しなやかで温かなその体にいつだって溺れていたい。 それなのに手を伸ばすとするりとすり抜けて逃げていく。いたずらっぽく微笑んで、そのくせ今日もつれないのだ。 告白なんて、したことがなかった。 好きだなんていう前に身体から先に始まることが多かったし、そも好きだと思ったことがあったのかどうかすらあいまいだ。 欲しくて欲しくてたまらない。 他のヤツらに触れられるだけで腹が立つ。 俺以外に笑うのが許せない。 …そんな風に思ったのはこの人だけ。 「好き、なのにね」 これが切ないって感情なんだろうか。 触れたくてたまらないのに、愛しい人は伸ばした手が届く前にするりと距離を取り優しく微笑んだまま残酷なセリフをくれた。 「カカシさん。いい加減にしないと殴りますよ?」 輝くような笑顔は、俺の胸を簡単に射抜く。 生徒たちや同僚屋…俺以外の連中にみせるのとはまるで違う表情だ。 怒っているみたいな言葉を吐きながら、その瞳は輝いている。 …俺が、こうして苦悩するのを楽しんでいる。 「イルカせんせ…」 それでも諦められなくて、追いすがるように身を寄せると、一瞬だけその表情が変わる。 ギラリと輝いた瞳は、確かに欲情を宿しているのに。 滴るような色気を放ちながら、触れそうになる指先を振り払い、そして…。 「…まだ、足りませんか…?」 ゆらりと視界が揺れた。 それはきっとこの人がこれからするだろう行為への期待だ。 「ねぇ、カカシさん?」 笑顔が、俺を誘う。 その足元にひれ伏せとばかりに、傲慢な響きで俺の名を呼ぶ人に逆らえるはずもない。 「イルカ先生…欲しい」 俺の告白に満足げに舌なめずりしたイルカ先生が、ケダモノの目をして俺を捉える。 ああ、食われそうだ。 「…そんなに欲しいなら…ちょっとだけですよ…?」 そんなコトを言うのだ。 自分だって欲情してるのを隠そうともしないくせに。 俺も大概おかしいけれど、きっとこの人もどこかで狂ってしまったんだろう。 …欲しがられることに、欲しがることに。 ねじ伏せることなら簡単だ。だがそんなことはできやしない。 こうして不器用に甘えてくるほどに…愛しい人は俺に溺れてくれているのだから。 「ねぇ。シよ?」 俺から触れると一瞬人肌に慄くように震える体は、こうして触れてくるときだけは強引で。 …子どもみたいに我武者羅に俺を欲しがってくれる。 「ちょっとだけ、ですよ…?」 まるで自分に言い聞かせるみたいに囁く恋人に唇を、体を、心を捧げて。 ここまで俺に惚れてくれたコトに感謝した。 「欲しい」 そういうと泣きそうな顔をして笑うから、今日もきっといつも通り、ちょっとだけのはずの行為は…一晩中終わらないだろうと思った。 ********************************************************************************* 適当ー! いつか素直になってほしいとか思いながら、結局このままを選ぶのかもしれないという話。 ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー! |