納得できない!(適当)


なんだか知らないが上忍が落ち込んでいる。
「俺が…俺がアレだけ言ったのに…!」
…とりあえず大の男が膝にすがりついてるって状況はなかなか耐え難いものだってことだけはわかった。
「あのー…お見舞いはありがたいんですが、一体なにがあったんですか…?」
幸い怪我は大したことないから、もう帰りたいんだけど。
何でこの人は処置室にまで入り込んで人の膝になついてるんだろう。
「アンタなんでそう迂闊なんですか!こんな怪我までして!」
「いってー!なにすんだ!」
いきなり怪我した方の足をぎゅうぎゅう掴まれて、とっさに頭を殴ろうとしたけど、あっさり交わされた。
「だから…言ったでしょう!なにかあったらこれ使いなさいって!」
「へ?」
やたらとえらそうな男が俺のベストのポケットからひっぱりだしたものは、そういえばこの間飲んでたら絡んできたこの男に強引に渡されたものだった。
「そういやこれなんなんですか?」
「聞いてなかったの…?」
がっくりと頭をたれる姿は、とても高名な上忍とは思えない。
まあ普段からこの人うさんくさいんだけどな。
「あの、えーっと。ごめんなさい?」
「悪いと思ってないのにあやまるんじゃありません!なにやってんのほんとに!」
「といわれましても…任務ですから」
どじ踏んだといえば踏んだけど、仲間が無事だったんだからまあ結果オーライだ。
久々の任務にちょっとだけ浮かれつつ、任務を遂行して、それから案の定出てきた敵が想定されていたより強かったのだ。
攻撃のすばやさについていけたのが俺だけで、あの時俺が避けるより、盾になった方が被害が少ないと思っただけなんだけどなぁ…。
…そういや、何でこの人俺が怪我したの知ってるんだろう?さっき里に帰ってきたばっかりなのに。
「任務なのは知ってる。あんた自分のこと軽々しく扱いすぎなんですよ!なに怪我なんかしてるわけ?」
「そんなこと!…むしろアナタの方が危ないことしてんでしょうが!」
伊達に受付やってないぞ!
俺なんかよりよっぽど無茶な真似するし、怪我もするしチャクラ切れもするし!
って、だからなんでこんなことで言い争ってるんだろう。俺たちは。
「あのね…だから怪我なんかしないですむならそれに越したことないんですよ。俺がアンタが怪我したって知ってどれだけ苦しかったか分かりますか?」
心配してくれたみたいだなぁ…随分と。
面識なんて一回派手に喧嘩したことくらいしかないのに。
仲間をすごく大切にする人だって言うのは聞いて知ってたけど、ここまでとは。
「あの、心配かけてごめんなさい…」
そのあたりは俺も悪いと思ったからさっさと謝った。
それに早くうちに帰りたい。腹減ってるから一楽によってからにしようかななんて思ってもいる。
心配されていることに、ちょっとした苛立ちもあった。
だってそうだろ?この人に比べれば俺は確かに弱いんだろうけど、こんなにやいのやいの文句言われると、自分だって失敗したと思ってるのにさらに落ち込むじゃないか。
「分かればいいんです。…さ、行きますよ?」
「へ?」
「送ってきます」
「え!あの!自分で歩けますから!」
目が本気だ。何なんだこの人。
「ウソおっしゃい!あんなによたよたしてる人ほっとけないでしょ!」
腰に手を当てて人を見下ろしてきた態度より、その言動の方が気になった。
何処で見てたんだこの人。ちょっと怖くないか?
「大丈夫です!ちょっとラーメンでも食べたらさっさと帰りますから!」
「ナニ言ってんの!?馬鹿じゃないの!?…ああもう!やっぱり来なさい!治るまでアンタうちから出さない!」
「はぁ!?そっちこそ何言ってんですか!」
俺とラーメンとの私服のひと時を邪魔するなんて…!じゃなくて、何なんだこの人。何でこんなに横暴で…涙目になってるんだ?
「怪我なんかしないでよ…。どうせ俺の告白だって忘れちゃったんでしょ…?」
「ふへ!?」
「ナニその変な声。変な顔」
「失礼な!アンタが変な事いうからでしょうが!」
「変な事なんて言ってないでしょ!…好きって言ったよ。俺は」
「へ?」
好き?中忍仲間の飲み会にいつのまにか混ざってたのもあれだけど、ちょっと殺気立ちながら隣に座られたせいで、仲間が寄ってこなくなって、かえってやけになって酒飲んだのは覚えてるんだけど。
「はぁ…アンタ全然聞いてないんだもん嫌になる…。まあいいけど。怪我した自分が悪いんだからしばらく俺に軟禁でもされなさい。その間しっかり世話するし、口説いてあげるから」
「だからなんなんだー!?」
「いいから。俺にしときなさいよ」
「なっ…!」
「もうアンタにめろめろよ?夜だってちゃーんと気持ちよくしてあげる」
手つきが卑猥だ。視線も怪しい。いろんな意味でぞくぞくする。
「け、怪我人ですよ!?」
「そ?じゃ、手加減もね?」
にこりと笑った瞳はケダモノの光を宿していて、信用なんか欠片もできない。
そもそも手加減って…!
「なんだそれ!」
「さ、帰りますよ」
「はーなーせー!」
*****
怪我人相手だっていうのに、やっぱり手加減なんてしてもらえなかった。
殴っても蹴っても泣きが入っても、むしろ恐ろしい程手際よく俺の快感を探り出した男に、最後は縋っていたのだから目も当てられない。
挙句の果てに、翌朝目覚めて経験したことのない痛みと疼きに流石の俺も文句を言ってやったというのに、男は偉そうな態度を崩しもしなかったのだ。
「ちゃーんと約束守ったでしょ?話聞かない方が悪いんだから文句は受け付けません!」
…で、それが俺とこのわがままな上忍がなるようになった切欠だったりするんだが。
なんていうこの男に、いまだに釈然としない何かを感じるのだった。
まあ、なんていうか…確かに幸せなんだけどな?


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適当。
6月締め切りが近いのに夏の締め切りも恐ろしい今日この頃。でも眠気に負けてしまう…!あがけ自分!
ではではー!ご意見ご感想等御気軽にどうぞ!

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