あのこがほしい(適当)


「へー?じゃ、その子が欲しいの?」
「はい」
珍しく子どもらしい顔をしてると思ったから、嬉しくて嬉しくてケーキとか買ってきちゃったんだけど、その理由を聞いてちょっと驚いた。
ああ甘いもの苦手なのは知ってるよ?でも買ってきちゃうとしぶしぶ食べてくれるのがかわいいんだよね!複雑そうな顔して、でももらったものは無碍にできないところがお父さんにそっくりだ。ま、俺のかわいい奥さんには怒られちゃうんだけどね?
おっと、話がそれた。
「一目ぼれなんてやるじゃない!カカシ!」
「先生。それは褒めるところじゃないと思います」
突っ込みの鋭さ相変わらずなんだけど、恋わずらいしてますーって顔がたまらないよね!お父さんもかっこよかったけど、この子も将来有望だ。それに俺が後ろ盾になるんだから完璧だろう?
血継限界とか大名の娘とかだと多少面倒だけど、どんな相手でも囲い込んでなんとかしてあげる気満々だ。
だって普段はツンツンしてて、そこがまたかわいいんだけど、一目ぼれなんてますますかわいいじゃないか。
まあ相手にはちょっと驚いたんだけど。
「うみのさんとこの子かー。うーん下手な大名とかより厄介かなぁ」
「うみのさん?うみのさんって、あのうみのさんの子なんですか?イルカが?」
あからさまに似てないって顔中にかいてあるよカカシ…。まあ気持ちはすっごくよくわかるけどね。かわいいもんね。あの子。育ったらそこそこ体格よくなるだろうけど、なんていうか仕草が愛くるしい。
どういう遺伝子の不思議であんな風になるんだろうっていうくらい、イルカ君はいいとこ取りで生まれてきたと思う。
髪の毛が硬いところとか、きりっとした眉とかはうみのさんそっくりだけど、目の優しさとか笑顔のかわいらしさとかは奥さんに似た。性格は殆どお父さんからもらったみたいで、奥さんの天然な腹黒さは似なかったみたいだけど。
うーん。目の付け所が違うね!流石うちのカカシだ!
性別は…まあ今ならなんとかできちゃうし、そのままがいいっていうならそれはそれで何とでも方法はある。女抱いて来いっていってもカカシは潔癖だから無理だろうし、術は…確か色々あったはずだからそれを使うとして、ま、なんとかなるよね。
それより問題はうみのさんだ。あの人強いししぶといし根性ありすぎるしなによりものすごい親ばかなんだよね…。困ったもんだ。
うちのかわいいカカシのためなんだから、イルカくん一人くれるくらいいいじゃないか。まったくもう。
怒ると面倒だし、あの人を怒らせると奥さんの方が怖い。正直言って倫理観は俺とあまりかわらない奥方は、多分だけどイルカ君が望むなら色々細かいことは気にせず娶わせてくれるだろう。
でも、うみのさんが拒めば話は別だ。あっという間に最高の盾にして最高の武器になる。
夫唱婦随ってああいう感じなのかなー?俺もクシナにおねだりされちゃうとついつい…っとと!また話がそれちゃった。そうそう。カカシだ。
「…うみのさんに貸しを作れば…」
「そうだね。その手もあるね」
「イルカとはもう結構仲がいいし。おやつもっていくとおいしいって食べてくれるし」
「すごいじゃないか!カカシ!」
ちなみにその手は俺も使った。口を栗鼠みたいに膨らませて命一杯ケーキをほおばるかわいさっていったらもうね!その場で押し倒したくなっちゃうくらいだよ!
うん。ちゃんと先人の教えとか失敗とかを忘れないところが偉い。
「どうにかして既成事実に持ち込んじゃえば…!」
「うーん?タイミング考えようね?」
「…まだイルカはチビだし…家とか宝石とか興味ないし、上忍の推薦も無理だし…自力でなるから大丈夫とかいって心配で心配で心配で…!」
「まずは中忍になってからかな?」
「俺だけのモノにしたい」
「そうだね!すっごくよくわかるよ!」
煮詰まってるなぁ。天才肌のこの子にとって、これは中々大きなハードルなんじゃないだろうか。勢いあまってちょっとくらい手を出しちゃってもいいんじゃないかなー?駄目かなー?クシナは怒るよね。イルカのことかわいがってるし。
「…先生に言っても仕方ないですよね。イルカ強情だけど、うみのさんが親なら留守がちだろうし、俺の家にお泊りとかさせて少しずつ油断させようと思います」
「ん!中々堅実だね!流石カカシ君だ!根回しとか色々は任せてよ!」
「はい」
きりっとしたりりしい顔だ。うんうん!先生はその成長が嬉しいよ…!今夜はお赤飯かな!
わくわくする気持ちを胸に、その日のうちに色々と根回しはすんだんだけど。
翌日、俺の前には忍刀引っさげたうみのさんを、カカシ君なら将来有望だからイルカにお勧めよ?って宥める奥さんと、父ちゃんかっこいいってきゃっきゃっしてるイルカ君と、その横で一生苦労させませんって力強く宣言してるカカシがいた。
うんうん。がんばるんだよ!カカシ!
ま、仕事の邪魔だからとりあえずイルカ君は預かってケーキを与えて、うみのさんとカカシは男同士の話し合いをさせるために術でちょーっと遠くまで放り出して、奥方にはカカシ君の有望さをたっぷりアピールしておいた。
その後飛び込んできた二人が双方とも無傷だったところをみると、実力も認めてもらえただろうし楽しみだね!
二人の明るい未来を夢見て飲むお茶は、幸せの味がした。



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適当。
せんせと教え子。どっちもあかんかんじ。

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