イルカ母によるイルカ父略取事件 父編(肉食獣のいる生活もしも編)

もし肉食ぬこと子どものころ会ってたらどうなってたかなぁという妄想の中で登場する、イルカ母とイルカ父馴れ初め編をお送りしておきます。でもって、父サイド編!
もっそいぬるいながらもそれなりに母と父とのイチャイチャがございますので、くれぐれもご注意を…!!!


自分から流れ出していく血液よりも隊長が心配だった。

俺が隊長の補佐を任されたのは、実力って言うよりも、俺の性格からだろうっていうのは分かってた。だって、隊長は随分幼い頃から上忍で、俺はまだ上忍になったばかり。
その差が分からないほど馬鹿じゃない。

隊長は、本当にすごい人で、強くて、戦略も的確で、仲間を凄く大切にする。
…だけど。

「どうしてあんなに天然なんだ…っ!」

呻きたくもなる。
出会いからしてあれだったが、俺が補佐に着いてからの苦労といったら…!
色恋沙汰でのごたごたは日常茶飯事。…でも本人が全然理解してないからそりゃもう大変。
それに、怪我の手当てとかも、かなり強引って言うか、自分のだとものすごくぞんざいに治療しちゃうから、気をつけないととんでもないことをしでかす。
しかも普段は結構ぼんやりしてるから、飯も食わなかったりするし!
そのくせ一人でなんでもやろうとして、いつだって先陣切って飛び出してくし!

…俺たちが、いるのに。

ため息つくのはしょっちゅうだ。でも、常識ってものを知らないだけでいいひとなんだよなぁ…。

色々口をすっぱくしてガンガン注意してたら、最近になってやっと、俺を仲間っていう十把一絡げの扱いから、副官っていう認識をしてくれたみたいだから、…まあこれからだよな!

医療忍術とまではいかないが、一応血止めくらいはできる。

今回の任務はツーマンセル。しかも、事前情報とまるで違う山ほどの敵が相手だ。
だから…俺もちゃんと戦うっていったのに、あの人はさっさと飛び出して行って、当然のように俺を背に守って…怪我くらいなんでもないって顔してるから、気がついたらついうっかり庇っていた。

俺と隊長の経験値が雲泥の差だってのも忘れて。

隊長ならかすり傷でも、俺は避け切れなかったから、結構な数の怪我をしてしまった。
…俺のミスだ。

敵の一人と戦ってる間に、隊長が敵を自分のほうだけに誘導してしまったらしい。
俺がちょっとてこずりながらもやっと倒したときには、既に隊長の気配は遠かった。

このまま行ったら足手まといだって分かってても、何もしないなんて無理だ!
庇うつもりで庇われて、またきっと怪我をする隊長を絶対に一人になんかさせられない!

あの人は任務のためならきっと…なんの躊躇いもなく自分の命さえ武器に代える。

それを止められないなんてて耐えられない!

「血は、止まったか…。隊長、逃げてくれた…訳ないよな。くっそ…探しに来られたら敵が…!まさか囮とかやってないだろうな…!?」

とりあえず血止めはできた。あとはせめて幻術やトラップなんかで補佐ぐらいはと思ってたのに…。

きらっ俺を囲む木立の上で何かが光った。

気配を感じなかった!

この状態で敵と戦うコトになるなんて!
それに、もしかしなくても戦闘の気配に気付かれた、確実に全速力で戻ってきそうな隊長を恐れていたら、額宛が木の葉だった。

「ねぇ。それ、どこにいるの?」

俺の前に降り立ったのは、一人のクノイチ。長い黒髪はつややかで真っ直ぐで、それにすごい美人だった。

思わず一瞬見とれてしまったが、今はそんな場合じゃない。
こんな…いつココだって襲われるか分からないのに!

「え?!あ。木の葉の忍か…!今、ココは危険だから!巻き込まれないうちに退避してくれ!」

勿論慌てて指示を出した。どこかの隊に所属しているのか、単独任務なのか良く分からないが、別の任務でたまたま通りがかったんだろうから、そっちを優先してもらって、とにかくココから逃げてもらわないと…!

「ねぇねぇ!やっつけてくるから、そしたら持って帰るね!」

素っ頓狂な答えが返って来た。…意味が分からない。
何かを持って帰る…つまり奪取かなにかの任務だったんだろうか?
敵を倒しに行こうとしてるのは分かったが、どうも様子がおかしい。
もしかして…!?

「え!?っつぅ…っ!イイから!逃げろ!術にでも掛かってるのか!?」

解術しようにもチャクラにそんな余裕はない。
そもそもそんな気配を感じ取れない。チャクラの流れも正常で…どっちかっていうとみなぎってるって感じだし。

…こうしている間にも隊長は消耗戦を強いられているはずだ。
あの人がいくら強くても、多分間違いなく俺のために戦いを長引かせ、距離をとっているはずだし、人数が多すぎる!

口調が思わずとがった。…それなのに。

「ヤダ。じゃあねぇ!待ってて!」

ヤダってなんだー!?じゃあねぇじゃない!待ってろって言われても!

あまりのコトに呆然としてたら、俺の怪我に視線を滑らせた後不満そうに唇を尖らせたクノイチが、すっと顔を寄せてきて…。

一番目立つ深くざっくりやられた肩口の切り傷をちょっとだけ舐められた。

「くっ!こら!な、舐めるなんて…!毒でも塗ってあったら…!」

まるでその血が極上の酒であるかのように目を細めて血をなめとる姿。
その無邪気さが恐ろしかった。
今の所は大丈夫そうだが、もし遅効性の毒だったら…!
やっかいごとが増えたコトに眩暈がした。

…いや、多分貧血もあるだろうけど!

こっちが慌てているのなんてどうでもいいとばかりに、クノイチがはっとするほど美しく笑った。

「痛いの、早く治してね?」

人を魅了する魔物…それが本当に存在するならきっとこんな顔で笑うに違いない。
とてつもなく魅力的で、だがどこか恐ろしささえ感じるその笑み。

…言葉の内容からして気遣われているようだが、正常な状態かどうか疑わしいこのクノイチを放っておくのも危険だ!
今にも飛び出していこうとしているクノイチを止めようと俺は必死であがいた。

「待ちなさい…っ!くそっ!動け…っ!」

血を流しすぎて動きが悪い手足が歯がゆい。
造血丸もまだ効果が出てきていない。
苛立ちと焦りで地面に転がりそうになったら、クノイチがそっと抱きとめてくれた。

間近で見るその顔は、やはり美しい。…それに、うっとりと細められたその表情も。
何故か耳元の匂いを嗅がれたが、思わずこんな状況だというのにドキッとした。

ナニやってるんだ俺は!なにドキドキしてるんだ!

その後の扱いは相当なものだったが。

「んー?暴れたら駄目だから、ちょっと寝ててね?」

「ぐっ!?…。」

首筋に衝撃が走り…。
楽しげなその笑顔だけが、急激に途切れた意識にかすかに残された。

*****

目覚めたら、そこは見知らぬ家だった。

次に目覚めるとしたら病院か…もしくは隊長の家かどこかだと思ってたから、大慌てで起き上がる。…つもりだった。

「んー?起きたの?まだ寝てないと駄目ー!それにまだ眠いから一緒に寝て!」

…どうして、クノイチが俺に上に乗ってるんだろう。それも幸せそうに目を細めて当然とばかりに。

敵の気配はない。恐らく戦闘は既に終結している。それにもしかしなくてもココは里の何処かのような気が…!
ってことは…隊長は!?

「すまない!あの!隊長は!あ、その!銀髪!一本に縛ってて、ちょっと言動が天然な…!」

大慌てで安否を確認した。あの人のことだからきっとまた…そう思うと不安で不安で…!
返事は恐ろしく完結だった。

「ん?あ!ふさふさしたの!あのね。邪魔なのやっつけて、それから包帯巻くの手伝ってくれた!お家に持って帰るから置いてきちゃったけど!」

「えええええええええええ!!!!!!」

とりあえず、恐らく敵は殲滅したらしい。それから俺の手当てもしてくれて…それでなんで!俺は見知らぬクノイチにお持ち帰りされてるんだ!!!
…すごい美人だけど!思わずドキッとしたけど!今だってドキドキしてるけど!

そういう問題じゃないはずだ!

「うふふ!ねぇねぇ!もう元気?元気でた?」

ぴっとりと体を寄せられると、俺にかけられていた薄い毛布越しにクノイチの感触が伝わってくる。

む、胸!当たってるから!そんなに嬉しそうに笑われても!俺だって男だから!!!

…一応俺だって上忍のはしくれ。その辺の抑制はできるけど…!

でも、このクノイチはそりゃもうとびっきりの美人で、笑顔が…なんていうか、所謂小悪魔系というか…恐ろしく色っぽい。

それ以上に、俺を労わる手が確かめるように触れてくるから、それだけ心配してくれてたんだと思うと…!

さっきから落ち着きなく騒ぐ鼓動が五月蝿くて、ろくにものを考えられない…!

きっと、このクノイチが助けてくれたんだと思うのに、御礼の言葉さえろくにいえなくて…口をついたのはこの危険な状態への嘆願だった。

「す、少し離れてくれないか!」

あれだけ血が抜けたってのに、勝手にその気になりかけた下半身事情をごまかそうと慌てふためく俺を他所に、クノイチはにっこり笑った。

「あ、元気でた?じゃ、しよう!」

「え?え?なにを?」

俺がぼんやりしてる間に、テキパキと俺の服は脱がされていく。
…っていうか!なんかそういえば俺!面してなかった!
懲罰モノだ…!

「ちょっ!待ちなさい!もっと自分を大切にだな!」

それはともかくとして、今は目の前の危機を何とかしなくては…!
おっさん臭い物言いだが、木の葉じゃクノイチが体で任務なんていうのはめったに無い。
専任がいるって言う噂もあるが、基本的には普通に一緒に戦う仲間だ。

なにせ…木の葉の女性は綱手姫を始めたくましいのが多いから。

だからわざわざこんな…暗部だって言っても慰安みたいな真似は必要ない!
…こんなコトになってるのはどうしてなんだ!?

「もって帰って来たからもう私のだけど、他のに盗られないようにちゃんと自分のにしとくの!」

「へ?」

事情説明らしきことをしてくれたみたいだが、自主的だって事以外はよく分からない。
私のって…???

戸惑う時間すら、俺には一瞬しか与えられなかった。

輝くような笑顔で、そのクノイチがその身にまとう服を脱ぎ捨てたから。

晒された肢体がまたすさまじく美しく、すらりとした体はまるで野生の獣のようで…思わず息を呑んだ。

あまりにも、綺麗だったから、欲望よりもただ見ほれた。

だけど…。

「ねぇ…シよう?」

まるでネコのように口の端をつりあげて、彼女が笑った。
俺の体にするりと寄り添って、すりすりと体を擦り付けて…うっとりと目を細めて…。

…結果。俺は己の理性のはかなさを思い知るはめになった。

*****

最初はお互いぎこちなかったが、すぐに溶けるような快感に夢中になった。
彼女も大胆な誘いっぷりだったのに経験値がないようで、時々どうしたらイイのかわからないそぶりを見せたし、俺の経験値も…以前知り合いのエロ助に強引に連れて行かれた花街での一回こっきり。
それなのに、恐ろしいほどお互いが馴染んだ。相性なんて噂だけの話だと思ってたのに、離れることなんて想像できないくらい…。

それに、散々して、もうがたがただっていうのに、体を摺り寄せて「もっと。」なんて慕ったらずに強請られて…。甘えるその声と、うっとりとした表情の前で、理性は無力だった。

太陽が黄色い。それに噛み傷も何故かやたら付けられた。…何だかネコみたいに甘えるついでに噛んでくるから。

「うふふ…これで、ぜーんぶ!私の!」

その笑顔が眩しい。言ってるコトはむちゃくちゃだけど!
…責任は、取らないとだよな。

…というか、もうなんていうか…俺、運命ってこういうのかもしれないと思うって言うか…!

要するに、惚れてしまった。

自分でもこの状況下でなんでだこうなるんだか分からんが、とにかく!こうなったら男らしく…!

「あ、あの!俺で宜しければその!俺と結婚を前提に…」

「んー?けっこん?あ、そっか!それ知ってる!」

全部言い切る前に、可愛らしく小首をかしげたクノイチがにっこり笑った。
こ、これはー…受け入れられたのか、それとも…?
一世一代の告白だったんだけど…!

「私の番だって三代目に言いに行けばいいんだもんね!元気になったら三代目にお願いしにいってこようっと!そしたらもうだれも盗らない!」

そう言って喜びで一杯の笑顔を向けられて、それがまた輝くように美しくて…。

「はい!一緒に!」

…なんてうっかり言っちゃったのが敗因だった気もする。

それから、何度か三代目とか隊長に連絡を取ろうとしたけど、クノイチにさらっと連れ戻されて、気がつけばそんな雰囲気になってて…!

でも、探されているのは確実だと思うんだ!だって式がやたら飛んで来てるし!
…全部その…クノイチがじゃれるみたいにして捕まえた後、紙に戻った式をつまらなそうに捨てちゃってるけどな…。俺も一応上忍なのに、早すぎて止められないってどういうことだろう…。

そんなこんなで、包帯が取れるまで、結局俺はクノイチの家で厄介になった。

…食事の仕度とかは途中から俺がやってたけどな。だって生肉は駄目だと思うんだよ…!

で、今、俺の目の前で三代目がため息をついているわけだ。

「お主…どうして…!」

「んー?落ちてたの!かわいいでしょ!私のだから上げない!」

元気一杯に意味不明の言動…それなのに胸が高鳴る。我ながら馬鹿だろうと思うけど。

「はぁ…。」

「あのね!三代目!これが、私の番!」

うんざりしたとばかりに何度もため息をつく三代目などものともせずに、嬉しそうに自信満々に宣言している俺の番…になっちゃったらしいクノイチは今日も元気で可愛らしい。

この俺の強引な支配者との暮らしは覚悟が色々必要そうだ。それと…。

「あ、あのー…三代目。この女性は普通とちょっと違うって言うか…。」

「はぁ…。」

あ、またため息。…俺はまたうっかり面倒ごとに巻き込まれたんじゃないだろうか?

隊長の時だって、たまたまめちゃくちゃな手当てしてる暗部捕まえて勝手に治療しちゃったのが始まりだし…!

「あのー…!?」

「…引き離すか…?」

その一言に不穏なチャクラがあふれ出した。…もちろん俺を抱きしめてるクノイチから。

「盗るの…?じゃあ三代目もやっつけてここ出てく。」

「…ああわかった。ほれ、うみのが苦しそうじゃろう。」

「ん?あ!大丈夫?」

三代目の声で何とか収まってくれたが、迷いの無い殺気にくらくらした。
…俺のために、こんなに必死になって怒って、それにものすごく悲しい顔をしてくれた。

もう、しょうがないよな?

「後で、事情説明をさせてください。それと、この方の素性とかもできれば…。」

「はぁ…。」

三代目がまた何度めか分からない深い深いため息をついた。

俺も、後でおなじコトになるんだろうなと思いながら、絶対に放さないとばかりにしがみ付いてくるこの人を、俺も一生手放せないんだろうなと思った。

この、名前さえ知らないクノイチを。


…それから数年の後に、もう一匹増えたわがままなネコに手を焼くコトになるなんて思いもしなかったけど。


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ぬこわがまま大暴走父サイド編!?
またリクエストを頂けましたのでこそっと増やしておきます!
ではではー!ご意見ご感想などお気軽にどうぞ!!!


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