薄明かりに目を覚ますと、隣に恋人が寝ていた。 俺が贈って、脱ぎ着がしやすいと気に入ってくれた浴衣を着ている。 脱がせやすいってあたりで俺のたくらみを見破られたかと思ったんだけどねぇ。素だったみたいで、何度襲ってもそのちらちら見える鍛え上げられた太腿と下着が原因だってことには気付いていないみたいだ。 この人は基本的に自分の懐にいれた相手に対しての警戒心が、異常なほど薄い。 でもだからって、これはちょっと。 「お尻丸見えなんだけど。何で下に何も着てないの?」 むらむらする。それはもう今すぐにでもむしゃぶりつきたいくらいには。むしろコレってお誘いなんじゃないの?ねぇそうでしょ? なーんてね…ま、違うってのは分かってる。大方俺がいないのをいい事に残業入れまくって、その上この所の梅雨空だ。きっと洗濯が間に合わなかったんだろう。 友人のふりをしていたころは、風呂場でパンツ洗ったりしてたもんね。 少しでも距離を縮めたくて、手土産を言い訳に不意打ちで行ったのもまずかったんだけど。 濡れてぴったりくっついてるのを穿いて、その内乾くから大丈夫とか開き直っちゃうし、もうね…。お尻のライン丸分かりで、全部脱いでるより卑猥だって。食われてもいいの?って叫びそうになったじゃない。 ま、結局、濡れた下着じゃ風邪を引くとか言いくるめてコンビニで下着を買ってきたんだけどね。あーこれあの人が着るんだよなーとか、ちょっと興奮しちゃった。 この人は結構ずぼらだ。独り身の長い男なんてこんなもんかと、思わなくもないんだけど。 …濡れた下着を咎めたせいで、風呂上りだしいいかってそのまま寝くたれたに違いない。 それを証拠にベランダにはいかにも適当に干しましたって感じの忍服がズラーッと並んでいる。 もうあんなこともそんなことも全部やっちゃった仲なのに、未だに警戒心が薄いのはどうなのよ。なんで?心配すぎる。 「ふが?うー」 思わず鼻をつまんだら、眉間にぐっと皺を寄せて不満そうにもごもご身じろぎしている。 つっこんだ瞬間、この人は背を逸らしてこんな顔をする。目じりは赤く染まって、息を詰めて締め付けてきて…。体格はしっかりしてるのに、あの瞬間だけ耐え切れないのか、弱々しく縋ってきて…。 もういいよね。これ、据え膳ってことで。 「いただきます」 熟睡してたみたいだけど、さすがにもそもそしてたら途中で起きちゃったけど、止まれないし? 「ん、え?あぁッちょっんー!」 驚いた顔がたまんないよね。たっぷりその表情を堪能して、腰を使うと戸惑ったまま素直に感じて驚いた顔のまま喘いでくれたから。 …つい、ね。中がいっぱいになるまでやっちゃったのはちょっとだけ反省している。 ちなみになんであんな凄い格好で寝てたのか聞いたら、やっぱり下着が足らなくなったからで、隣に寝てたのは疲れて帰ってきてすぐに謝りながら寝てしまった俺が心配だったかららしい。 ま、今動けないのはこの人の方で、俺がそうしちゃったんだけど。 「もうしんぱいしてやらねぇ…」 結局乾くまで着る物がなくなっちゃったから、二人して全裸で布団に包まっている。 悪態もかわいくてにやにやしてたら、耳を引っ張られた。 「ん。好き」 「うるせぇ…も、いいから黙れ」 真っ赤になって背中なんて向けちゃうから、またしたくなっちゃった。きれいに筋肉がついたからだに、傷痕が散らばって、特に背に残っている大きなモノはこの人の体を飾っている。 それも当然か。だってこれはこの人の勲章だ。だからこそこんなにも汚してしまいたくなるのかもしれない。 ま、流石に我慢するけど…だって任務開けでしばらくこの人に触れてなかったっていうのに、あの格好だしね?少しは自覚してもらわなきゃ。…体で。 「しませんよ?」 「ん。くっついてたいだけ」 「…しょうがねぇなあ。アンタは」 ここでなでてくれちゃうのがねー。うーん。やっぱり朝起きてから一発決めよう。 ほんの少しだけの我慢を知ってか知らずか、恋人は物凄く優しい顔で微笑んでくれた。 ******************************************************************************** 適当。 |