夏の暑さと蒼い空。あるいはパンツで一杯のたんすについて(適当)


「はぁ…」
「なんだよ?どうしたんだよ?」
心配してくれる同僚の視線が痛い。
正直に理由を言えるようなことが原因じゃないから、何とかして誤魔化さなければならない。
…全部あの男のせいだ。
「いや暑いし湿気は凄いし、水浴びでもしたいくらいだよな」
実際この所の暑さは例年にないほどで、今も外に一歩出ただけで倒れそうになるほど大地が焼け付いていることだろう。
おかげで一般人では厳しいような任務が回ってくることを思えば、文句ばかり言ってるわけにはいかないが、それでもなにかと厄介なのも事実ではある。
「ああ夏バテか?無理すんなよ?」
「夏バテってほどじゃないさ。ただこう暑いと授業にも困るよな」
忍は身体が資本だ。
過酷な条件に耐えられなければ、任務をこなしてはいけない。
ただ、俺と隣の同僚が担当しているのはアカデミーに入りたての低学年の子どもたちだからそうもいっていられない。
最初からいきなり劣悪な条件の所に放り出して、生き残ったものだけを…なんて教育方法は、大戦以前の木の葉でもありえない話だ。
「あー…お前のことだから悩んでるんだろ?いっそ今度の演習は川で水遁の復習でどうだ?水遊びしながらなら大丈夫だろ?」
「そうだな。こう暑いと子どもにはキツイもんな」
少しずつ体温のコントロールなんかも教えていかなきゃいけないんだよな。
まだチャクラを練ることすら覚束ない相手にそんな無茶なことはさせられないにしても。
「まああれだ。無理すんなよ?…ってまあ昨日もああ派手に暴れられたら無理もなにもないか…お前のクラス凄いのいるもんな」
そういえば昨日も木の葉丸が派手な悪戯を…その後のおかげですっかりわすれてたが、今後のためにも、反省はきっちりさせないとな。
「はは。まあ自分も悪戯ばっかりしてたから文句もいえねぇよ」
…一代前の悪戯小僧で鍛えられてるって言葉は飲み込んだ。余計な軋轢は産まないほうがいい。
「そういやイルカもすごかったな…流石に火影岩に落書きまではなかったけど」
「…あの有り余ってる元気を勉強に使って欲しいけどな…」
どうやら話題は完全にそれたようだ。
実際に思い悩んでいたこともあったのかもしれないが、とにかく自分でも考えたくないことについては、何とか触れられずに済んだ。
それから下らない話をしながらテストの採点と明日の演習の打ち合わせもすませることができた。
仕事が速く片付けられてよかった。これでこの不安な時間から開放される。
「じゃあ無理しないで今日はとっとと寝ろよー?」
「おう!ありがとな!」
かばんで心持ち下肢を隠しがちにながら、さりげなく家路を急いだ。…一目がなくなったのを確認してからは、全速力で。
夏の日差しにたなびく俺の下着が見えるまでは恐ろしく長く感じた。
「乾いてる乾いてる。よかった…!」
行儀も体面も気にせず、ベランダの物干しまで一直線に駆け上り、いそいそと取り込んだ。
あとは暑さのせいだけじゃない汗をながして、このパンツを…。
「あ!イルカせんせ!まさかノーパン…ぐふっ!」
ベランダから家に入ろうとした途端、喚きたててきた上忍をとっさに殴っていた。
諸悪の根源の癖にいけしゃあしゃあと…!
「アンタが!洗濯干す前に押し倒すしただけじゃ飽き足らず、出掛けにいきなり人襲うからだろうが!」
それでもなんとか洗濯物を干してから家をでた自分を褒めて欲しいくらいだ。
この所の暑さで風呂に入ることも多く、こどもたちの悪戯も水遊び系が多かった。
勢い洗濯物の量は増大し、昨日も着替えたばかりの所を木の葉丸に襲撃されてびしょ濡れにされたおかげで、恐ろしいことに下着が底をついたのだ。
それなのにこの発情馬鹿上忍は、任務から帰るなりいきなり襲ってきやがって…!
「だ、だってだって…!イルカせんせが凄い格好してるから…!」
「暑かっただけだろうが!風呂上りに腰タオルくらい普通だろ!」
「でも…今日だってノーパンとか!襲って欲しいの!?絶対ダメですからね!俺以外となんて…!」
この馬鹿はまさか暑さに負けて脳まで煮えたんだろうか。上忍の癖に。
「そんなこと!するわけないだろ!」
好きだと喚かれてほだされるようにしてはじまった関係ではあるが、こっちだってちゃんと好きだ。
そうでもなきゃ同じ男にケツを大人しく掘らせたりしない。
それをこいつは…!情けなくて涙までにじんできそうだ。
怒りのあまり思いっきり怒鳴りつけたらなんだかしらんが抱きつかれた。
「イルカせんせ…も、ノーパンでそんな顔されたら無理…!」
「わっば、ばか!なにし…っ…!」
結論から言うとそのままやられる羽目になった。
飛び掛ってきて忍服のアンダーごと股間舐めてきた挙句に、ズボンを脱がすのにも勿体つけて散々焦らした後、それこそ暑さで溶けるんじゃないかと思うほどたっぷり出して出されて…もうめちゃくちゃだ。
傍若無人にもほどがあるだろ!
「ノーパンなんて心配すぎておかしくなっちゃったら、イルカせんせを閉じ込めなきゃならなくなるから、今度からちゃんとパンツ買ってきます!」
そのくせ意気揚々とそう宣言した馬鹿上忍が、俺の苦悩を理解する日は永遠に来ないだろう。
「はぁ…」
「パンツって大事ですね…」
「…とりあえず、パンツ切れは困るんでまあいいです」
大事なのはパンツじゃなくて抑制のきかないあんたの理性の方だといってやりたい所だが、それ以上のことは考えないでおこう。

ちなみに、その日以来我が家のたんすには、いつでもパンツが溢れかえっていることを追記しておく。


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適当。
あついー
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