眠り姫(適当)

「んっと?どうしよう」
「ん…」
父ちゃんは酔っ払ってるし、母ちゃんはさっきおつまみが切れたからって家に帰っちゃったし、じいちゃんはもっと酔っ払ってる。
でももしかするとこの子は具合が悪いんじゃないだろうか。
真っ白だ。髪も肌も。
桜の花が降り積もって半分くらい埋まってるけど、まるでお人形みたいにきれいで、最初は本当にだれかが忘れていったんだと思ったくらいだ。
俺と同じ位の背丈だから、多分年もそんなに違わないと思う。
ってことは、多分この子もお花見にきた人の子供なんだろう。
…寝ちゃってるけど。
父ちゃんはさっきからじいちゃんとお酒飲んで、泣いたり笑ったり吐いたりしてるから、多分今話しかけても無駄だろう。
この間もアカデミー入学祝いだーとか言い出して、お酒臭い父ちゃんにぎゅうぎゅう抱きしめられて、挙句に泣き出すしで、最終的には母ちゃんに布団放り込まれてたっけ。
多分だけど、今日はあの日よりずっといっぱいお酒を飲んでるから、近寄ったらまたぎゅーってされて頭ぐりぐりされた後、いっぱい訳のわからないことを言われると思う。
父ちゃんが一生懸命なのはわかるんだけど、酔っ払ってるから何言ってるかわかんないんだもん。
じいちゃん呼んでもいいけど、一応火影様だし、まあさっき頭が白くてもさもさしたおじさんと、エッチな話してたからなー?どうだろ。
父ちゃんたちがすごい勢いで騒いで、さっきなんかお風呂でもないのに素っ裸になって走ってた人もいたもんな…。
その後ビール頭からかぶってた。楽しそうなのはいいんだけど、毎回毎回すごいよなー?俺にはいまいち何が楽しいのかわからない。
とりあえず食べ物はちゃっかり確保して、じいちゃんにも撫でてもらったし、知らないおっちゃんにもなでて貰ったし、まあお酒飲ませようとしたおっちゃんは、母ちゃんが鉄拳制裁加えた後、父ちゃんが特別に修行をつけるとかって言ってたからちょっと心配だけどな。
うーん?この子の父ちゃんも多分白いだろうから、それで探せばなんとかなる…かなぁ?
あの酷い大騒ぎの中を探すのは大変そうだけど、転がってる人の中には白い頭の人はいなかった気がするし。
「動かさない方がいいのかなぁ…」
「う…あー…?あれ?ああ、寝てた?」
「おはよう!」
びっくりした。
すっごくきれいだと思ってたけど、目まできれいなのか。すごいなぁ!
「おは、よう?何でこんな所に子供…あーそっか。今日だっけ、花見。相変わらずすごい騒ぎ」
「具合悪くない?大丈夫?」
おき抜けで寝ぼけてるみたいにみえるけど、とりあえず元気そうでもある。
白いのって元々なのかな?母ちゃんに怒られてるときの父ちゃんの顔色より白いけど。
寝てなかっただけかもしれない。
「…ん。ありがと。へーき。ちょっと昼寝してただけ」
「そっか!」
見る限りでは元気そうだ。ちょっとホッとした。
「俺はもう大丈夫だから、えっと」
「イルカ!俺イルカっていうんだ!君は?」
「あー…カカシ」
「そっか!んじゃさ、カカシもご飯食べる?もうみんなお酒とおつまみしか食べてないし、みんな結構つぶれてるし、ご飯のがまだいっぱい残ってるよ!」
おにぎりとかもったいないと思ってたんだよな。それに…食ってないから白いのかもしれないし。
肌の色が白いだけじゃなくて、やっぱり顔色が悪い気がするから、ほっとくのが怖い。またどっかで埋もれてたら、今度は誰も見つけられないかもしれないじゃないか。
「腹減ってる…かな。うん。じゃ、俺も一緒に行く。火影様もいるんでしょ?」
「うん!今父ちゃんとお酒飲んでる!」
「あ!そうか。うみの上忍とこの子?」
「うん!」
「…道理で。そういえば似てる。どっちにも」
初めて笑ったのを見た。それになんだかどきどきする。それにあと、えーっと。…なんていうか、ふわって、桜が咲くよりずっときれいだ。
小さい声でどっちよりもかわいいけどっていうのの意味はわからなかったけど。
「行こ?」
「ん。そうね」
立ち上がったら、やっぱり背丈もほとんど同じくらいだった。
顔が近いとそれだけでなんだかおちつかないけど…もっと側にいて欲しい気もする。変なの。どうしちゃったんだろ俺。
「ご飯いっぱい食べて、そしたら俺もお昼寝しようかな?」
「ん。いっしょにね」
そういってぎゅっと手を握ってきたカカシに、勝手にほっぺたが熱くなった気がした。


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子カカイル祭り継続中。
初恋一目ぼれ二人。敵はただいまのんだくれ(;´∀`)
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