目覚めると、白い天井が待っていた。 つながれた管から静かに液体がこぼれる音がする。 スッと伸ばされた手が、俺の肩に触れた。 「…起きたんですね…。」 ため息と、どこも見ていない瞳。 普段は漆黒に輝くその瞳はどんよりと澱み、疲れきったその顔からは、虚脱しか読み取れない。 何度、この顔を目にしただろう? 「ごめんね。」 空々しいのは自覚してる。 いつだって俺はこの人を悲しませてばかりだ。 このセリフも何度言ったか分からない。 それでも、こうして戦うことしか出来ないから。 「馬鹿野郎…っ!」 怒りと安堵がないまぜになった声が、俺の耳を貫く。 すがりつく腕の強さが彼の不安を物語っていて、苦しいくらい胸が高鳴った。 「ごめんね…。」 この人がこんなに必死になるのは、俺のためだから。 嬉しくてたまらない。 …それが間違ってると分かっていても。 己の歪みに反吐が出そうだ。 謝って…それでも変わる気など欠片もないくせに。 「…っ!」 謝る俺の口をふさいだのは、激情を吐き出したばかりの口だった。 縋るように絡みつく舌に応え、俺を求めてくれることに陶然としながら、抱きしめて、その熱を感じる。 しがみ付いたまま、閉ざされた口を開放し、覆いかぶさる愛しい人は苦しそうに呻いた。 「っ…謝るな…っ…!」 喉の奥に何か引っかかったようなそのかすれた声も、俺の頬に落ちた雫も、くしゃくしゃにゆがんだその顔も…俺だけのものだ。 「イルカ…。」 そうして彼は涙を流す。 その美しい一滴に、俺への愛を込めて。 ********************************************************************************* あれー?なんでだ? また中途半端な何か。が湧いてしまった…!? …アホなので大目に見てやってください…。 |