「イルカ先生!」 久しぶりにみる恩師は年を重ねたせいか随分と小さく見える。っつーか俺がでっかくなったんだよな。そんだけ。 一楽、行きてぇなー。 この人の顔をみると、まず一番最初にそれが来る。 別にラーメンばっかりじゃねーけどさ。なんつーか。イルカ先生と食べるラーメンは一等特別なんだ。 ヒナタもチビたちも大切だ。なんてたってはじめてできた家族だから、幸せすぎてどうしたらいいかわからなくなるけど、なによりも誰よりも大切だ。 でも、その中のイルカ先生も入ってるんだってばよ。まあちょっと違うところにだけど。 「おう!元気でやってるみてぇだな!って、火影様相手にこの言葉遣いじゃだめだよな」 普段から礼儀作法にうるさいくせに、喧嘩っ早くて悪戯するとすーぐ怒号と一緒に拳が飛んでくるような人だったけど、今日も元気そうで嬉しい。 俺ってば最近へろへろだからなぁ。 「へへ!みずくせーこというなってばよ!で、なになに?なんかあったのかよイルカ先生?」 「あーなんかっつーかな。へへ!おめぇ誕生日だろ?今日」 「え?あー?そうだっけ?」 そういえば式典があるんだったか?慰霊祭とそれから…シカマルが色々言ってた気もするけどおぼえてねーや。 ボルトがみょーにこそこそしてるのと、ヒナタが何か編んでるのは見たけどもしかしてそれってもしかするのか?…やべーってばよ。すっげぇ楽しみだ! 「で、だ。忙しいだろうから出前だけど。これ、食ってくれ」 「お、おおおおお!」 岡持ち片手に現れた一楽のおっちゃんと、そこから漂う胃袋を直撃する匂いに思わず涎がこぼれそうになった。 間違いない!一楽スペシャルの匂いだ!…え?でもあれちょっとまてよ?もう外は真っ暗で、っつーか本当に10日になったばっかなんじゃないのか? 「特別だぞ!坊主!って、もう火影様になったんだもんなぁ…!あんなにチビだったってのによ…へへ!泣かせるじゃねぇか!」 「おっちゃん…!」 「伸びる前に食えよ?俺たちからの祝いだ。本当はヒナタたちが先のほうがよかったかもしれないんだけどな。ヒマワリは夜更かしさせるとかわいそうだからって」 「え、そっか…」 そういやヒマは寝ぼけると危ないんだったな。怒らせても危ないけど。ヒナタも怒るとこえーけど、ヒマはな…あれはうん。こえぇ。多分俺の母ちゃんに似たんじゃないか?あれ。 うっかりで家を半壊させられてもこまっちまうからなぁ。一度壁と天井に大穴開けたときもヒナタの実家に世話になったけど、ヒアシじーちゃんが甘やかすし、見込みがあるとかいっていろいろ仕込もうとするし、ボルトもヒマには甘いから…。 …まあおかげで本気で怒ったヒナタとヒアシじーちゃんとの死闘が繰り広げられちまって、大騒ぎになったせいで家は慌てて戻ってきたヤマト隊長が速攻直してくれたけどな。 「だからな。今日はそれ食ったら家に帰れよ?」 「…うん」 仕事はある。むしろ山積みだ。でも、待っててくれてるんだ。 妙なヤツが襲ってきて以来、ボルトは大分寛容になったけど、それは我慢させてるってことで…俺も、それはいやなんだ。どうしても。 「仕事は俺も手伝うぞ?」 「マジか!先生仕事はえーからな!助かるってばよ!」 イルカ先生がいてくれれば百人力だ。そう、このひでーことになってる部屋も、カカシ先生が火影をやってたときはこんなじゃなかった。 補佐にイルカ先生がいたからだ。 自分が引退するときにもう苦労はかけたくないとか言って強引に一緒に引退させやがって…!ホントは二人っきりでいちゃつきたいからだけどねーとか就任してすぐのろけにきたし!ずりーってばよ! 「カカシさんもおめでとうって。なんだか変な意地はっちまって、ここには来てないんだけどな?また喧嘩したのか?あの人の言うこと全部真に受けてたら駄目だぞ?」 この人は、知らない。どれだけ自分がカカシ先生にとって大事なのかとか、俺にもずっと嫉妬してて時々おっそろしく陰険なことするってことも。 今日が誕生日だから、本当の特別の特別に、この人を譲ってくれたってこともな。 「イルカ先生。おっちゃん。うめーってばよ!」 「そうか!よかった!」 「ありがとよ!坊主!」 今日一番最初に祝ってくれた二人には心からの感謝を伝えて…それから。 窓の外で多分ずーっとふてくされているだろうもう一人の恩師にもこっそり感謝しておいた。 痺れを切らして迎えに来る前に、俺も帰ろう。待っていてくれる俺の家族の下に。 「誕生日ってのも、わるくねーってばよ」 「そうだな」 笑顔が変わってない。皺とかは増えたけど、やさしい。俺の家族。…まあこの人もボルトとヒマに甘いから要注意なんだけどな。 スープまで飲み干して、二人に祝ってもらいながら部屋を出た。鋭い視線が追いかけてくるけど、多分すぐに執務室に行くだろう。そんできっと、出勤したら説教とか文句とか言われるんだってばよ。 幸せな日常。チビだった自分が想像もできないくらい幸せな今を、なによりも大切にしたいと、そう思った。 ******************************************************************************** 適当。 なるとおたおめワーイヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノワーイ。 |