奇襲来襲返り討ち(適当)

寝込みを襲った。
無駄だと知りつつ、他に有効な手立てを見いだせなかった。
気休め程度に用意したこの無味無臭がウリの薬煙も、耐性だらけの上忍にとっては毛の先程の効果もないだろう。
大体たかが中忍の俺にこんな大物なんとかしろなんて、上層部の頭が沸いてるとしか思えない。
ひょっとすると今更ながら俺を消したくなったんだろうか。
確かにナルトも随分立派になった。
傀儡になるような性格はしていないが、うぬぼれじゃなく慕われている自分が邪魔になった…って可能性も否定できない。
俺が説得に応じるような性格じゃないのは嫌って言うほど知っているはずだから。
とにかく、上忍がその気になれば、今すぐにでも俺の短い一生は終わりを告げるだろう。
気配を殺しても、写輪眼もちの元暗部に気付かれないはずがない。
普段そんな存在だと意識しちゃいなかったが、この任をまかされてからは絶望したものだ。
こんなに実力差がある相手に向かっていけなんて無茶というかもはや死んでこいと言われているとしか思えない。
気づいているくせに動かないのは、俺が誰だかわかっているせいなのか、それとも…敵を警戒しているのか。
油断した所を…ってのは定石だしな。
上忍によっては敵をいたぶって楽しむタイプの変態もいるが、この人に限って言えばそれはない。
無駄ことに体力を使うより、もっと建設的な使い方をするはずだ。
例えば捕虜を利用して罠を仕掛けるならあり得る話だが、ノコノコ入り込んできた賊に、わざわざ恐怖感を与えるためだけに隙をみせたりしない。
女を使うにしても、心当たりがない上に、そもそもこの人が女相手に油断する訳もない。
エロ本好きのくせに、そういうとこばっかりしっかり忍だ。
何でこんな役目をと、気配を消しながら密やかなため息をついた瞬間。
「ねぇ。いい加減降りてきてくださいよ。寒いでしょ?」
背後からぎゅっと羽交い絞めにされて、身動きも取れない。
声の主は当然…俺が今の今までどうやって奇襲するか思い悩んでいた男だ。
ほらみろやっぱり無理だったじゃないかと一人落ち込んだ。
*****
「何でこんな方法にしたんですか…」
「あー…その、何せどうやっても無駄だってわかってたもんで取り敢えず定石どおりに」
何もせずに散るよりはとそれなりの努力をした。
…が、案の定無駄に終わった俺は、さっさと今回の目的を白状した。
「はぁ…」
呆れ顔で溜息をついた上忍に腕を縛り上げられてはいるが、基本的に傷つけられたりはしていない。
なんだか…居たたまれない。
このプレッシャーを何とかしたくて、慌てて説明した。
「だってあなたは女も薬もきかないでしょう?それに酒も強いし毒にも。これは俺の最新作ですが、やっぱりダメでしたね」
後遺症がでないように細心の注意を払って作り上げたが、この人相手に使うとなれば自信作とは到底いえないシロモノだ。
実際殆ど効かなかったようだし。俺をさくさく縛り上げる手際ときたら驚くほど早かった。
「ねぇ。家で敵に襲われた時だってそばにいたし、酔ってお色気の術ごっしたときも一緒だったでしょ?」
「はぁ。そうですね?」
最近ずっと一緒にいるからってのもあるし、だからこんなことしたくなかったってのもあるし、でも断れなかったってのも事実だ。
中忍の悲哀ってやつに浸る暇さえない。
「それで、里長のとこまで俺を連れて来いって言われたんですよね?俺が断った任務押し付けるために」
「はい」
正攻法でいけるわけがない。説得も無理なのは分かっていた。この人は基本的に我を押し殺すほうだけど嫌なものは嫌ってタイプの人間だ。
それが断ったってことは…俺が何を言っても無駄だし、無理やり連れて行くしかない。
そんなの上だって分かってるだろうに。
「あのね?それってあなただから説得できるって思われたんですよ」
「へ?」
なんでそうなるんだろう?
説得なんてできるくらいなら、こんな苦労はしていない。
「不思議そうな顔してますけどね。…恋人におねだりされたら流石の俺も揺らぎますよそりゃ」
「え?え?ええ!?」
恋人におねだり…そんな人がいたのか。全然気付かなかった。
そうだよなぁ…綺麗な顔してるし性格も癖はあるけどすごく優しい人だし、なにより一緒にいるといつもどきどきした。
今は…なんでか胸が痛いけど。
そうか。俺はひょっとしなくても邪魔ばっかりしてたんじゃないだろうか。
「自覚ないよね…ま、わかってたから平気ですが」
「ご、ごめんなさい…」
楽しかった酒盛りの思いでも色あせて見える。
なんてことをしでかしてたんだろう。俺は。
「好きです。だからあなたのおねだりなら何でも聞いてあげる」
だから無茶しちゃだめですよ?
その囁きに混乱と…それから急に心拍が上がった気がした。
もしかして、嬉しいのか。俺は。
「あ、あの、その!」
「ま、縛っちゃったし、折角だから既成事実先に作っちゃってからね?」
そうして俺は、にこやかに桃色のチャクラを放つ上忍に、それはそれは恥ずかしい目に合わされたのだった。


…ちなみに任務とやらはいつの間にか別の上忍が片付けており、俺の任務は失敗に終わったというかなんというか…。
「ちゃんと後輩にやらせたから大丈夫ですよ」
なんていって微笑む恋人…のつもりだったらしい人にある意味しっかり片付けられていたからそれはそれでいいんだろうか?
今に到るまで上層部からは何も言われていないのだが。
…代わりに恋人になった途端気恥ずかしくてまっすぐに顔を見られなくなった男から、慣れるまでと称して仕掛けられる行為に溺れかかっていてそれ所じゃないというか…まあなるようになるだろう。
「好きですよ」
毎日のようにそう囁くようになった人が俺の側にいてくれるから。


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適当!
ねむいーねーむーいー
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