蜜月(ヤンカカモノ 連載的な何か14)


ヤンカカモノ連載的な何か。その14。
カカシてんてー視点。
いつも通り病んでるのでご注意ー?


「おかえりなさい」
その台詞にこうも心を揺さぶられるのは、やっと取り返したと実感できるからだろうか。
照れたように笑う上気したその顔に、散々むさぼった肌を思い出して押さえが効かなくなりそうだ。
でも、今は。
「ただいま」
そっと抱き寄せると安堵に涙さえにじませながらしがみ付いてくる。
ほうっと安堵のため息をついて、全身で俺を確かめるために。
愛しさと歓喜で眩暈がする。
…この子はもう俺のモノ。ずっと昔から俺のモノだったけれど、今度こそもう二度と離さない。
老いた里長がこのまま黙ってなどいないことは知っている。
あれほどまでに俺を厭うあの老人は、必死になって俺を引き剥がそうとするに違いない。
…これまでもそうだったように。
だが…きっとそのたびに打ちのめされるだろう。
あの幼かった体はすんなりと伸びやかに育ち、守られることに安堵していた心は、俺を守ろうとするほどに強くなった。
いや、俺と、自分とのつながりを、か。
引き離そうとすれば、今度はこの子が、イルカが、哀れな老人を退けようとするだろう。
俺のようにその愚かさを切り捨てることはしなくても、きっと容赦なく…俺を選ぶ。
あの時の顔を思い出すと、笑いが止まらなくなりそうだ。
あせりと驚愕が絶望に変わる瞬間、あの子は…この人は、俺を選んだことをやっと思い知らせてやれた。
守っているつもりで、大切なものを取り上げていたのだと、今頃里長は理解できているだろうか。
まあ、そんなものはどうでもいい。
…邪魔なら消すことすら厭わない。今の俺に他に大切なものなど何もない。
イルカだけ。…それ以外などどうなっても構わない。
それ以外に守るべきものなど疾うの昔に失ってしまっている。
いっそこの里から連れ出してしまったほうがいいだろうか。
情け深く優しいこの子なら、きっと悲しむだろう。
だが、ここへの愛着はあっても、記憶を失ったままでも…確実に俺の手を取ってくれる自信がある。
こんなにも、イルカは俺しか見ていないのだから。
くすくす笑いに怪訝そうな顔をして、それから…未だ不安を宿らせていた瞳が、俺を映した。
ただそれだけで蕩けそうに幸せそうな顔をする。
きっと俺も同じような顔で笑っているのだろう。
己の欠片と一つになれることを喜んで。
「カカシさん」
俺の名を呼ぶ声は、甘く掠れている。
失わないように必死で繋ぎとめようとしている。
しがみ付く力は強く、狂いそうなほどの歓喜を運んでくる。
「イルカ」
名を呼んだ。
…側にいるのだと解らせるために。それから…二人が交じり合うための行為の始まりを告げるために。
沸きあがる欲望が吐息に混ざり、狭く閉ざされた部屋の温度が上がった気がした。
ここから、この子が離れて行くことはもう二度とないだろう。
閉じ込めるなんて必要ない。
どんなに離れてもここが、俺の側が己の居場所なのだともう決めてしまっている。
…お互いに、不可分であることを、思い知ってしまっている。
なら、もうすることなど決まっている。
唇を寄せ合ってそれから。
あとは、どろどろになるまで溶け合えばいい。
離れることなどもうできないのだから。


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ヤンカカモノリハビリ気味。
うすっくらい情熱。
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