酒と男と男と恋と(適当)


 飯は食った。風呂も入った。なんでかしらんがやたらせかされて、普段ならゆっくりくつろぐところだが流石に人の家だしとそこは妥協できたんだが。
「さ、寝ましょ?」
 パジャマ姿の家主はそう言って腕を引いてくる。
 …飲みすぎたのが悪いってのは分かってるとはいえ、野郎と同じベッドで寝るのかと思うと多少思うところがあるというか。
 何でそんなに楽しそうなんだアンタは。もしかして酔っ払ってるのか?普段の振る舞いからすると時々疑いたくなることもあるが、一応とびっきりの上忍のはずなのに。
「…寝ます。引っ張らなくても大丈夫です」
 なにを焦っているのかしらないが、その力は腕が痛いほどだ。力加減が下手なのか、それとも暗部にいるとそういうのが当たり前なのかは分からない。
 とにかくお邪魔する立場で寝床に文句など言えないし、ベッドカバーの趣味の悪さはともかく、布団は上等そうだ。戦場でなら顔が触れそうになるほど近くに仲間がいる状態で雑魚寝なんてこともよくある。
つまり、ここで寝ることに否はないが、男の妙な様子のおかげで、こっちまで落ち着かない。
「んー?まだお酒残ってる?」
「あーいえ。あのくらいなら」
 二人で一升瓶2本あけた…か?途中から気分がよくなっちまってビールも開けたし、つまみもしこたま食ったし、こりゃトレーニング増やさなきゃな。てんぷらが苦手なのは知っていたが、揚げ物もあまり得意じゃないなんて知らなかったから、あまったそれらを全部平らげた貧乏性の自分が悪い。
 そういやこの人も意外と飲んでた。つまみも殆ど食わずにそれこそ水みたいにするすると杯を干すから、調子に乗ってガンガンついで、俺にもお礼って言って注いでくれるもんだから、そりゃもうすばらしい速さで上等な酒が消えていった訳だ。
 俺は多少陽気になる程度だけど、この人にいたっては顔色一つ変えてなかったもんな。目の前の酔っ払いぶりに驚いたのかもしれん。…まあなんにしろ心配してくれたのは嬉しいもんだよな。
「ふぅん?イルカせんせってお酒強いんだ?」
 …なんでそこで考え込むんだかわからん。わからんからもうとっとと寝てしまうべきだと思った。
 突き詰めて考えると怖いことになりそうで、睡眠に逃げたかったとも言う。
「すみません。ベッド半分とっちまって」
「ん。いーのいーの。ほら、ね?」
もそもそと布団をはいで、隙間を開けてくれた。さあはいれとばかりに腕を広げてくれたから、気を遣わせているのが申し訳なくて、慌ててそこにもぐりこんだ。
 布団は想像以上に上等だ。ふかふかでやわらかくてよく眠れそうだ。
「あったけぇ…!」
「そ、よかった。またのみましょーね?」
「はい!」
 そうだな。この状況はちとあれだが、秘蔵の酒の数々ときたらまさに選び抜かれた逸品ばかりだった。
 酒に付き合ってくれる相手がいないってのも、これだけ飲んでしらふなんだから納得だ。俺も酔っ払いはするがそこなしだから、ちょうどいい。
 たかってばかりはあれだから、今度は俺の秘蔵の酒を持ってこよう。
「…次の手考えなきゃ」
「へ?なんですか?」
「んーん。布団があったかくて幸せだなって」
「そうですね…」
 一人で寝ることに馴れきっちゃいるが、やっぱりさみしいもんはさみしいからなぁ。そうだな。男同士なんだし一緒に寝てたってたいしたことじゃないか。他の同僚でも気にしないんだし、この人が上忍だからって気負いすぎてたかもしれない。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
 誰かのぬくもりが隣にある布団は想像以上に心地よい眠気をもたらし、驚くほどの速さで意識は落ちて行った。



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適当。
長期戦覚悟の上忍と、にぶすぎて今度のつまみとか考えちゃってる中忍とかとか。
実はもう好きになってたりする中忍だったりして。

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