まどろみ(適当)


 眠くて仕方がなかった。
 …だから帰ってくるなり抱きついてきたカカシさんに、風呂をすすめるのも飯食って来いとどやし付けるのも面倒で抱き枕にすることにしたんだ。
「えっ!ちょっとなに?イルカせんせったら積極的…!」
 何を勘違いしてるのか知らないが、俺は眠い。
 ベストを脱ぎ捨てるのはいい。抱きついたときごろごろして邪魔だもんな。
 だがついでに俺のパジャマに手をかけようとしたから、それはしっかり阻止して抱きついてやった。
 鍛えてるよなぁ。それに見た目よりあったかい。
 ずっと一人でいて、だから一人で寝るのなんて当たり前すぎて何も感じなかったはずなのに、この人がやってきて勝手に居座って泣きついて拝んできて最終的に絆されてその告白に頷いたらそのまま食われたあの日から、ちょっとでも一人の時間ができると寂しいと感じるようになった。
 今回だってちょっと任務が長かったくらいで眠れなくなって、一人でベッドにいるとこの人のことばかり考えてしまってどうしようもなかった。
 何食ってるのかなとか、ちゃんとねてるかなとか、怪我とかしてねぇだろうなとか、そんなことばかり考えていると、気付いたら朝になっている。
 朝日の暴力的な眩しさに照らされる部屋に気付いちまったときなんか、呆然とするよな。
 それでも朝は来るし仕事もある。働いて家に帰って、疲れているはずなのにうとうとと浅い眠りばかりを繰り返して、ぐっすり眠るなんて一度もできなかった。
 でも、もう帰ってきたから。
 文句をいう口は無視して触っても痛がらないかどうかだけ確かめる。
「イルカせんせぇ…?生殺しなの?俺ずーっと我慢してたんで溜まってるんですけど?」
 情けない声を上げているが、痛がる様子はない。怪我はないみたいだな。よかった。
 これでやっと、安心して眠れる。
「…一緒に寝ろ。起きたら飯と風呂と…あと、ええと。まあいいや。とにかく…おかえりなさい」
 それを言うのが精一杯だった。
 なぜってそりゃ、ずっと待ってたのが帰ってきて無傷だったし、布団はあったかいし、抱きついて顔をうずめているから心臓の音も良く聞こえる。
 幸せだ。
 何日かぶりの眠りは恐ろしく速やかに訪れて、そしてそれに抗うつもりもなく。
 穏やかに深く深く意識は沈んでいった。


 起きるなり風呂も飯も一緒に済ませた途端、またベッドに逆戻りさせられた上にやり倒されるなんてことを考えもせずに。

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適当。
イルカ先生は焦らした分だけたっぷりおいしくいただかれたとか、上忍的には斬新なお誘い(ハズレ)にどきどきしちゃったとかいろいろ。

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