先輩9 -潜入-(ヤマト視点幼馴染カカイル夫夫)

「お前は美しいのう…!」
「あー…そうですね。」
半ば服を脱がされて横たわっているのは…先輩だ。
それに近づいていやらしい笑みを浮かべる男が、今回のターゲット。火の国で大規模な誘拐を行った人身売買組織を束ね、 他にも容姿の整った幼い陰間を好み、常習的に淫行に耽っていたらしい。…しかも、火の国の大名の息子という自分の地位を利用して…。
容姿の整った子ども囮にする必要があったので、先輩に白羽の矢が立ったんだけど…。
わざと捕まって、僕と先輩が幻術かけて、ターゲットが閨の中でぺらぺらしゃべった情報を集めて、作戦を立てた。 …今日はその、結構の日だ。
攫われてきた子どもたちを解放する部隊が今頃、動いてるはずなんだけど…。まだその結果の報告が来てないから、いたずらに動けない。先輩も術をかけるかのタイミングを計りかねてるみたいだ。
…まあそうだよね。毎回毎回見てて気持ち悪かったもんね…。何もない空間に腰振って、興奮する変態なんて見たくないんだろう。それからすぐ捕縛するにしても股間膨らませてはぁはぁ言ってるのなんか最悪だ。それ以前に、別部隊が万が一失敗した場合は下手に幻術かけると、助けに来た護衛とかに気づかれるかもしれないし…。
…僕たちが水面下で動いてきたことが功を奏し、ターゲットは今日も先輩をその薄汚い欲望のはけ口にするつもりみたいだ。
「ほほっ!そのつれない態度も良い良い…さ、今宵は…」
ターゲットが先輩の肌に手を伸ばす。先輩がどんどん不機嫌になってくのが分かるだけに、僕の方もドキドキする。
「…酒がなくなりましたね。今…」
流石先輩だ!さりげなく席を立とうとしてる!
これなら…!
そう思ったけど、ターゲットはしつこく先輩に言い寄った。
「酒などどうでもよい。さあ…!」
あ!腕なんかつかんで…!
その時、部屋の中に伝令らしき仲間が現れた。
「お待たせしました!隊長!もう大丈夫です!」
その声を聞くなり、腕をつかまれていた先輩が豹変した。
思いっきりターゲットを足蹴にして、怒鳴りつけた。…伝令を。
「おっそいんだよ!この馬鹿!」
「ひい!?何ヤツ…!お、お前は…!?」
先輩の剣幕と突然現れた仲間に怯えた男は、股間を露にしたみっともない格好で後ずさっていく。そろそろ、僕も…と思ったけど、先輩がものすごい勢いで喚き始めたのでタイミングを逸した。
「この変態野郎の相手すんのホント大変だったんだから!あー気持ち悪っ!」
「す、すみません…!もう捕縛しても…!」
あーあ…。あの分じゃ八つ当たりされちゃうよね…。どうしよう?助けに行くにしても落ち着いてからじゃないと…。
そう思ってたら、おもむろに先輩が逃げ出そうとしてたターゲットを蹴りつけた。
「じゃ、適当に痛めつけるか。気持ち悪かった分取り返さないとね。」
そういうなり、更に蹴る。しかも股間を集中的に、一切の迷いもなく。
コレはまずい!ころしちゃうかも!?
「ちょっ!待って下さいよ先輩!」
慌てて止めに入ったけど、白眼剥いて失神してる男は、ぴくぴく痙攣しながら泡を噴いていた。
出血はしてるけどそれほどでもないみたいだ。…生きてるから、まあ、いいか…。殺さなかった所をみると、一応先輩も任務を忘れてなかったらしい。
…そういうところは尊敬だよね。まあこんなヤツやっちゃえばイイと思うけど、火の国では大名や高官の犯罪は厳しく裁かれるから、コイツにとってはそっちの方が恐ろしいだろうし。
本当に全てを奪われた上に、閉ざされた厳しい環境で労役を課せられることになるだろうから。…こんなに贅沢な暮らしをしていたこのターゲットじゃ、きっとすぐ苦しんで…。
…転がしたままにはできないので、とりあえず捕縛様の縄でしっかり拘束した。
これからコレを大名とか、高官の犯罪を裁く所まで運ぶことになってるんだけど…。
「あー気持ち悪っ!ホントさー…イルカ以外の野郎のモノなんかみたくもないっつーのに…!!!ま、イルカのなら舐めてしゃぶって転がして…ちょっと!お前俺のかわいいイルカの…想像してないでしょうね!」
わー!?先輩が…!伝令の仲間にいちゃもんつけてる!!!
「落ち着いてください先輩!気持ち悪かったのは分かりましたから!ホラ!行きましょう!イルカさんが待ってますよ!」
任務が結構長かった上に内容が内容だし、先輩の奥さんを連れてこられなかったから、相当苛立ってる…!このままじゃ、敵味方問わず八つ当たりの対象に…!
慌てて羽交い絞めにしたら、ちょっとは落ち着いてくれたみたいだ。…多分イルカさんの名前出したからなよなぁ…。
イラつくのは分かるけど…!ホントもう勘弁して欲しいよ…!
「チッ!…他の被害者は?」
イライラしながら、一応話を聞く気になったらしい先輩は、舌打ちしながら仲間に状況を聞いた。僕もこれからの動きに影響するから、しっかり耳をそばだてた。
「全員保護しました。もう大丈夫です。誘拐に関与していたものたちも全員捕縛済みです。」
…忍も混ざってたらしいけど、どうやらちゃんとうまくいったみたいだ。
一安心したら、ちょっと力が抜けた。
そのとたん、先輩が僕の腕を振り切って転がしといたターゲットに再度蹴りを入れた。
「胸糞悪いマネしやがって…!ま、もうアンタ終わりだけど。この薄汚い金で建てた屋敷も、人生もね。」
「ひい!…あ…ぐぁ!」
呻いてるターゲットが聞こえてるかは分からないけど、一応そこそこのところで制止した。
「先輩。ソイツは僕が。先輩は人質を保護してる隊と合流してください。」
元々そういう手はずだったし、これ以上ココにコレおいといたら、先輩が…!
でも、先輩は僕の方をちらりと見ると、伝令の仲間に向かってものすごーく低い声で命令した。
「テンゾウはいい。…お前、コイツ運んどいて。」
「ははははははい!」
「ええ!?でも、その!さっきまで戦闘で…!僕はここにいただけだったから…!」
いざという時に、僕なら先輩に入れ替われるし、幻術もそこそこ得意だったからこの配置だったんだけど…!
これじゃ、へろへろの仲間に運ばせることになっちゃうよ!
「イルカはかわいいから無理ないけどね…。余計なちょっかいかけたら…消すよ?」
「ひいっ!?」
「先輩…。」
おそろしい…!そうか、まださっきのこと根に持ってたのか…!やっぱりあの時飛び出さなくて良かったのか…!?
僕は、文句を言いながら服を着替えている先輩を警戒しながら、伝令の仲間を慰めたのだった。
*****
やっと…帰って来れた!!!
「カカシー!!!」
「イルカー!!!」
飛びついてきたイルカさんを、先輩が嬉しそうに抱きしめている。
つまり…目の前で展開されているのは、感動の対面というわけだ。
きっとコレで先輩も落ち着いてくれるはず…!
なにせ、僕が天井裏生活送ってる間中、ずーっとイルカさんに会えないって愚痴ってたからなぁ!
「えへへ!お帰り!大丈夫だった?」
「あんまり…すっごく気持ち悪い目にあったの…。だから、慰めて…?」
「大変だったんだな…。俺!今日一杯ご馳走作ったんだ!お風呂入って、お腹一杯になったらしっかり寝よう?な?」
「一緒にお風呂入ってくれる?」
「うん!」
ことさらイチャイチャする先輩と奥さんを見てると、ちょっともやもやしたけど、ものすごくホッとした。
でも、何故か頬を赤らめるイルカさんをみてたら、先輩があの時言ったセリフが甦って来て…。
イルカさん…舐め…!
「うぅ!」
鼻腔を伝う生温かくて鉄錆くさいこの液体は…!? 「わあ!テンゾウさん鼻血!大丈夫!?」
「わあ!近づかないで下さいー!」
何だか急に鼻血が出てきたことに驚きながら、とにかくイルカさんを遠ざけようとしたら、先輩が明るい声で引きとめてくれた。
ソレはありがたかったんだけど…。
「ホラ、イルカ。本人も汚いから触っちゃ駄目って!」
そんなコトを言う先輩の瞳が明らかに殺気を帯びていて…。
こうして、僕の潜入任務は、恐ろしいオマケが付いてくることになったのだった。
先輩…!何だか分からないけど、もう料理とお掃除の修行はやりたくありません…!!!


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幼馴染で夫夫扱いになってる(イルカはおそらく良く分かってない。)カカイルと、 少年なテンゾウ(チョイ馬鹿)にさらに続きを増やしてしまいました…。
こうしてテンゾウたんは不思議な修行をさせられ続け、強くて何でも出来る子に育ちました!
で、苦労性。
ま、いつも通りでございます…。

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