午睡(適当)


久しぶりの休暇を満喫すべく、ベッドの上でごろごろしてたら、帰ってきた恋人がのそのそと上に乗っかってきた。
「ん、なぁに?」
「んー…」
寝ぼけているのかそれとも何かあったのか。
しがみ付いてくるのはかわいいんだけど、色々心配だ。
この恋人は分かりやすいようでいて読めない。
具合が悪かろうが、辛いことがあろうが、家に帰ってくるとその全てを自分の内に押し込める所があるからだ。
他人には開けっぴろげなのにねぇ?
「暑い?」
「うー…」
長らく一人で生きてきたせいもあるんだと思う。
どうも俺もこの人も、自分の感情を口にするのが苦手だ。
そもそもどうやらかなり早い段階で両思いだったらしいのに、こうなったのはたまたま偶然が重なった結果に過ぎない。
お互いずっと黙っているつもりだったから、おせっかいなクマと外見だけは美しいのに鉄火な性格をしているうわばみ女がいなければ、こんなことにはなっていなかっただろう。
感謝だけでもないってのがちょーっと問題ありだけどね。
クマはまあいい。どうしてか俺の気持ちに気付いて、とっとと言っちまえなんて酒に任せて言ってきただけだから。
問題はうわばみだ。…何せ強引に人の恋人…ま、その時はただの知り合いでしかなかったけど。
とにかく、いきなり酒を飲ませて罠にはめ、ついでに一服もって人の部屋に押し込んで逃げやがったのは許しがたい。
己の変化に怯えて泣き、謝罪を繰り返す愛しい人を放っておくわけにもいかず、何を思ったか解毒剤も効かないようなタチの悪いのを使ってくれたおかげで、抱かずに処理するのに相当な苦労をした。
自分だけじゃ済まないと、変に律儀なことを言い出した人に触れられたりもしたから、ぎりぎりまで押さえ込めたのは奇跡だったと思う。
…っていっても、「俺にも勃つんですね…?」なんて言われたおかげで最終的にはまあその、やっちゃったというかなんというか。
好きだから勃つに決まってるでしょって、ついつい…まあうん。かわいかったんだもん。結果的にそれで恋人同士になれたんだから、細かいことには目を瞑ってやった。
してやったりと笑う女と、何でかしらないけどつかれきった顔でやっとかなんていってくれたクマには、今度やったら殺すとは言っておいたけどね。
まっすぐで癖のない髪を梳いて、そのつややかな手触りを楽しむ。
こんなことができるのも、こんな関係になれたからだしね。
「あ、動いちゃダメ」
「えー?」
「ダメです。もうちょっと…このまま…」
人を枕にして眠ってしまうつもりらしい。
無防備にくっつかれると困るんだけど。
「起きたらシよ?」
「うー…シます。でも眠いしカカシさんから離れたくないので」
あからさまな誘いに、真っ赤になるかおろおろするかと期待してたのに、想像の更に上を行った。
もうどうしたらいいの!この人!かっこいいしかわいいんだけど!
「しっかりねといてね?一晩中寝かせないから」
男前なのに素直すぎる甘えん坊に熱っぽく囁きながら、俺も眠ることにした。
宣言通り、たっぷりと愛を証明して見せるために。


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適当。
いちゃっぷる?
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