これの続き。 「ん…」 良く眠っている。この間みたいにうなされたりはしていない。 縋りつくみたいに俺にぴったりくっついて離れようとしないのはちょっと困っちゃいるが、その程度でぐっすり眠れると言うなら安いもんだ。 多少の暑さや窮屈さなんざ、任務のときと比べりゃ大したもんじゃない。 それよりも、問題はだ。 「うぅ…静まれ…静まりたまえ…！」 あーうーそのう。えー…下半身というものはどうしてこうも本体の意思を無視するモンなんだろうか。 中忍になりたての頃はそりゃもうしょっちゅう反応して病気何じゃないかと思うほどだったころもあったけど、流石に今は落ち着いたというか、それなりにコントロールができるようになっていた。はずだった。 だがしかし、温かくて鍛えていてもまだまだやわらかくて小さなイキモノにくっついていると、例えようもないほどの幸福感が湧き上がってくると同時に、何故だか余計な部分まで反応するようになってしまった。 誓って言う。今まではこんなことなかった。 何せ鼻血のイルカとかいう有難くもない二つ名を押し付けられたくらい、そっちの方には疎かった。ちらっとでも女性の肌が露になってるだけでもう駄目で、おもしろいけど反応がワンパターンでからかい甲斐のない童貞とかいう更に不名誉なあだ名までくノ一のお姉さま方につけられる始末。 そりゃあほっときゃ溜まるから適当に処理はするが、それも借りてきたビデオとか借りてきた本とか貰った本とか…まあ俺が自分で買いに行くと鼻血で迷惑だからっていう仲間の要らない優しさのお陰なんだけどな…鼻血の量でエロ本のレベル判定しようとするような馬鹿もいたし。まあとにかく。今まではそれでなんとかしてきた。出せば気持ちイイし、それが厭わしいなんてことも一切ないんだが、その辺の子ども捕まえてはぁはぁするような変態では断じてなかったんだよ。 子ども好きだがそういう意味じゃない。ちびっちゃかった連中が色々自分でものを考えるようになって、どんどんでっかく育っていくのを見守るのが楽しいってだけだ。 言い訳が長くなったが、つまりこうして一緒に寝るようになってから気付けば大分経っていて、下手をすればトイレまでついてくる気配に聡い子が常に側にいる訳だ。おかげで下半身事情も切羽詰って、何故だかカカシに抱き締められた瞬間勢い良くその気になってしまわれたというか…。 祈っても宥めても全くもって状態の改善は見られない。 カカシもぐっすりねこんでいることだし、こっそり抜いてきたい。最初のころはこんなじゃなかったんだから、抜いてすっきりすれば落ち着くだろう。 だが当の本人がぴったり俺に張り付いてはがれそうにないという大きな問題が立ちはだかっている。 「うぅ…！」 何とか鎮めようと花見の時期に命知らずにも三代目相手に王様ゲームなんてもんを仕掛けたやつがいて、そのテーマがまさかの女装。あまりの酷さに語り草になったそれを思いだしても一瞬でカカシに置き換わって更に大変なことになった。 綺麗な子だから守ってやらなきゃなぁってのと、どうしてそこでやる気を出しちまうのかわからない下半身との板ばさみで、眠気なんてやってきてくれそうもない。 「ん…イルカ…？」 「お、おお、まだ早いからもうちょっと寝てていいんだぞ？ただ俺はちょっとトイレ行きたくてだな」 「ん、ごめんなさ…」 謝りながらべったり張り付いてくるから始末に終えない。くっそう！かわいいじゃないか！ってそうじゃねぇ！ 「すぐ戻ってくるから。な？」 「…絶対？」 寝ぼけているはずなのに今にも涙が零れ落ちそうな目で見上げられるとなんていうかこう…！待たせちゃいけないと思うじゃないか。 「用足すだけだって。すぐ戻るよ」 「…うん」 ようやく手を離してくれたから、頭をくしゃくしゃ撫でてやって、それから速攻トイレに飛び込んだ。 この子を待たせてるのに抜くなんてことはできないから、普通に用を足すために。 「はぁ…」 何やってんだろうと思いはする。だが。 「おかえりなさい」 こうやってくっついてくる子を無碍にもできないからマズいんだ。 「ほら。暑くても腹にはちゃんと布団かけるんだぞ？もうちょっと寝てろ」 「うん」 すぐにすーすーと規則正しい寝息を、それも静か過ぎて心配になるようなそれを立て始めたカカシを抱き締めて、さてこの状況をどうしたらいいもんだろうかと、俺の苦悩は日々いや増すのだった。 ******************************************************************************** 適当。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |