イルカ母によるイルカ父略取事件編(肉食獣のいる生活もしも編)

もし肉食ぬこと子どものころ会ってたらどうなってたかなぁという妄想の中で登場する、イルカ母とイルカ父馴れ初め編をお送りしておきます。
ブログからお引越し!


その日、何だかとてもふわふわしていることに気がついた。
日差しが温かくて、で元気が出て…それと一緒に心まで浮き足立つ。
だから分かった。もう、春が来てる。

これも毎年のこと。それに、こうなるたびに三代目がめんどくさいことをさせるのも。

今まで同族の雄を何人連れてこられたか。それに、上忍も沢山。
でも、どれも気に入らなかった。だって、弱くてつまらない。可愛くない。
それなのに、いらないのに、三代目は一杯連れてくる。

だからとても面倒。
私は遊びに行きたいのに。

狩りに行って、それからお昼寝して、三代目の膝で撫でてもらえればそれでいいのに。
なんで面倒なことをさせるのか、いつも不思議。

そういえば、昨日も変なのを連れてこられて面倒だったから適当にじゃれて、すぐに動かなくなったから捨ててきた。弱くてすごくつまらなかった。

そのときも、三代目がまたため息をついてたけど、また新しいのを連れてくるかもしれない。

…だから、今日は遠くにお散歩に行こうと決めた。

「んー…!温かい…!」

…こうやって春が来ていたコトに気付くことはあんまりなかった。
暖かくて、ふわふわして、体が軽くなる。
なんだろう?凄く凄く気持ちイイ。
軽い身体で楽しいことだけしたいのに、毎年変なのを押し付けられるけど…。

今度の春は、それだけじゃない予感がした。

何だかとってもいいことがありそうな予感がする。

「お散歩―!行こうっと!遠く遠く…どこかまで!」

走るだけで楽しくて、…私は三代目にお出かけするって言うのを忘れてしまった。

*****

「はぁ…はぁ…。」

苦しそうな息。聞こえるか聞こえないかの距離に、それはいた。

誰かがいる。…多分怪我してる。凄く強い血の匂いと、それから痛いときの匂いがするから。
どうしよう?仲間なら助けないといけないって教わった。三代目が言ってたから、守らないといけない。
普段ならお散歩中だと、めんどくさい時はちょっとだけ見に行って、敵だったら適当にやっつけるし、仲間だったら持って帰ってた。
…でも、敵がこういう匂いするときは、遊んでも楽しくない。弱っててあんまり早く動かないから。

どっちだろう?遊べるかな?

でも、何だか違う感じがした。…だって、凄く凄くいい匂いがする。

肉じゃなくて、またたびでもなくて、でもとっても特別な匂いが。

それは、その怪我してる人からしてる気がした。

だから、なんとなくふらっとそっちに行ってみることにした。
だって、イイコトがありそうな気がしたから。

*****

木の上からいい匂いの元を見た。

怪我してる。それにお面つけてて苦しそう。
これ、たしか暗部っていうのだ。前にも拾って帰って三代目に上げたことがある。

三代目に凄く褒められた。

…でも、これは、三代目に上げない。

だって、これは私の。ずっとずっと私のだから。

「血は、止まったか…。隊長、逃げてくれた…訳ないよな。くっそ…探しに来られたら敵が…!まさか囮とかやってないだろうな…!?」

震える手で包帯を巻きながら何か言ってる。

良く分からない。

でも、きっと私の邪魔するのがいる。これを持って自分の巣に帰るのを邪魔するのが。

「ねぇ。それ、どこにいるの?」

「え?!あ。木の葉の忍か…!今、ココは危険だから!巻き込まれないうちに退避してくれ!」

耳が凄く気持ちイイ声。近くで嗅いだら匂いももっともっと気持ちイイ匂い。

…そういえば、ここじゃないけど近い所でキンキン音がする。

だれか戦ってる。

そこに一杯いるのが多分、この怪我してる私のの敵。だから私の敵。
やっつけてこないと、これを安心して持って帰れない。

「ねぇねぇ!やっつけてくるから、そしたら持って帰るね!」

「え!?っつぅ…っ!イイから!逃げろ!術にでも掛かってるのか!?」

「ヤダ。じゃあねぇ!待ってて!」

びっくりした声もいい。私を心配してる。
何でかは分からないけど。…あんなのすぐやっつけられるのに。

でも嬉しいと思った。

怪我してて痛そうなのがいやだったから、一番目立つおっきな肩の切り傷をちょっとだけ舐めてあげた。

「くっ!こら!な、舐めるなんて…!毒でも塗ってあったら…!」

「痛いの、早く治してね?」

だって、全部私のなのに、あんなに傷つけて。

…許さない。

「待ちなさい…っ!くそっ!動け…っ!」

「んー?暴れたら駄目だから、ちょっと寝ててね?」

私ので、怪我してるくせに動こうとしたから、ちょっとだけ寝ていてもらうコトにした。

「ぐっ!?…。」

当身は得意。だって持って帰るのに沢山やったことがあるから。
くったりした私のをそっと地面に寝かせてあげた。

「うふふ!あとで綺麗に洗って、持って帰ろうっと!」

寝てても可愛い。私だけの。

あとちょっとだけ我慢する。

だって、私の邪魔するのものなんか、大嫌いだから。

*****

「チッ!もう一匹は取り逃がしたか…!」

「はっ!一人でちょこまかと逃げ回りやがって…!囮のつもりか?」

「…うみのは、逃げきれたか?…なら、もういいな。片付けてしまおう。」

何か言ってる。でも、お面つけてるのは多分私の物の仲間。
だから回りに一杯いるのが、私の物を傷つけた。

…全部全部、敵。

「邪魔。」

すごくすごく腹が立ったから、全部全部やっつけた。

お面つけたのが驚いてるけど、額宛を見て黙ってくれた。
邪魔しないならいい。早く持って帰らないと。怪我してるのが心配。
お面をつけてるのも、結構沢山お手伝いしてくれたから、敵はすぐにいなくなった。

…これで、持って帰れる!

「あなたは?」

「あのね。私の持って帰らなきゃいけないから!じゃあね!」

何か言ってたけどどうでもいい。

これから私のを持って帰って、洗ってきれいにして、それから…全部私の物にしないと!

楽しい。楽しくてわくわくして、足がいつもよりずっと速く動いてくれた。

元の場所に戻ったら、ちゃんと私の物が良く寝ていた。

「えへへ!やっと持って帰れる!」

お面を取ったら、良く眠ってるのがかわいかった。

見てるとすごく幸せ!触るともっと幸せ!

…だから、早く食べてしまおう。

持って帰るのがめんどくさい気がしてきたから、とりあえず怪我してるトコだけ見て、それから大丈夫そうならここで食べ様と思ってたら、肩を叩かれた。

「すまないが、それは私の部下だ。治療だけでもさせてくれ。」

驚いた。着いてきてるのがいたなんて!

それも、私のなのに、盗ろうとする。

良く見たらさっきのお面のだったけど、盗られるのがいやで威嚇した。

「うぅー!ヤダ!これは私の。だから駄目!」

「…そうか。では、治療の手伝いだけでもさせてくれ。血は止まっているようだが、そのままではまたすぐに開いてしまう。」

手伝い…それけなら盗らないかもしれない。それに、すごく怪我してるから、治さないといけないし。

「んー?なら、いいかな!手伝って?」

「ああ。」

それから、二人で包帯を巻いた。薬は私のがちゃんと持ってて、「怪我をしたら、それを塗れといわれている」っていうから、ちゃんと塗ってあげた。

全部終わったら、私のは包帯だらけで、痛そうで、悲しくなった。

そしたら、手伝ってくれたお面のふさふさしたのが、頭を撫でてくれた。

「もう、大丈夫だ。…うみのに恋人がいたとは初耳だが、応急的だが治療はすんだ。恐らくもう大丈夫だろう。里までつれて行ってあげて欲しい。」

「うん!」

あたりまえのことをお面でふさふさしたのが言った。

だって、わたしのだし。

小脇に包帯まみれだけど、寝顔がとっても可愛いくていい匂いがする私のを抱えて、きたときよりももっともっと早くお家に向かった。
目が覚めたらきっと驚く。その顔もきっと可愛い。…そしたらすぐに食べてしまおう。
私のはすごくかわいいから、誰かに盗られちゃうかもしれない。

そんなの困るもん!

お面のふさふさしたのが、手を振ってくれたのにちょっとだけ振り返したから、きっと大丈夫!

うきうきでふわふわでしあわせ!

今日はやっぱりいい日だった!


…それから…。

持って帰ってからやっぱり驚いてかわいかったのを、ちょっと元気になってから食べちゃって、嬉しかったから三代目に持ってって自慢したら、ため息をつかれた。

どうして?よくわからない。

凄く沢山鳥が来たけど、めんどくさくてほっといたからかなぁ?

でも、もう他のはいらないから。

「あのね!三代目!これが、私の番!」

一杯一杯自慢してあげた。

…つかれて、ちょっとよれよれした、でもとってもかわいい私のを。

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ぬこわがまま大暴走編!?
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