先輩14 -夏祭り-(ヤマト視点幼馴染カカイル夫夫)

「あーもー…ダル…。何でこんな…!」
先輩が居間でごろごろ転がりながら、不満そうにブツブツ文句を言っている。
先輩が凄く不機嫌なのには理由がある。
…イルカさんが、夏祭りに行こうって、誘ってくれたからだ。
お面をつければ大丈夫だからって、先輩は勿論、僕の分まで浴衣を用意してくれて、イルカさん本人もおそろいにしたって教えてくれた。
誘われた時に先輩がいたら、断る勇気も持てたのかもしれない。
でも、その時僕は任務帰りでたまたまイルカさんと行き会ったから、うっかり一対一で話すコトになっちゃったからなぁ…。
そんな状況で、イルカさんに、「テンゾウさんの分、ちゃんと用意したんです!」なんてものすごく嬉しそうに言われたら…断れるわけないよ!
思わず、「はい!ありがとうございます!」なんて言っちゃったもんだから酷い目に合った。
…その後、先輩には、まず奥さんとふたりっきりで話しちゃったことで制裁を受け、さらに可愛い笑顔を見たって理由で制裁を受け、勿論、夏祭りの誘いを断らなかったって理由でも制裁を受けた。
…まあ、どうせ断っても「イルカのお願いを聞けないって言うのか…?」とか言われちゃうんだろうから、いいんだけどね…。
それと、修行もつらかったけど、それよりなにより…。
どうして先輩は僕に良く分からないことを覚えさせようとするんだ…!お茶だのお花だのは潜入任務で使えなくもない気がするけど、布団の打ち直しとかはいらないと思うんだけど!
まあ、言っても無駄だって言うのは良く分かってるんだけどね…。奥さん第一主義の嫉妬深い先輩が、僕のいうコトを聞いてくれるわけないもんね…。
しかも、そんなわけで元々不機嫌だった先輩に、更に追い討ちをかけるように、当日になってイルカさんに三代目からの呼び出しが入ったもんだから、先輩の機嫌は最悪だ。
毎年三代目がお祭前にお小遣いをくれるらしいんだけど、正直、その分のお金は僕がだすから、早く先輩のところに奥さんを返してあげて欲しい…!
不機嫌すぎてチャクラの圧迫感がすごいし、殺気も出てるし、当り散らされるし…!
お祭っていうのにはいったことがなかったから、正直興味があったけど、こんな目に合うなら家でジオラマ作ってた方がよかったんじゃないかなぁ…。
だんだん気分が落ち込み始めた僕に、元気で明るいイルカさんの声が届いた。
「カカシー!テンゾウさんも!お待たせ!出かけよう!」
元気良く僕たちに声を掛けてくれたイルカさんは…!
「その浴衣、やっぱり凄くかわいい!似合ってるね!」
そう、すごく可愛らしかった!模様は地味っていうか、なんだか男物みたいだけど、元気なイルカさんにぴったりだ!
先輩が感動のあまり抱きしめてるのがよく分かる。…でも、何だかちょっと胸が痛かったけど。
「ホントに、似合ってますね!」
「…ふぅん?」
まずった!先輩の機嫌が…!そんなに睨まないで下さいよ…!正直な感想を言っただけなんですって!
焦る僕に、イルカさんがくるっとまわって見せてくれた。
「これ!三代目のところで着せてもらったんです!」
嬉しそうなイルカさんは凄くかわいらしいんだけど…でも!それ多分禁句ですよ…!?
案の定、先輩から殺気が噴出した。
「だれが、イルカに触ったの…?」
まずい。この状態だと周りに被害が…!
「先輩!ほ、ほら、僕たちも着替えないと時間が…!奥さんも楽しみにしてるんだし!」
慌てて浴衣を押し付けて制止したら、ぎろっと睨まれた。
「触った?着付けてくれたのは、三代目のところのお手伝いのおばあちゃんだよ?」
「…ちっ…なら、まだ許せるか…?」
先輩の低く小さな呟きが怖すぎる…!その人って、確かもう90近いのに、どうしてそんなしぶしぶ納得してるんですか…!?
でも、なんとか殺気は治まった。これ以上ごたごたする前にお祭に行かないと!
そう思った矢先に、先輩に視線で追払われた。
とにかく、お祭だ!
「き、着替えてきます!」
逃げるように隣室に飛び込み、イルカさんが用意してくれたって言う浴衣を急いで身に着けた。
…襖のむこうから聞こえてくる蕩けるように甘い声先輩の声とはしゃいだイルカさんの声と…不自然な衣擦れに耳をふさぎながら…。
*****
ああ、何でこんなコトになってるんだろう?
「イルカが楽しみにしてたんだ。」
その一言で、僕はなぜかイルカさんと先輩たちに引きずられるように露天を周らされた。
始めてみる祭は正直結構楽しかった。食べたことのないモノが沢山あったし!…まあ、先輩の刺す様な視線とチャクラがなければもっと楽しかったんだけどしょうがないし…。
「ねぇねぇカカシ!皆で一緒にあの射的やろう!」
周るお店は大抵イルカさんが決めてたけど、今度はどうやら射的というヤツらしい。
おもちゃの鉄砲で的になっているお菓子を打って、当たればもらえるんだと説明してくれた。
なんだか、面白そうだけど、これって、忍の僕たちがやってもいいのかなぁ?凄く簡単だと思うんだけど。
そんな僕の危惧など気付きもせず、先輩とイルカさんはいちゃいちゃしている。
「うん。イルカは何がほしい?」
「えっと、あのお菓子かな!」
「任せて!」
…夫婦の仲がいいのは、いいことだ。
相談してる間中もずっとくっ付いてる二人を見ていると、何故か今すぐ帰りたくなったけれど。
「テンゾウさんは?」
ぼーっと二人を見てたら、キラキラした瞳のイルカさんに急に話しかけられた。
「僕は、その!…あ、そ、そっちのキャラメル狙ってみます!」
明るい笑顔と、イルカさんに良く似合っている浴衣。
そんな楽しげなイルカさんと一緒にいられるのは嬉しいんだけど、しつこく何度も踏まれる足とか、イルカさんが露天なんかに集中してる間中小声で「いい気に、なるなよ…?」とか脅されるからなぁ…。
それに、下手に先輩よりイイ物当てたら後が怖いし。
「はい。イルカのだよ!」
「やったぁ!ありがとう!」
手際よくイルカさんの欲しがってたお菓子を当ててあげている先輩は、ちょっと誇らしげで微笑ましい。
先輩があんな風に楽しそうにしてるのって、イルカさんと一緒にいるときだけだから。
…その分被害は…。まあ、とにかく!早く終わらせて、適当な所で逃げないと…!
いちゃつく二人を尻目に、僕は僕なりに適当にキャラメルを狙った。
「えいっ!」
ぽこんと、間抜けな音がして、キャラメルが倒れた。
まあとうぜんだよね?僕、暗部だし。
「すごいなぁ!テンゾウさん!初めてなんですよね!」
でも、やっぱりイルカさんは大げさなくらい褒めてくれた。
「え、あ、はい!」
嬉しい。その笑顔が。
…僕がキラキラした瞳で見つめられてどぎまぎしてたら、殺気と共に先輩の小さな声が聞こえた。
「覚えてろよ…?」
ああ…逃げ出したい…!イルカさんが僕の着てる浴衣のすそを掴んで喜んでるんじゃなかったら…!
寒気と暗い予感を覚えながら、僕は改めて先輩の制裁を覚悟したのだった。

…それから、結局盆踊りっていうのを見て、下駄で歩くのに疲れたらしいイルカさんを背負って先輩が消えるまで、僕は殺気と笑顔という天国と地獄を行ったりきたりする羽目になった。
そして、もちろん…。
修行という名の制裁でボロボロになるとともに、何故か浴衣の縫い方まで…!

お祭は楽しいけど、先輩が恐ろしい。…でも、イルカさんに「また来年も!一緒に行きましょう!」って言われたから、また断れないかもしれないなぁと思った。

あの笑顔に逆らえない理由を、その時はまだ分かっていなかったけれど…。


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幼馴染で夫夫扱いになってる(イルカはおそらく良く分かってない。)カカイルと、 少年なテンゾウ(チョイ馬鹿)に続きでございます…。
夏祭り編?
…いつも通り!
ご意見ご感想など、お気軽にどうぞ…。

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