脱ぎ捨てた服は床にばらばらに散らばっている。 それだけならまだしも、床にこびりつき乾いた体液やら、ぐちゃぐちゃのシーツ、破れて絡まる服の一部まで一気に視界に入ってくらりと眩暈がした。 冷静になればなるほど目を背けたくなるような惨状。 頭を抱えたくなったが、それ以上に痛む腰に手を当てて、さてどうした物かと考えてみたが、考えた所で答えは決まりきっている。 「片付けなきゃな…」 とりあえず、行為自体は合意だった。 互いに火がついたように盛った理由ははっきりしないが、目があって、その中に灯る欲望の光に互いに反応しあったってのが正しいのかもしれない。 どこでとか相談もしなかったが、どっちの家が近いかを考えたら俺の家で、それを相手に告げる前に歩き出したし、連れ立って家まで歩く、せいぜい数分のその距離さえもどかしかった。 家に着いて鍵を閉めたかどうかすら記憶にない。 乱れた呼吸で互いの服を剥ぎ取りながら移動し、せめてベッドの上でと告げた言葉は、頭に血が上りきっていたらしい男には届かなかった。 その場で恐ろしいまでの浴場に流されそうになるが怖くなった俺が、ささやかな抵抗をしたのがまずかった。 「縛っちゃお」 当然のように、だが切羽詰った声で告げられたときには、手首に破れたアンダーを巻きつけられ、床に這わされてすっかり身動きを封じ込まれていた。 忍なら、抵抗を封じられたコトに恐怖を感じるべきなのに。 一般人ですらするはずだというのに、俺はあがくことすらしなかった。 縛られたことじゃなく、男が俺を欲しがっているって事実が、俺の頭を沸騰させて、興奮と歓喜に浸りきった頭では、自分がどんなにとんでもない格好を強いられているのかなんて思いつきもしなかったのだ。 後は性急な愛撫に高められて吐精して、それからすぐに男にも突っ込まれて揺さぶられて、そのせいでまた達してしまい、そこまでやってやっと、痛みを訴えた俺に気付いた男がベッドに連れ込んで延長戦にもつれ込んで意識を失うまで揺さぶられて、今に至るわけなんだが。 「いっつー…!」 体を起こすだけで軋むのは、あれだけ激しく腰をぶつけ合えば当然だろうが、痛いものは痛い。 だからといって、青臭い異臭を放つ部屋をそのままにはできない。 途方にくれて、だが何とかして己を奮い立たせようとした。 …が、すぐに挫折する羽目になった。 「まだ早いでしょ…?」 ぎゅーっと力加減の出来ない男が俺を抱き寄せたせいで、腰も痛むし、腹も立つしで散々だ。 「…もう、いいか。面倒だし」 抗う余力さえないほどに淫行で消耗した己に羞恥を感じないわけではなかったが、痛みと気だるさはそれら全てを凌駕した。 男に抱え込まれるままに身を寄せると、布団を引っ張り上げた男が丁寧に俺を包み、それから抱き寄せて瞳を閉じた。 散々俺に恥ずかしい行為を強いたというのに、この腕の中は温かくて安心する。 全ては、起きてからにしよう。 起きたら掃除して、それから男に説教でもしてやろう。 この一時のぬくもりに身を沈めるのも悪くないから。 ********************************************************************************* 適当ー。 ふゆの後朝!ねむい。 で、お掃除はきっちり狙い済まして据え膳ゲットした上忍が何とかしたというコトで!!! |