完全所有妄想 とある中忍の場合(適当)


だまし討ちに近い方法だったとは思う。
気付かれてなんかいない自信はあるんだが。
「イルカせんせ」
横たわる三日月のように満足げにつりあがった唇が俺を啄ばむ。
擦り付けられる頭の手触りは今日も最高だ。
「カカシさん」
名を、呼ぶ。夜が明けるまで、いや、夜が明けても何度でも。
それだけでこの人が喜ぶことを知っているから。
「ん…」
口づけは甘く執拗で、このままこの人に溶けてしまいたくなる。
酸素が足りない。この人がもっと欲しい。
「続き」
唆す声にくすくすと笑う人を抱き寄せて、するりと滑り込む手に快楽の予感を感じてほくそ笑む。
俺を溺れさせようと必死であればあるほど、この人は俺におぼれて行く。
もうとっくにお互いにどっぷりハマって抜け出せないというのに。
「イルカ先生。もっと俺を欲しがって…?」
ソレは俺のセリフだと返す前にふさがれた唇に甘い衝撃が走って、それ以上考えるなと訴える。
今必要なのはただ甘く蕩ける時間だけ。
誘惑にさっさと白旗を揚げて、触れ合う肌の心地良さにウットリと目を細めた。
好きだと告げもせずに体だけでもと押し倒してきたのはこの人の方だ。
…それが罠だったんて想像もしていないだろう。
俺を見つめ続ける視線を心地良く思いながら気付かないフリをして、それが少しずつ凶暴な色を湛えていくのを歓喜と共に見ていた。
いつか、きっと、もうすぐ。
そうしてこの人は俺を手に入れた。
卑怯な手段だったと恥じ、そのせいで俺が心変わりすることを誰よりも恐れている。
そう、俺が仕向けた。
少しずつほだされるふりをするのは存外楽しかった。
瞳を不安に揺らめかせながら俺に溺れていくこの人を見つめ続けるのは。
「カカシさん」
名を、呼ぶ。何度でも。ずっと。
騙したつもりで騙されているこの人は、もう逃げられないのだとほくそ笑みながら。


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適当。
短い。
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