帰ろうか。すぐに知らせてしまったらもったいないが、そろそろ正規部隊に戻った事は教えないといけないし。
ま、どっちでも心配してもらえるからいいんだけど。
どっちにしろそっくりな俺と俺…同一人物なんだから当然だけど。
イルカはきっとまた一生懸命悩んでくれるはずだ。
これからのことを思うとこみ上げる笑みに気づいてか、イルカも輝くような笑顔で俺の手を握ってくれたから、今後もたっぷりとこの生き物を味わい尽くそうと決めた。


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かぼちゃのてんぷら卒業と出会い編。
かわいいかわいいイルカてんてーはこれからもおちょくられたりしつつも可愛がられていくはず…ってことで!
暗部は卒業しても、イルカ弄りは止められないという話。
ではではー!ご意見、ご感想などお気軽にどうぞー!


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