とある上忍のけいかく23(適当)


これの続き。


これの続き。



手をつないで玄関を開けて扉を閉じて、それでやっと帰ってきたってことにホッとしすぎてついついにやにやしてたらカカシが買い物袋をがさがさしながら中身を冷蔵庫にしまい始めた。
そうそう。野菜は買った。肉も…うん?そういや俺はもしかしなくても買い物の途中だったような…!?
「…ねぇ。何作ろうか?」
「ええええとだな!その!何とかする!とりあえず肉を!」
財布を握り締めて飛び出そうとした瞬間、あっさりカカシに袖口を掴まれた。
…手首じゃないとこがカカシだよな。遠慮しなくていいってのにかわいいなあ!
「これだけあれば十分でしょ?油揚げ、まだあったよ」
「あ、うん。そうだな」
豆腐やら油揚げやら、この間豆腐屋のおばちゃんに捕まったときにしこたま買い込んだのを、手際よく調理していく。
ぼんやり見ている間にうまそうなあんかけ豆腐が出来上がって、わたわたとせめてお浸しでも作ろうとほうれん草を手に取ったときにはもう湯が沸いていた。
なんでもできすぎるぞカカシ…!ってまあ俺も長いこと独り暮らししてたし、母ちゃんと父ちゃんがいっちまってからは一通りは作ってた…んだけどな。
この手際のよさ。やっぱり料理ってのは才能なんだろうか。
ちょっと敗北感が湧き上がってきたが!ここで退いたら男が廃る!
「ナスは味噌汁な?」
それだけは俺が作る!
前に作って出したとき、一口食って目をむいた後、必死になって食べて幸せーって顔してたんだよなぁ。
そうだ。今日は魚も買うつもりだった。
サンマ、好きなんだよな。美味そうに、しかも綺麗に食う。骨だけ残して堪能しましたって顔でご馳走様っていうんだぞ?
そんなに好きならまた食わせたくなるじゃないか!
次こそは買い物に失敗しない…!
まあまたカカシに何かあったらすぐにでも駆けつけていくけどな。
…駆けつけようとしても追いつけない件については、今後の修行を増やさないといけないが。
「俺、ナスの味噌汁好き」
「はは!そうか!じゃあがんばって作らないとな!」
ふつふつと踊る小さな泡と一緒に、ナスが踊っている。もうちょっとやわらかく煮てから味噌入れて、たっぷり作ったから明日も食ってもらおう。
一晩置いたやつも好きだもんな?ま、まあ色はなんでかしらないけど悪くなっちまうけど。
「イルカ先生」
「ん?どうした?」
「あのね。…俺、ずっとイルカ先生と一緒にいたい」
「へへ!そっか!好きなだけうちにいろよ!任務とか、色々あるかもしれないけど…俺んちに帰ってこい」
珍しく自分からくっついてきたカカシをぎゅうぎゅう抱き締めてもしゃもしゃ頭もかき混ぜてついでにでっかくなったのをうっかり忘れて高い高いをやろうとした頃にはすっかりナスも煮えていて、晩飯は非常にうまい具合に出来上がった。
…まあ大半は俺が作ってないんだが。まあ、その、それはそれだ!飯は美味いに越した事はない!
俺んちにいるときくらいは本当ならゆっくりさせたいから、その辺は今後の検討事項としておいて、とにかく…カカシもりもり飯を食ってくれて、そんで目が合うとがふわって笑ってくれるのが嬉しかった。
これが早く日常になるといい。
鼻歌交じりに食器を洗いながら、幸せに浸ったのだった。


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適当。
中忍は幸せ満喫中。子狼の不安も知らずに。
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