プレゼント(適当)


炸裂音と共に火薬の匂いがあたりに充満した。
すかさず天井に張り付き、すわ襲撃かと身構えてみれば、暢気な声が。
「お誕生日おめでとうございます!」
…なにやってんのこの人。
手に持っているものからして、さっきの音の元はこのクラッカーか。
「えーっと。なんで知ってんの?俺の誕生日。あとアンタ誰」
「あ、申し遅れました!誕生日プレゼントです!」
どうしちゃったの。この人。
術にかかってるわけでも薬使われたわけでも無さそうだけど、勝手に家に上がりこんだ挙句にこの暴挙。
…素でいっちゃった人の相手なんてしたくないんだけどねぇ?
誕生日なんて正直気にもしていない。
遠い昔、祝ってくれた人たちがいた頃ならいざしらず、あれからずっと一人だ。
それにこの年になって今更祝われるのもおかしな話だろう。
「誕生日プレゼント、ねぇ?」
そう。まずそこからしておかしい。
人間を誕生日プレゼントによこすなんてどういうことだ?
愛読書にそんな話もあった気がするが、女ならまだしもコイツはどっからどうみても男だ。
どういう意味なんだコレは?
「はい。あの。でも俺お祝いっていうとこういうのしか思いつかなくて」
言われてから気がついた。
机の上から美味そうな匂いが漂っている。
どうやら飯の用意をしてあるようだが、ついでに甘ったるい匂いを放つものまで一緒においてある。
いわゆるバーステープレートってやつだろうか。お誕生日おめでとうカカシちゃんって…何の冗談よ。
「…これ、誰の差し金?」
まさか自分からこんなわけの分からないことをしないだろう。見た感じクソが着くほどまじめそうだし、ちょっと抜けてそうだ。
…つまりは騙されやすそうにみえる。
「いえ差し金というか!三代目が誕生日の忍がいると聞きまして…。それも直前まで任務が入ったんじゃお祝いもできないんだろうなぁって言ったら、お前がしてやるのはかまわんと。だからその!俺の独断です!」
なるほど。爺の策か。…どうせあることないこと俺のカワイソウな素性とやらまで吹き込んだに違いない。そうじゃなきゃこいつの常識がおかしいか。
あの爺…!誕生日なのにすまんとかでがけに騒いでたし、帰ってきてから祝ってやるとかなんとか言ってたのも蹴ったからか?この仕打ちは。
…ま、どっちにしろお人よしにもほどがある。
この人も大分変わってるけど、爺にノせられただけならたたき出すのはかわいそうかもね。
「…じゃ、お祝いして」
「はい!」
心配そうな顔をあっという間に満面の笑みに変えて、男がいそいそと飯をよそいに走った。
焼き魚に味噌汁についでに煮物と、それから山盛りのから揚げにそばまである。めちゃくちゃな取り合わせだが、これがこの男の考えるご馳走なんだろう。
「ま、いーか。たまには」
あの男は中々おもしろそうだ。血なまぐさい任務をこなしてきたと知っているだろうに、暢気に喜んでみせるのだから。
…誕生日くらい下らない遊びで楽しむのもいいだろう。
「後でお祝いの歌も歌いますね!」
男なのに妙にかわいい。…っていうかそそる。言ってることは間抜けなのにねぇ?
「…本当にもらっちゃおうかなー?」
「え?なにかいいました?」
「いいえー?コレ美味いね」
まあいい。とりあえず飯を食って、歌とやらをきいてから考えよう。
味噌汁を一口すすった感じでは、どうやら味に期待しても良さそうだしね。
「へへ…!よかった!」
嬉しそうな顔が真っ赤に染まって喘ぐのを想像してほくそ笑んだ。
…夜がまだおわりそうにないことに感謝しながら。


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適当。
お祝い…自分を大切にしろよ…!でも多分面しかみてないのに一目ぼれ。
あとじいちゃんは実はこの暴挙を知らないとかだとおもしろいなぁとおもいます。
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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