しかえし(適当)

なんだかしらないが、勝手に居座った揚句に悪びれない上忍に腹がたったので。…ちょうど眠いし我が物顔でながながと寝そべってるのを枕にしようとしたまではよかったと思うんだが。
「え?なぁに?」
寝転ぶ男の腹の上に頭をどさっとのせてみたが、男はのんきに俺の頭をなでてくる始末。
しかも、だ。寝心地があまりよくない。
ベストは防御のためのものだから硬いし、それはしょうがないにしても、もそもそと動くのが邪魔だ。
巻物ホルダーだろうか?硬くてゴツゴツしているなにかが頭にぶつかって、折角昼寝しようと思ったのに目がさえてしまいそうだ。
「うーごーくーな!」
業を煮やして、後頭部をおもいきりよく腹に乗せたせいでゴスッと音がしたが、まあたいしたことはないだろう。
なにせ男は上忍なんだし。
そう決め込んで強引に枕にしてみたもののやっぱり寝心地はよくない。
硬いのは変わらないし、俺の何がつぼに嵌ったのか分からないが、楽しげにくつくつと笑う男のせいで眠ることなんてできそうにない。
腹の立つコトに、多分男はこの状況を楽しんでさえいるのだ。
「ねむいの?ねぇ、どうせなら…」
「うるさい!だまってねっころがってろ!」
どうにかしてこの男に一矢報いたいだけなのだ。
こんな風に誘う瞳に負けるなんて…そんなつもりは毛頭ない。
だからって、怪我なんてさせたいわけもないのだが。
傷つくことが日常になりすぎている男に、痛みなど意味がないだろう?
ただ…俺自身、この猫のように長く寝そべるご機嫌な男が傷つく所なんて見たくないだけだけど。
だが少し位思い知らせてやってもいいはずだ。
男はふらりと…だが当たり前のように寄ってきて、いつの間にか側に居着いて、懐いて、するりと俺の隣に居場所を作ってしまった。
…不法侵入だと喚く前に、堂々としたその態度と甘える声で俺を唆して。
そのくせいつだって姿を消すのが美味いのだから始末に終えない。
任務なのかなんなのか、いつのまにかふわりと姿を消して、一人でいることに慣れすぎていた俺に、わざわざ寂しいなんて感情を思い出させて。
帰ってくるときは当然のように俺の部屋で寛いでいるのだ。
これで、腹が立たない方がおかしいだろう?
むかむかしながら天井を睨みつけ、男の腹からはどいてやらないでいたのだが。
「ねぇ。寝心地悪いでしょ?」
「へ?わぁっ!?」
ひょいっと抱きしめられてキスを一つ落とされて…それから気付けばベッドの上だった。
あまりにも簡単にあしらわれて、男がしでかしたもう一つの不本意な侵入行為を思い出して慌てふためいたが、柔らかく抱きしめる腕はそれ以上の不埒な動きをしてこない。
…そういえばこれも不思議だ。
いつだって行為は唐突で強引で、そのくせ懇願が付いて回るのだから。
シたい、なんて。泣きそうな瞳で言われる方の身にもなればいいんだ!
どうせまた今日も同じように、言葉以外で訴えてくるんだろうと思うと、喚きだしたい気持ちを抑えるのが難しいほどだ。
だが、男は。
「どうせ寝るなら…もうちょっと色っぽいことがしたいんだけどね?…疲れてるんでしょ?一緒にちょっとだけ寝よ?」
「ふぇ?」
包みこむようにまわされた腕は温かい。眠りに落ちるのにはもってこいだ。
男の方が幸せそうに見えるのが腹立たしい気もしたが、一応振り回してやったのだから結果的には目的達成だろうか?
…眠いし、もういいか。今日の所は勘弁してやっても。
「おやすみ」
「うー…」
男の囁きに答えすら返せずに抗い難い眠気に身を任せた。
ふわりと温かな何かに包まれて、ゆるやかな眠りに沈み込む瞬間。
「あーもう!反則ばっかり!起きたらちょっと覚悟しといてね…?」
なんて男が言うから。
ソレはこっちのセリフだと、目覚めたら絶対に言い返してやろうと決めたのだった。


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適当ー!
イルカてんてーが眠かったらおそいた…げふんごふん!という話。
お互いずるいー!俺の子とめろめろにしてずるいー!って言ってればいいとおもう!

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