折角だから(かぼちゃのてんぷら)

「これで…完成だ!」
「なにやってんの?」
「こら!帰ってきてるなら挨拶だろうが!」
「ただいまー。で、これナニ?」
「おかえり!…えーっとだな。最近お前が家にいるから!」
「…それで、これ?」
「ずっといるなら必要だろ!」
「…かぼちゃ模様のふとんカバーが?」
「ちがう!今作ってるこれはカバーだけど、今後はお前の布団もちゃんと用意するぞ!」
「いらないでしょ?」
「でももう客用布団じゃ…」
「一緒に寝てるのに何でいるのよ?」
「そ、そうだった!?」
「一年以上居ついてるのに今更言い出すところがイルカだよねぇ。ま、これは一緒に使えばイイし」
「うぅ…!折角ずっといるから何か作ろうと思ったのに…!」
「へぇ。なんで?」
「だって、なんか特別なの欲しくないか?折角だし!」
「…あ、殺し文句」
「ナルトだって、うちにしょっちゅう遊びにくるから茶碗も箸も布団もシャベルもスコップもカマもあるのに!」
「…前半にちょっと腹立ったけど、後半がねー…。何でそう野生なんだろうねぇ?ご飯上げてるのに、昨日も何か採ってきてたし」
「お前になんか作ろうと思ったけど思いつかない…良く寝てる気がするから布団がイイと思ったのに!」
「んー?狭いならベッド大きいの買ってあげるから、布団はいらないよー」
「そうだよなぁ…お前そういえば俺の布団にもぐりこんで寝てるもんなぁ…」
「そりゃそうでしょ?そうしなきゃ出来ないじゃない」
「でき…それって…!?」
「無自覚に殺し文句言ってくれたし、今からシよっか。折角だし」
「なななんで!?」
「えー?だって、トクベツなんでしょ?」
「ま、まあそうだな。一緒にいるし、一緒だと飯が美味いし、何かほわほわするし」
「それってさ、好きってことでしょ?」
「すき…?好き!?」
「ま、順番逆でも、好きになってくれたからいいでしょ?結果的に恋人なのは変わらないんだし」
「そ、いえば…こいびと…こ、恋…!」
「あーまたどっかいっちゃったかな?」
「来い…鯉…濃いじゃなくて恋!?」
「赤くなっておいしそうだし、ほっとくとずっと悩んでそうだしもういいかなー?」
「え?わぁ!」
「いただきまーす」
「あ…んぁっ!」
「やっとこさって感じかなー?ま、沢山しようか、折角だしね?」

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自覚までが非常に長い道のりだったという話!
…ちゃんと理解できたかどうかは謎だってばよ!
ではではー!ご意見ご感想など、お気軽にどうぞー!

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