先輩5 -思い出の写真-(ヤマト視点幼馴染カカイル夫夫)

「テンゾウさん!」
今日は先輩の奥さんに呼び出されて先輩たちのうちにお邪魔したんだけど…。
「…よくきやがったな。テンゾウ…。」
明らかに殺気だった先輩が僕のことを睨みつけている。多分先輩が僕を呼んだのはイルカさんに頼まれたからで、本意じゃなかったんだろう。
怖いけど…キラキラした目のイルカさんには逆らえないもんなぁ…。
ドキドキしながら待っていたら、イルカさんが真っ黒い何かを持ってきた。
「これ、着てみて欲しいんです!」
「これ、ですか…?」
黒い耳としっぽ。それにマントみたいなもの。
「イルカはさー。黒猫作ったんだけど、俺にはサイズが合わなかったから。お前にやるってさ。」
「ホントはおそろいが良かったんだけど…。」
しょんぼりしながら珍妙な衣装を握り締めるイルカさんを見ていると、僕まで悲しくなってくる。
多分、コレは元々先輩用のもので、試着したらあんまりサイズが合わなかったから僕にくれるってことみたいだ。
イルカさんからプレゼントって嬉しいけど、コレはどうだろう…?
「いいから着ろよ。イルカが折角作ったんだぞ…?」
ふてくされた先輩がイライラしながら僕を脅してくる。
…着ても着なくても酷い目にあいそうだけど、それならイルカさんが悲しまない方がいい。
気が進まなかったけど覚悟を決めた僕は、イルカさんに促されるままにその衣装に着替えた。

*****
「かわいい!テンゾウさんは目がパッチリしてるから似合いますね!」
「そ、そうですか…!」
最初は猫耳なんてって…と思ったけどにこにこしてるイルカさんに言われると何だかそんな気がしてくる。ついつい頭をかきながら照れてしまった。
「いい気になるなよ…?」
イルカさんに聞こえないように低い声で脅してくる先輩のことは別にして、結構楽しくなってきた。
「コレで三人でハロウィンのお祝いができるね!」
え?コレってなにか特別な意味があったのか。はろいん?なんだろう?
「え、でもコレ俺のじゃないんだよね?」
「カカシにはこっち!吸血鬼!」
「え、え!」
「で、俺はコレ!狼男!」
あ、可愛い!尻尾も本物みたいにフサフサだ。イルカさんは手先が器用だなぁ!
「ありがとうイルカ…!!!」
感動しまくってる先輩が、イルカさんを抱きしめた。
「あ、ちょっとカカシ!」
照れてるイルカさんといちゃつく先輩は目の毒だ。
「…テンゾウ…?」
あ、はいはい。コレ貰っちゃっていいみたいだから、このまま帰ろうかな。
「待って!カカシも着て見せてよ!俺も着るから!」
「ええええええ!」
先輩のコスプレ…それに更にイルカさんのコスプレも…!見たら殺されないかな!?
「サイズがまた合わなかったらやだし…きっと似合うと思うんだ!」
「イルカったら…!」
ナイス!イルカさん!これで先輩は…!
「一緒に着替えようね!」
あ、駄目だったかも。そろそろ帰ったほうがいいかな…?
「テンゾウさん!ちょっと待っててくださいね!」
にっこり笑って隣の部屋に消えた二人を待つことしばし。
「あ、待たせたな!テンゾウ!」
「も、もう!カカシったら!」
何だか赤い顔したイルカさんを抱きしめながら、凄くご機嫌な先輩が出てきた。
なんだろうちょっとイライラする…。
あ、でも。
「良く似合いますね!」
二人とも衣装のサイズもさることながら、デザインもしっかり似合っている。
イルカさんのイタズラっぽい雰囲気がぴったりな狼男と、先輩の冷たい感じの美貌が映える吸血鬼。イルカさんはほんとにすごい。
「えへへ!ありがとうございます!」
「ほんとに良く似合ってるよイルカ…!」
そろそろホントもう…帰っていいかな。
僕がさりげなく帰り支度をしていると、イルカさんがごそごそ何かやり始めた。
何だろう?
「記念に一緒に写真撮ろう!」
「え!」
写真!?僕たち暗部なのに!?
「いいけど。撮る人いないでしょ?」
あ、先輩も流石にさりげなく止めてる!大丈夫かな?これで。
「うん!だから影分身して!」
「しょうがないなー。イルカのおねだりは聞かないとね!」
駄目だ!イルカさんの魅力に先輩が負けた…!
…ここは俺が…!
「先輩!僕が撮りますよ!ほら!三人で写真撮ると縁起悪いとかって言うし!」
ホントは良く知らないけど、確かそんな噂があったはず!
「テンゾウもそういってるし!任せよっか!」
「うーん。そういえばそっか。済みませんテンゾウさん!」
そうして…僕は珍妙な格好の先輩とイルカさんが写った写真と…僕が一人だけで写っている写真を撮ることになったのだった。
*****
「テンゾウ。受け取れ。」
後日先輩に差し出されたものは、風呂敷につつまれたものだった。どうやら例の写真らしい。しかもご丁寧にフォトフレームに入っている みたいで、硬く冷たい感触が伝わってくる。
「あのー…因みにネガは…?」
僕はぴりぴりした先輩に怯えながら、恐る恐る気になっていた事を聞いてみた。
だって…もしネガが残ってたら大事だよね?あと、現像とかもどこでやったんだろう?写真屋さんも記憶操作しなきゃいけないのかなー…。
「俺が持ってる。…いい気になるなよテンゾウ…。」
何だか機密の方は一応大丈夫みたいだけど、最後の捨て台詞は何だろう…?
僕がびくびくしながら風呂敷を開けるとそこには…。
「テンゾウさんへ!ありがとうございました!」
というメッセージ入りのクッキーがいっしょに入っていた。
イルカさんの律儀さが表れてて凄く幸せになったけど、同時に…今日の任務で生き延びるために、相当な努力を覚悟したのだった。

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幼馴染で夫夫扱いになってる(イルカはおそらく良く分かってない。)カカイルと、 少年なテンゾウ(チョイ馬鹿)続き!です!!!
クッキーはかぼちゃ柄。でもテンゾウたんは良く分かってないので普通に喜んで食って、でもなんでかぼちゃ?と思ってたりします。
何でコスプレなのかも理解しておらず…。 ご意見ご感想大歓迎!!!
微妙すぎですが多分勝手に続きます…。

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