「遊ぶんなら止めてくれ」 突っぱねられると燃えるってなんで気づかないかねぇ? 「遊んでないでしょ?」 するりと胸元に潜り込ませた手に、驚くほど体を跳ねさせた。 いつもは括っている髪がさらりとうなじにかかって、こんなにも艶めいたこの人を知っているのは俺だけだろうと思うと酷く興奮する。 普段は精錬潔白、何にも知らないって顔してるくせに、どうしてこんなにいい顔するんだかね。 口説いて口説いて、こうして体を明け渡してくれるようになってから、初めて知った。 この手の行為に馴染まない性格をしているのは嫌って程分かっていたから、最初はソフトになんて、なれないことまで考えてたのに。 いざ行為に持ち込んでみれば、驚くほど敏感で、そのくせ押し寄せる快感に必死で抗う。 真っ赤になって喘いで、溺れる人のように縋る手に唆されて、初めてなんだからなんて考えはすぐさま吹っ飛んでしまった。 そうして抗うくせに、完全に蕩けさせてしまえばこっちの理性なんて吹っ飛ぶほど奔放で貪欲だ。そのくせこの人は、終わった後悔いているでも嘆いているでもなく、正気づいて一番に気にしたのは俺のことだった。 「気持ちよかったですか…?」 不安そうに、呟くように、決して視線を合わせずに零したその言葉のおかげで、やっとのことで押さえ込んだ欲望に火がついたような気がした。 結局朝になっても離す事ができずに、どろどろになったこの人が言葉をつむぐことすら出来ないほど疲れきってしまうまでずっと繋がっていたんだけど。 それ以来幾度も夜を共にしたのに、この人はどこか頑なだ。 緊張してるのもかわいいんだけど、流石にかわいそうかと思って、だからじゃれ付くような愛撫からはじめようとしてみたってのに、ぶすくれた顔で冷たい台詞を吐く。 その顔を欲情に赤く染めながら。 矛盾してるのは自分で気づいているんだろう。こういう時のこの人は、決して視線を合わせる事がない。 「いい、から…!」 言外に続きを強請られて、黙っていられるほど枯れちゃいない。 「ん。今、あげる」 狭くてきつくて、良くこんな所に飲み込んでくれると思う。 ねじ込んで奥の奥まで入り込んで、それだけで達しそうになって、そしてそれはじらされたと勘違いしているこの人も同じだ。 「ふっあっ…んぅ…!」 堪えきれずに声を上げて眉根を寄せる顔に口付けを落とした。 今にも達しそうに見える性器は瀕死の魚ようにびくびくと脈打ち、それだけ衝撃の強さを教えてくれる。 …不安なのはアンタだけじゃない。 「きもち、いい?」 初めて聞いた。 こういうことを聞くほど相手のことを思った事がなかったし、この人に聞けば泣かれそうな気がしたから。 それにたとえどんなに拒まれても止めてはあげられない。回数を減らす事だってきっと難しい。 …いつだって俺はこの人が欲しいから。 「いぃ…から…!はや、…く!」 腰に絡みつく足が、行為の続きを唆す。 怒りと欲情を混ぜたような瞳に、抗えるはずがない。 「ん。もっと…もっとちょうだい?アンタを」 突き上げを早くして、しなる体を見つめて、それから頂点はすぐにやってきた。 「あっあっあぁ!」 「…ッぅ!」 はじけた瞬間は、いつだって気持ちよくて狂いそうになる。 息が乱れて頭が真っ白になって、自分脳での中で喘いでいるのが誰よりも大切な人だと思うとそれだけでもう…。 白さはすぐに失せると知っていて、それを惜しんだ。 その瞬間。 …もう全部食われちまってるんだよ馬鹿と、そう言われた気がした。 ******************************************************************************** 適当。 ご意見ご感想お気軽にどうぞー |