パンツ争奪戦−ばかばかしくも真剣にぶつかり合う男たちの記録(適当)


暑いのでシモネタ全開で行って見ることにしました。こういう系はちょっと…って方は、お気軽に拍手等でお知らせください(*´∀`)


水泳の授業をつつがなく終え、水遊びに興じる子供たちを微笑ましく思いながらロッカールームに戻ると、俺のパンツが消えていた。
高級品でもなく、普通の、ごく一般的なパンツが、だ。
忘れたわけじゃないのは分かってる。何せすぐに着替えて飯を食えるように、忍服の一番上に乗せておいたから。
「まさか…盗まれたってこともないよな?」
子供たちのいたずらだろうか?
しょうがない。多少気持ち悪いが着てきたパンツを履くしかないだろう。
そう思って脱いだ服を適当にまとめておいた塊をあさったのだが、なぜかそっちまで消えている。
悪戯にしても念の入ったことだ。
普通、他人の、しかも野郎のパンツなんて触りたくないものだと思うんだが。
「くそ!…ノーパンってのもなぁ…」
くノ一なら色っぽいその行為も、男がやれば気色悪いの一言に尽きる。大体、自分だって嫌だ。
昼飯を犠牲にすれば買ってくる時間位はありそうだし、その間だけは諦めるしかないだろう。
仕方なしにズボンに足を通そうとした瞬間。
ガタッっと背後のロッカーの中から音がした。
「…なんだ?」
慌ててアンダーを着込んで身構えた。
確かこっちは普段使わないロッカーで、中身は空っぽのはずだ。
そういえばこのロッカールームには、ありがちな怪談話があったっけ。
恐る恐る近づき、一気に扉を開けるとソコには…!
「あ、あれ?」
「アレ?じゃねぇ!なにやってんですか!?カカシ先生!」
ソコにみっしりと詰まっていたのは知り合いの上忍だ。それも恐ろしく強くて有名らしい。
…知らなかった俺が周りにたしなめられたほどに。
それが何で俺のパンツ握り締めてるんだろう。なんか顔も赤いし。
「あーどうしよ。授業って午後もあるんですよね?」
「は?」
なんでそんなことこの人に聞かれるんだろう。
それとそんなことを考えるのがいるってことは信じたくないんだが、俺のパンツを盗み出すのってまさか任務なのか?
「…よし!じゃ、コレは頂きますが、それ以外はまた後日で」
ふぅっと物憂げなため息をついて、あまりにも普通に部屋を出て行こうとするから一瞬そのまま見送りかけたがそうはいかない。
「待ちやがれ!返せ!俺のパンツ!」
大声で叫ぶにはなんだが、パンツがないのは困る。
…いや、買ってくればいいんだけど、なんだかわからないままに奪われるのは腹立たしいし、得体が知れなくて気持ち悪い。
「…嫌だと、いったら?」
何故か上忍は本気だ。
鋭い視線に、この人が俺と戦う気なんだと分かる。
この人相手に戦ったら、俺に勝ち目なんてほぼない。
だが…なぜか猛烈に、パンツ握り締めてカッコつけてる上忍なんかに負けたくないという気がしてきて、気がついたら啖呵を切っていた。
「戦うまでだ」
冷房なんてかからないロッカールームの蒸し暑い空気が、さらに熱を増した気がした。
「いいでしょう…。あなたが勝ったらこのパンツをお返しします。負けたら…ふふ、それは後にしましょうか?」
なんで勝手に人のパンツ盗んどいてこんなに態度でかいんだろう。この人。
「うるせー!いいから返せ!大体あんたなに変態くさいことを…!」
「じゃ、勝負は…そうですね?俺のパンツ争奪戦にでもしましょうか?」
「はぁ!?なんだそれ!?」
何で俺がそんな変態の仲間入りをしなきゃならないんだ!
そんな考えは、挑発的な視線であっさりと覆された。
「ま、イルカ先生には無理ですよねぇ?」
鼻で笑いやがったこいつ!
「いいでしょう。そこまでいうなら受けて立ちます!」
…こうして、ばかばかしい戦いの火蓋はきっと落とされたのだった。
*****
「てい!」
「おっと!」
密室でパンツを狙うことしばし。…俺は一度もこの人に触れられていない。
俺にできたのは仕込みのクナイで脚絆を切れたことくらい…その辺りはさすが上忍だ。
だがそろそろ丁度いい頃合だ。わざと何度も同じパターンの攻撃を仕掛け続けたから、きっとこの人は油断している。
「は…っあ…!」
蒸し暑い室内で暴れまわったせいで息が乱れている俺と同じくらい、顔を真っ赤に染めた上忍も荒い息をしている。
今なら、きっと。
「…っ!」
「よっしゃ!頂き!」
ズボンをずり下げ、そのついでにしっかりパンツも頂いた。
「ちっ!そうはさせない!」
上忍が俺の手からパンツを奪い返そうと伸ばされる。とっさに懐にしまったパンツはまだ生暖かくて微妙な気分にさせられたが、勝負は勝負だ。
だがズボンは取り返されてしまった。コレで俺たちは同じような格好をしていることになる。
ノーパン忍服の男が二人、密室で対峙している。…なんて異常な状態なんだ。
だがこのばかばかしい時間はもう終わりだ。この男のパンツは俺の手の中にあるのだから。
「さあ!俺のパンツを返してもらいましょうか!」
びしっと差し出した手を、男はあっさりと拒んだ。
「…まだだ。まだ終わらせない…!まだ昼休み中でしょう?」
「あんた何を…!」
「一本勝負だなんて誰も言ってませんよ?」
くくく…と悪人みたいな笑い方をして、上忍がまっすぐ俺に向かってきた。
狙われているのは…さっき奪ったばかりの俺のパンツに違いない。
何を考えてるのか知らないが、このままでは昼飯も食い損なうし、ノーパンで授業だ。それだけは避けたい。
こうなったら…この男が隠し持っている俺のパンツを奪い返すしか方法はないだろう。
「…ちっ!しかたねぇか…!」
傷つけないように気を使ってきたのがもったいない。
トラップでも何でも使って、この男の暴挙を止めるまでだ。
視線と視線がぶつかり合い、そこから火花でも散りそうなほどに、互いの緊張感は高まっている。
一瞬でも隙を見せればそこで終わり。それが分かっているだけに下手に動けなかった。
ありとあらゆる策を脳内にめぐらせ、どこかに付け入る所はないかとじっと男を観察した。
「コレは、絶対に渡せない」
上忍は胸元をそっと大事そうに押さえている。…つまり、罠でなければ獲物はそこに隠されているってことだ。
「返して貰いますよ!さっさとね!」
「さぁ…?それがあんたにできますかね?」
カっとなっちゃ駄目だ。こんな挑発に乗ったら、相手の思う壺だ。
「時間もねぇし…加減なんかしてやらねぇ…!」
ぜってぇ取り返してやる!
*****
上忍が結界を張ったのを合図に、俺たちは真剣にぶつかり合った。
「はぁ…はぁ…!」
「イルカせんせったら…ほんっと諦めわる…」
「う、うるせー!あんたがパンツ返せばいいだけの話だろう!?」
目に見えて消耗している俺と違って、上忍はまだ余裕の表情だ。
懐にあるのをわざわざ教えたのは罠なんかじゃない。…取られない自身があるんだこいつには。
「だーめ。だってこれはもう俺のものです。そっち差し上げますからそれでいいでしょ?」
「どこの誰が他人の下着喜んで履くか!大体洗ってもいねぇのに!」
「えー?傷ついちゃうじゃない。そんな酷いこと言って」
「どっちがむちゃくちゃ言ってると思ってんだー!」
「く…っ!」
「え!?」
怒鳴りあいの最中、いきなり上忍の体が傾いだ。慌ててチャクラを探ると、思ったよりも弱っているように感じる。
…涼しい顔して、もしかして意地張ってたのか。この人。
「あんた、大丈夫ですか?」
「…ええ、もちろん」
強がりだと一目で分かる顔色の悪さに、流石の俺も動揺した。
もうすぐ昼休みも終わる。この人のパンツは奪ってやったんだし、ここらで引き分けにしてやるべきだろうか。
「…勝負は、後です。もう昼休みが終わる…」
「いいえ!…俺の、勝ちです」
「なっ!?」
一瞬の隙を突いて、俺の懐からパンツは奪われていた。
しかもなぜだか人の懐をしっかり撫で回す余裕まで…!
「くそっ!」
「俺の、勝ち。…じゃ、また後でね?」
「負けは、負けか…!」
あっさり立ち去った男に悔しさも感じたがそれ以上に、あんなに実力差のある男相手に結構な善戦を繰り広げた自分への奇妙な達成感もあった。
「なんだかわかんなかったけどな…」
あの分だと制裁があったとしてもタチの悪いもんじゃなさそうだ。
今度はふんどしよこせとか言われたらとりあえず殴ってみよう。
意気揚々と職員室に戻る俺は、上忍の目的がパンツだけじゃなく、むしろ中身の俺だということを後で思い知らされることになるのだが。
…それはまた今度の話。

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適当。
というわけであほなはなし。
全ては暑いせいだと叫びつつ…ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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