「あのね?たくさんたくさんいたの!」 「そっか…えーっと。なにが?」 「んーっと。わかんない!でもいなくなっちゃった…」 さて弱った。子どもの扱いなんて得意じゃないんだよね? とはいえ、知り合いの子どもをこんな所においていくわけにもいかないし。 …っていうかさ。どうしてこんな戦場のど真ん中に子どもがいる訳? 俺みたいにもう中忍とかならわかるけど!この子普通のこどもじゃん!しかも俺よりチビの! うみのさんは何をやってるんだ…!? 途方にくれる俺を他所に、イルカちゃんって呼ばれてた気がする子どもは、俺にくっついて楽しげにニコニコ笑っている。 いつ敵襲があるか分からなくて、こっちはひやひやしてるっていうのにね…。 ま、それが分かったら子どもなんてやってないか。 「じゃあさ、えーっと。イルカちゃんはどこから来たの?」 「わかんない…。なんか黄色いせんこう?っていう人が迎えに着て、父ちゃんがぎゃーっていってた!」 「え…!?」 ちょっと待って。今とても聞きたくないけど重要な情報があったよね!? またあの人がらみなの!? 「お友達になってって言ってたけど、いなくなっちゃったからここにいたの!父ちゃんがはぐれたらはぐれた所でまってなさいっていつもいうから!」 えっへんと胸を張られて思わず頭を撫でちゃったけど…犯人の検討が悲しいことについてしまった俺は、呆然とするしかなかった。 あんの馬鹿上忍師!なにやってんのよもう! 「ちょっと!先生!いるんでしょ!なにやってんですか!こんな子ども浚って…!」 戦場のど真ん中で大声で喚くなんて頭がおかしくなったと思われそうだけど、俺はもう確信していた。 あの人が手抜かりをするはずがない。ここら一体の敵は…きっともう息をしていないだろう。 そうでなければこの子をこんな所に放っておくはずがないもん。 っていっても、あからさまに頭おかしいけどね…浚ってくる時点で。 「カカシ君!どうどう?かわいいでしょ!すごく!」 「あー!黄色いせんこう!」 「かわいいとかそういう問題じゃないでしょ!なにやってんですか!?」 俺よりずっと頭も強さも優れているはずなのに、なんだってこう次から次へと色々やらかすんだろう。この人は。 俺の誕生日に家いっぱいのケーキ届けさせたり、いきなり訳の分からない術しかけてきたり…たぶん俺のためっていうのは本当なんだろうけど、色々たっぷり間違ってるから始末に負えない。 「かわいいからお友達から初めてね!カカシっていうんだ!ね?イルカちゃん!」 「カカシ?えへへ!んっと、よろしくお願いします!カカシ!」 うわーかわいいなぁ…! うみのさんちの息子さんって聞いたから、流石にひげは生えてないだろうけど、もっといかついのを想像してたのに。 なんか、うん。いろんな意味で心配だ。 それなのに先生に目を付けられちゃうなんて…もっともっと心配だ。 「よろしくね!さ、おうちに帰ろう?」 「うん!」 「えー?どうしてー?一緒に遊んだりしないの?」 不満げな様子に流石に腹が立ったけど、無駄なことはしない主義だ。あたりもしないクナイ投げたって仕方ないしね。 「しません。今度里で遊ぼうね?」 「あそんでくれるの?うん!」 素直でかわいいけど…なんだってこんなのに狙われて…。 まあいいや。とにかく急いで帰してあげないとね? 「しょうがないなぁ?でもま、やっぱり気に行ったみたいだから、また今度ね!」 不安そうな顔の上忍師が笑うと、次の瞬間にはすでに里についていた。 「わっ!」 「…あいかわらずとんでもないことばっかりして…!」 あわてて確認したけど、一応二人ともは無事そうだし、…あの人に関わってこの程度ですんだ事を喜ぶべきだろう。 「楽しかった!ありがとうカカシ!」 「ん、あーいやその、…お父さんによろしくね?」 …俺のせいだって知れたら消されそうだけど…無事でよかった。 ホッと一息ついた俺に、なぜかイルカが近づいてきて…。 「えへへ!お礼のちゅー!カカシーまた遊んでねー!」 「う、うん!」 あれは…もしかして先生の仕込み…!? 湧き上がる不安は激しかったけど…それよりずっと、走っていってしまったイルカが気になるのはどうしてだろう? 「…へんなの」 まあいいや。先生に目を付けられたなら、俺が守らないと! 密かに守ると決めたことが先生の思う壺だったとか、色々先生の思惑には苦労させられたけど…。 これがある意味運命の出会いだったから、一応感謝することにしている。 ********************************************************************************* 適当。 ねむい。 ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ! |