先輩16 -先輩の誕生日-(ヤマト視点幼馴染カカイル夫夫)

「あの、それで…一体何があったんですか…!?」
ある日突然、イルカさんに呼び出された僕は、今地雷原の真っ只中…いやその!…先輩とイルカさんとの愛の巣の居間にいる。
…できれば今すぐにここから脱出したい。
なにせ先輩はイルカさんを溺愛してるから、僕が…先輩が任務で不在中だっていうのに、こんな所にいるなんてばれたら…!
確実に、僕の命は…。
でも!!断れなかったんだ…!だって、イルカさんが瞳をうるうるさせながら、どうしても相談に乗って欲しいっていうから…!
…そんなわけで、命の危機に直面してる僕の心臓はばくばくいってるし、冷や汗は止まらないし、相変らずイルカさんが可愛くて和むし…とにかく大変なコトになっているんだ。
「ごめんなさい…!あの…!カカシの誕生日プレゼントに迷ってて…!」
そういって恥ずかしそうに目を伏せて頬を赤く染めるイルカさんは、やっぱり可愛らしくて…本当に先輩のことが大切なんだって、凄く良く分かる。
いつも危険な任務についてばかりの先輩に、こんなステキな奥さんがいるのはやっぱりイイコトだよね。
…どうしてか痛む胸に気付かないフリをして、僕はとりあえず先輩の喜びそうなことを例に出してみるコトにした。
「それなら…きっと、イルカさんとふたりっきりでゆっくり過ごすだけでも嬉しいと思うんです!もしそれだけではって言う場合は…イルカさんが手作りの品物なら、きっと凄く喜ぶはずですよ!」
モノがほしいんじゃなくて、イルカさんが先輩のためにっていう所が重要なんだよね。
この間の僕の誕生祝の根付だって、未だに先輩に狙われてる気がするし…とにかくイルカさん第一主義の先輩へのお祝いにするなら、イルカさんが作ったとか、手に入れるために凄く頑張ったとか…そういうものがイイと思ったんだ。
でも…イルカさんにとっては意外な答えだったみたいだ。
「えぇ!?でも、俺…!テンゾウさんに誕生日のお祝い一緒にしてもらおうと思ってたのに!一人だけでお祝いなんて…寂しいんじゃないかなぁ…。」
目を見開いて驚くイルカさんは、ちょっと泣きそうな顔をしている。
しまった…!そういえば、イルカさんは結構寂しがりやなんだった!
それでなくても今回の先輩の任務は長引いてて、そろそろ僕がイルカさんのお手紙係として任務につけられるかもしれないくらいだし…お祝いごとは大勢でって言う感覚のイルカさんからしてみれば、今の自分の寂しさといっしょになって、凄く悲しくなっちゃったのかも…!?
「そ、それは…!お手伝いならしますけど…!でもその!ほら!水入らずって大切ですしね!?」
冷や汗が滝のように背中を流れていくのが分かる。
手伝い…イルカさんのことだから、びっくりさせようと秘密でとかってことだと思うから…。
イルカさんと二人っきりで、台所とかですごすことになるわけだよね!?
…それは、つまり…僕の命の危険が急激に上昇していることを意味している。
泣き顔のイルカさんをみてると、なんでもいうことを聞いて上げたくなるし、先輩のために頑張ってるって所を考えても、ここはお手伝いしたいところだ。
でも、それはきっと…先輩の誕生日を台無しにすることにもなりかねない。
慌てふためく僕に、しょんぼりしたイルカさんが追い討ちをかけた。
「そう、ですよね…テンゾウさんだってお忙しいのに…」
わー!?こ、これはまずい!イルカさんが…な、泣きそうな顔で…!
胸が刺されたみたいに痛む。ぎゅっと締め付けられたようなその痛みに、僕はすぐに考えを変えた。
…どうせここでイルカさんを泣かせたってことがばれたら半殺しなんだから、イルカさんと二人っきりで誕生日のお手伝いしたって理由で半殺しにされるのも一緒か…。
「お手伝い!させてください!…あの、お祝いの会が始まったら、ちょっとその…!に、任務で席をはずさせていただきたいんですけど!ソレまでは是非!」
…裏方に徹するから緩して下さい先輩…!
花が咲いたように笑うイルカさんの笑顔に、僕は先輩への許しを願った。
…無駄だって分かってたけどね…。
*****
「これで…どうかな?」
「わぁ!すごいです!テンゾウさん!」
「あ、ありがとうございます!でも…イルカさんの手作りケーキには敵いませんよ!きっと先輩も大喜びしますね!」
「そんなことは…!でも、えへへ!…喜んでくれるといいなぁ…!ありがとうございます!」
僕が盛り付けを手伝っている間に、イルカさんが完成させてケーキは、甘いものが苦手な先輩でもたべられるように、ビターチョコたっぷりで仕上げられた大人の味だ。
ごちそうだって、散らし寿司とかと一緒に、先輩の大好物である秋刀魚やナスの味噌汁も用意されてて…先輩が愛されてるって、凄く良く分かる。 今だって、イルカさんが先輩を思ってみせた笑顔は、いつも以上に輝いて見えるくらいだから。
とにかく、これで準備は完了だ。
式によれば任務は何とか終了したようだし、先輩のことだから絶対に今日中には帰還するだろう。
それまでに、僕がココを抜け出せば…きっと、なんとか…なってくれ…!
「では、イルカさん。これで僕は…あ、これだけ、お渡しするのをお願いしてもいいですか…?」
イルカさんにあったってことがばれちゃうけど、せっかくの先輩の誕生日だから、僕なりにお祝いしたいと思って、一応プレゼントを用意した。
イルカさんからのお手紙を伝令するときに使えるように、イルカさんの肉声を伝えることが出来る木製のイルカと…それから、先輩の声をイルカさんに届けられる様にする木製のカカシのも入ってる。
先輩の式なら同じことができなくはないけど、やっぱり届かないっていうリスクがあるしね。それなら、僕が直接渡せるのがイイと思ったんだ。 お祝いしてもらって嬉しかったから、お返しを少しでもしたくて…。
僕が手渡したそれをイルカさんは大切そうに受け取ってくれた。
「ありがとうございます!テンゾウさん!…カカシに、こんなにいい友達がいてよかった…!」
「と…いえ、その、たいしたものではないんですけど…ではこれで!」
友達…とかそういうのは違う気がしたけど、とにかく早く逃げないといけないと思って、適当にごまかした。
…ここにいたら先輩に制裁が…!
それに、なぜかはわからないけど、先輩とイルカさんが一緒にいるところを、今日はみたくなかったから。
…先輩のために極上の笑顔を浮かべて必死になっているイルカさんの顔が目に焼きついて、離れない。それが…先輩にあえたら、きっともっと輝くだろう。
それを、どうしても見たくなかった。
「残念です…!でも!また一緒にご飯とか…」
「はい。ではこれで…」
しきりに残念がるイルカさんをどうにか振り切って、窓からさっさと逃げた…はずだったのに。
「いーい度胸だねぇ…?」
鋭い殺気と身動きの取れない体。
間に合わなかったか…。
予想はしていたとはいえ、恐怖で気が遠くなった。
戦闘後の高ぶった気配を隠そうともせず、むしろそれを僕に叩きつけるように振舞う先輩の気配は、暗部で慣れている僕でもキツイ。
でも、そんな気配よりも、無事だったことが嬉しかった。
あんなに一生懸命準備してたから、ちゃんと先輩に楽しんで欲しい。
…そして、できればお仕置きは軽い物にしてくれる…はず、ないよね…。
「おかえり!カカシ!」
一触即発の空気を、イルカさんの心底嬉しそうな笑顔が打ち砕いた。
「イルカ…ごめんね…おそくなっちゃった…!」
「大丈夫!…無事で、よかった…!」
先輩は早速イルカさんを抱きしめている。
もちろんイルカさんも先輩に抱きついて凄くすごく嬉しそうにしている。
まさに、二人の世界って感じだ。
…僕はといえば、先輩が術か何かを使ったせいで身動きも出来ずにいるんだけどね…。
「ねぇ。ところでこのご馳走、どうしたの?」
先輩が、やっと普段と違う台所に気付いたみたいだ。
何とか怒りがそれてくれるといいんだけどね…。
…当然、その目論見は塵芥に帰した。
「あ!これ!テンゾウさんがね!カカシのお誕生日のご馳走手伝ってくれたんだ!」
「へぇ…?ってことは、ここでテンゾウとふたりっきりで…?」
「手際がすごくいいんだ!だから間に合ったのもテンゾウさんのお陰なんだ!」
「ふぅん…?イルカの前でイイ格好したかったわけ…?」
イルカさんが、どんどんボケツを掘っていく。先輩の怒気と殺気はうなぎのぼりだ。
…もうこの際、僕の未来はなかったものとしてあきらめた方がいいんじゃないだろうか。そう思うくらいに現状は厳しい。
「もちろんプレゼントも預かってるよ!…今から任務じゃなかったら、一緒にお祝いしてもらいたかったんだけど…」
ああ…ここまでいっちゃったら、もうだめだよね…僕の明日は…。
すっかり絶望の淵にいた僕に、先輩は予想外の答えをくれた。
「任務なの。じゃ、さっさと行きなさいよ!」
そういうなり適当に窓から追い出されてしまった。
…後から確実に先輩のお仕置きが待っているとはいえ、これなら被害は少なかったといえるだろう。
拍子抜けした。…ソレと共に脱力も。
幸せそうな二人を尻目に、僕はすごすごとその場を後にしたのだった。


ちなみに、やっぱり先輩は相当怒っていた。
先輩…!とんでもなく激しい修行の後に、フルーツカービングしこむの止めてください…!
…どうやら相当イイ目を見たみたいで、大分手加減してくれたんだけど…何故か僕の脳裏に先輩のために笑うイルカさんの顔がちらついて…何だか落ち着かない思いをするはめになったのだった。


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幼馴染で夫夫扱いになってる(イルカはおそらく良く分かってない。)カカイルと、 少年なテンゾウ(チョイ馬鹿)に続きでございます…。
お誕生日おめでとう先輩編!
戦闘もできて家も建てられる…テンゾウたんはマルチな花嫁!になる予定だからってことで!
ご意見ご感想など、お気軽にどうぞ…!!!

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