眠りに落ちるまでの話(適当)


脳裏が痺れるようなこの眠気は、漫然と生きることへの消極的な拒否反応だろうか。
だからといって、決して眠れはしないのだが。
せめてこのまま眠りに落ちてしまえたら、少しは楽になれるだろうに。
他人事のようにそう思いはするが、浅い眠りはもはや習慣付けられて、瞳を閉じてもまどろむ程度が精々だ。
「面倒だねぇ…」
溜息は噛み殺したあくびと混じり、締め切った室内をどろりと汚した。
穏やかな時間というものを失って久しい。
一人でいることも常に他者を警戒することにも馴れてしまった。
誰かに守られていた記憶は、もう遠い昔のこと過ぎて、おぼろげな温かさすら忘却されつつある。
例え他と比べれば短すぎたとしても、確かにそれはあったはずなのに。
「さて、行きますか」
任務。それが今の俺の全てだ。友に、師に託された大切な…里を守る方法など他に知らない。
こうして何の感慨もなく、日々こなし続ける任務と同じように、いつか俺も散るのだろうか。
それを寂しいとさえ思えない己を嗤った。
「それが…忍ってやつなのかもね」
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枕にしている膝は力を込めすぎているせいか、硬い。
もそもそと落ち着きなくこすりあわされる膝に手を這わすと、ぎくりと体を強張らせるのが楽しくて、ついつい不埒なところまで手を伸ばしたら、流石にその手を止められた。
「カカシさん!昼寝するんじゃなかったんですか!」
怒鳴り声は教師らしく大きいが、照れているのが丸分かりの真っ赤な顔は、物慣れなさを証明していて却って色を感じさせる。
こんな顔をされたらその気になりそうだ。
「だぁーって。イルカせんせがもぞもそするんだもん」
上目遣いにそう言うと、困ったようにたじろぐのがかわいい。
元々が常識の塊のような人だ。愛情表現も真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐで……こんな人が俺のモノになってくれたなんて今でも信じられない。
「…そ、その!それはアンタが…!ああもう!」
いきなり抱きしめられた。
こういう時に、色事に酷く疎いこの人が、これでも男なんだと実感する。
「イルカせんせ?」
ああムラムラする。密着する肌を暴いて舐めて齧って口づけて…俺の痕だらけにしたい。
「…寝てないんでしょう?任務続きで。…俺の膝枕じゃお気に召さない…ってか、当たり前か。…とにかく!いいから寝なさい!」
でもこんな風に言われたら、大人しくしないわけにもいかない。
だって、泣きそうだ。
今回は帰還が遅れたし、ヘマして怪我もしたせいで、随分心配させた。だからこそ、いきなり膝枕を強請っても、堅物のこの人が照れながらも了承してくれたんだろう。
「ん。寝るから。…ねぇ…?」
今度こそ俺の下に引きずりこんだイルカ先生の胸に頭を乗せて強請ると、しょうがないって顔で笑ってくれた。
「…あー…後で飯の仕度手伝ってくださいよ!」
「もちろん!」
その前に、もっと美味しいものを頂くつもりだけど。
イイ子のお返事にホッとしたように笑った人の胸に甘えて瞳を閉じる。
まどろみはすぐに訪れて、きっとそれからまたすぐに深いものへと変わるだろう。
温かいこの身体が…体が溶けてしまいそうなほどの安心感をくれるから。
「おやすみ…」
「おやすみなさい…」
釣られるようにあくびをして、二人して笑いながら目を閉じた。
温かい闇の中に沈みながら思う事は…。
…まあようするに。忍だって幸せになれるらしいよ?ってことかな?多分。


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てきとうー!
あしたはやすみ!
ではではー!なにかしらつっこみだのご感想だの御気軽にどうぞー!

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