先輩(ヤマト視点幼馴染カカイル夫夫)

今日は憧れのカカシ先輩との任務!今はターゲットが来るまで待機中だけど、やっぱり先輩はカッコイイなぁ…!緊張しきっている僕と違って、 泰然と構えている。ついつい尊敬のまなざしで見つめてしまったのは無理のないことだと思う。
「テンゾウ」
「はい!先輩!」
今日初めて先輩に話しかけられた!…一体何だろう!
でも…。期待に満ち溢れていた僕に投げつけられた言葉は残酷だった。
「こっち見んな。ウザイ。」
「え…。」
思わず呆然と立ちすくむ僕に、先輩は興味をなくしたように視線をそらした。
「あー…。今頃イルカどうしてるかなー…何でこんなネクラと…」
「せんぱい…」
先輩は僕が実験体だからといって差別はしない。…つまり本気で僕の性格が嫌いなだけだ…。いつものことだけどやっぱり落ち込む…。
ついつい涙ぐむ僕に、先輩はまた冷ややかな視線をよこした。
「泣くとかマジウザイ。」
うんざりしたような物言いが、この人の本気を物語っている。
この間もそうだった。僕が今完成を目指している、火の国のジオラマを見つけられたときと同じ反応だ…!
僕のテンションはどんどん下降し、今や頭からぺんぺん草が生えそうな勢いだ…。
その時、何者かがこちら見向かってくるのに気付いた。僕はついにターゲットが来たのかと、思わず身構えた。
でもその前に、先輩が飛び出していった。流石だなぁ!背後から敵を羽交い絞めにしている。でも…敵にしては…?何だか小さい子なんだけど。 僕と同じくらい?
「カカシー!!!」
先輩の名前を呼んだ!ってことは…味方だよね?額宛はしてるから…下忍?
「イルカ!!!どうしたの!?ジジイにいじめられた!?」
先輩が血相変えて話しかけてる。こんな顔はじめてみた。先輩の知り合いなんだな。
「あのね、伝令!はい、これ。」
イルカと呼ばれた子が、小さな巻物を先輩に手渡した。伝令って…何で暗部の任務に下忍が…?だが先輩が気にしていないところを見ると、 本当はすごい子なのかな?
「ありがと。ねぇ、いつまでいられるの?」
先輩は、イルカって子を後ろから抱きしめてもうメロメロだ。楽しそうに笑っていて、僕の知っている先輩とはまるで別人。…もしかしてこの子が噂の…。
「じい…三代目が、カカシに会いたいなあって行ってたら、任務は危ないからダメだけど、途中までなら一緒にいていいって! 」
イルカって子は、元気一杯に喋っている。黒くて大きな目がキラキラしてて、確かにかわいらしい。…僕も黒くて目が大きいって言われるけど、 先輩にはキモイって言われちゃうんだよな…。
「イルカっ…!」
イルカがことの経緯を説明すると、先輩は伝令の巻物そっちのけで、のしかかるように抱きしめてキスの雨を落としている。
「わぁ!重いよカカシ!あ、えと、コホン…そちらの方は?」
あ、こっち見た。やっぱり大きな瞳をしてる…。一生懸命丁寧な口調で話そうとしてるのが分かってほほえましい。
でも、暗部の自分が名乗ってイイんだろうか?先輩の名前は知ってるみたいだけど…。
それに…あの瞳で見られると、何だか上手く舌が回らない。
「あ、あの!」
僕が言いよどんでいると、カカシ先輩から殺気が放たれた。コレは…本気だ!
「テンゾウ何て放っといていいよ。それより…」
殺気だったカカシ先輩から、あっちいってろオーラが全開で放たれている。どうしよう?
迷った挙句に固まっていると、先輩の腕をすり抜けて、イルカっが、とてとてとこっちにやってきて目の前に立った。
「いつもうちのカカシがお世話になっております。」
ぺこんと頭をさげると、ちょんまげみたいな髪の毛も一緒に跳ねる。何だか可愛いなぁ…。
「い、いえ!俺の方がいつもお世話になってます!ありがとうございます!」
とっさに頭を下げ返して、僕よりちょっとだけ小さい子にこわばった笑顔を向けた。っていっても面をかぶってるから分からなかったと思うけど。
「あの、カカシはちょっと怒りんぼだけど、悪い奴じゃないから、これからもよろしくお願いします!」
イルカが緊張した顔で、一生懸命先輩の事を弁護する。僕も先輩が悪い人じゃないって言うのは分かってる。絶対に自分の部下を守るし、とても強い。
…わがまま大王だけど。
「はい!もちろん!」
今度は本気の笑顔で、安心させるように行ってあげたら、イルカはにこっと花が咲く様に笑った。
「えへへ…。カカシと一緒の人がいい人でよかった!」
「こちらこそ!」
一緒にニコニコ笑って、何だか楽しい気分になった。これから任無駄なんて思えないくらいだ。だが、先輩から改めて放たれた殺気に、正気に返った。
「ちょっとテンゾウ…」
「はい?」
なんだろう?先輩怒ってる…。
「何イルカと勝手に話してんのよ…」
ああ、そうか、そうだよなぁ。
「あ!先輩の奥さんのことですね!可愛い方ですね!」
噂では幼な妻だって聞いてたけど、ほんとにちっさいんだなぁ。しかも元気が良くて、何だか男の子みたいに見える。まだ小さいからだよね。
それにしても、奥さんと話しただけで怒るなんて、本当に大好きなんだなぁ…。
「当たり前でしょ。手、出すなよ…?」
先輩から放たれる殺気をきにすることなく、イルカは先輩の方へ戻っていった。
一緒にくっ付いていると、何だか凄く納得した。
「お似合いだなあ!優しい感じで、先輩にピッタリですね!」
優しくて可愛いし、先輩は結構とげとげしい性格してるけど、あの子が一緒にいるとやわらかい雰囲気になる。癒しってやつなのかな?激務の先輩にはきっと あの子が必要なんだ。
「そう?まあ、イルカには俺以外ありえないと思うけど、やっぱりお似合い?」
「ええ!」
先輩が照れた様に頭を掻きながら、さりげなくイルカの肩を抱いている。 お似合いって言うか…先輩のこんな状態を見たら、まず間違いなく分かると思うな。
先輩にはこの子しかいないって。
僕の言葉に何か考え込んでいるような顔をした先輩は、珍しく罵倒以外の言葉を僕にかけた。
「そっか。…テンゾウ。」
「はい!」
なんだろう?ターゲットの気配はまだしないけど。
「今度修業付き合ってやる。」
「え?」
今信じられない言葉を聞いたような…?
「返事は?」
「あ、ありがとうございます!!!是非お願いします!」
先輩に…先輩に指導してもらえるなんて…!!!
僕はさっきと違ってテンションがうなぎのぼりになって、頭にひまわりでも咲きそうな勢いになったのを感じた。
先輩はそんな僕を一瞥すると、イルカを抱えて木の上に跳んだ。
「ん。じゃ、しばらくイルカとイチャイチャするから、どっかその辺で、木にでも成り切ってて。」
「はい!って…。いない…。」
認めてもらえた嬉しさに、にこやかに返事をした瞬間には、もう先輩たちの姿は消えていた。
「いいなー先輩は。あんな奥さんがいて。」
僕もいつか…あんなお嫁さんが貰えると良いな…。
そう思いながら僕は先輩に言われたとおり、その辺の木にと同化して、先輩の帰りを待つことにしたのだった。

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幼馴染で夫夫扱いになってる(イルカはおそらく良く分かってない。)カカイルと、 少年なテンゾウ(チョイ馬鹿)な話です。
こっから先の話も作ってみたんですが、微妙なので一旦拍手で上げてみます…。
こんな話の続きを読みたい方はいらっしゃいますでしょうか…?ご意見求む。


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