ぱんつとなかみ(適当)



憩いの我が家につくなり、パンツもって踊ってる上忍を目撃してしまった俺はどうしたらよかったんだろう。
「へへー!せんせのパンツ!パンツ!」
俺の帰宅に気づいていないのか、それとも気づいていてもなおパンツを持って踊ることを優先したのかはわからない。わかりたくもない。
電気のついていない部屋で、パンツをもってくるくる踊っている姿はどっからどうみても頭がアレな人だ。
暗くても洗濯してあるパンツだということだけはわかったから、少しだけほっとして、そんなことでホッとしたことにも落ち込んだ。
何やってんだと叫ぶのにももう疲れた。
時折やってきてはこの行為を繰り返している男には、きっと何を言っても無駄なのだろう。
パンツを握り締めて踊るか抱きしめるか時々食べたいとまで言いやがるのだ。この上忍は。
そんなことされたパンツなんてはきたくないから当然捨てようとするんだが、それすらも勝手に持ち帰ってしまう。
代わりにと俺なら間違っても買おうと思わない高級品の新品を置いていくからパンツがなくなって困るということはないんだが、生理的な嫌悪感と馬鹿馬鹿しさは拭いきれない。
「そんなに嬉しいですか?」
俺のパンツ。何度か洗濯してちょっとくたびれてきて、履き心地が良くなった頃に狙われるのだ。
まさか自分で穿いてやしないかと不安に駆られて聞いてみたことがあったんだが、俺は常にトランクス、この男はビキニタイプらしい。
俺のパンツに興味があるなんて…!と妙に喜ばれたので現物を確認するまでには至っていない。
その前にぶん殴ったからだ。影分身だったそいつは消えて、本体にはパンツもって逃げられたが。
一方的にパンツマニア仲間扱いされていないことを祈るばかりだ。
「嬉しいです!イルカ先生のパンツなんですよ!」
そう力強く主張する男の顔は悦びに満ちている。
とろんとした瞳をみれば、今この男が歓喜の極みにいるのだとすぐに分かる。
こんなにも無邪気に喜んでいるモノが他人から掠め取ったパンツだなんて誰も思わないだろう。
「そうですか…俺は飯を食いたいので他所でやってください。それは差し上げますから」
「ホント!うれしい…!あ、今度のパンツはイルカ柄にしましたから!ほーら!かわいいでしょう?」
「…はぁ。どうも」
新品のパンツを受け取る。追い出せもしないのはなんとなく屈辱的だが、これ以上こじらせる方が恐い。なにするかわかんねぇからな。この手の変態は。
パンツパンツ。いつだってパンツばっかりだ。持ち主の俺の気持ちなんて考えたこともないんだろうなぁ。きっと。
どれだけ迷惑か分かってたら、もうちょっとやりようがあるだろうから。
「あ、そうだ!ごはんならほら、これどうぞー!」
「え!」
初めての展開だ。これまでもささやかなお礼と称して、全くもってささやかじゃないめったやたらと高級な代物を置いていくことがあったが、飯とはまた珍しい。
…一服盛られて朝起きたらパンツが全部新しくなってたりするんじゃないだろうか。
「行きつけの店に作らせたんです。味は悪くないと思いますよ?」
男がふたを開けると、確かに高そうで美味そうでとんでもなく美しい盛り付けの弁当だった。
「そう、ですか」
頭の中で打算という名の何かがそろばんをはじき出した。
結論は…迷うまでもない。パンツがなんだ。飯のが大事だ。
だって…だってなぁ!これ多分俺が一生かかっても食おうと思わないような店のものだろ!
パンツを捨てて、飯を取った。茶もちょっと奢ってもらいものの高いヤツにする。その贈り主は弁当の贈り主でもあるんだが、その辺はまあ深く考えたら負けだ。
「ささ、召し上がれ!」
差し出された弁当に唾を飲んだ。本音を言うなら今すぐコレを貪り食いたい。
腹減ってるんだよ。忙しくて今日は昼飯食えなかったし。
「カカシさんの分は?」
恐る恐る聞いたのは建前ってやつだ。なにせ相手は上忍、形だけでも遠慮しとけば後々面倒な事が起こりにくいからな。
遠慮しても馬鹿馬鹿しい事が起こるのは…この上忍のせいだからなにやったって無駄な気もするが、冷静な普通の上忍が助けに来てくれたときとかに必要になるかもしれないしな。
「ああ、ありますよー同じの」
「そうですか」
そうかここで飯食ってくのか。まあいいや。会話する暇もないくらい夢中で食ってりゃ諦めるだろう。
またパンツがどうのといわれたら殴らない自信はない。
「いっただきまーす」
「いただきます!」
一口恐る恐る口に運んだ。うまい。とんでもなく。
そこからはもう相手のことなど考えずに美味い飯に夢中になった。
とろっとした何かとか、ふわっふわのなにかの正体すら検討がつかなかったが、とにかく美味いからいいんだ。
あっという間に平らげて、一つ一つ味を思い出しながら余韻に浸った。
パンツでこんなに美味い飯が食えるならいくらだって売りたい気分だ。
それくらい、さっき食った弁当は美味かった。
「おいしかったですか?」
「ええ!もちろん!」
これだけうまいと笑顔のサービスもしまくろうというものだ。
男が嬉しそうにしてるから、まあとりあえずなんとかなるだろう。…多分。
「よかった…!パンツも大事ですけど、最近イルカ先生の元気がなくて心配だったんです」
「へ?」
「一杯食べて元気出してくださいね?」
「へ、は、はぁ」
なんだこの展開。パンツだけじゃなくて俺にも一応気を遣ってくれたのか。
少なくとも俺への関心はパンツだけじゃない事が分かって、何故か少しほっとした。
「またきますねー!」
「え!あ、ごちそうさまでした!」
弁当の入れ物をささっとまとめた男は、一瞬にして飛び出していった。
また来るのか。あの弁当が。…それから、あの頭の中まで幸せそうな男が。
「…うー…」
また追い出しにくくなってしまった。どうしたものか。
置いていった真新しいパンツは今日も高そうで、だが柄はどこでみつけてきたんだかしらないが、かわいいイルカ模様だった。
「とりあえず、穿くか」
パンツ如きでこんなにも悩んでいる自分にため息を一つついて、風呂にでも入ることにした。
…深夜、カカシ模様のパンツで奇襲をかけてきた上忍の目的が、パンツの中身でもあることに気づきもせずに。


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てきとう。
パンツの中身はパンツごとおいしく…以下略。
着衣プレイおいしいです(`ФωФ') カッ!
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