キスは気持ちイイ。溶け合うのなんてもっとだ。最初から一つだったみたいに蕩けて混ざって、境目も分からない位になれたらいいとさえ思う。 でもねぇ?それって俺だけなのかも。 「イルカせんせ」 「しませんよー」 「まだ何にも言ってないのに!」 「顔に書いてあります」 にっこりと受付嬢スマイルで俺の頭をわしわしと撫でて、視線はまた書類に戻ってしまった。 つまんない。さみしい。もっと撫でてよ。 子犬みたいに鳴いて見せたら、もう少し構ってくれるだろうか。この人は弱い生き物が大好きだから。 「イルカせんせー」 「はいはい。おやつならせんべいがそこに」 「イルカせんせ。もっと撫でて」 「こっちが終わったらいいですよー」 「…待ってます」 膝に懐いて強請ってみても、ちょっと撫でたらすぐ終わり。 却って寂しいから寝室に篭ることにした。 ベッドに潜り込むとイルカ先生の匂いがして幸せな気分になる。 それから同じくらいいろんな事がしたくなる。 あーヤリタイ。あそこの匂いとかアレの匂いとか、胸がいっぱいになるまで吸い込んで味わって、泣いてももがいても許してあげないで、ずっと繋がっていたい。 一緒にいるのに寂しいなんて。 こっそり鼻を鳴らして、それがまた布団の中に響くから余計に寂しくなった。 「カカシさん」 ふすまの向こうで俺を呼ぶ声がする。 でも行きたくない。だって終わったなら終わったって言ってくれるはずだから。 拗ねてることにはきづいてるんだろうから、少しはご機嫌取ってくれる?それとも終わらないから今日は帰れとか言い出すんだろうか。そうしたら後先なんて考えずにむちゃくちゃにしちゃう自信があるんだけど。 布団に包まって丸くなってたら、すぐ側で大きなため息が聞こえた。 「布団蒸しになっちゃいますよ?」 暑さなんて簡単に調節できる。 イルカ先生がいないとどんなに暑くても寒いのに、こうやって構ってくるくせに仕事優先なんだもん。 …俺だって、あの書類の山が俺の任務と同じ位大事なモノだって事くらいわかってる。 それで我慢できたらこんな風にこの人を困らせたりしてない。 この人に出会うまではそんなこと考えもしなかった。任務をこなして修行していつ死ねるのかってことばかりを考えていた気がする。 「イルカ先生が構ってくれるならでてもいいですよー?」 ふとんから少しだけ顔を覗かせてそう言うと、イルカ先生が動揺したのがわかった。 俺の言葉にじゃない。多分この行動にだ。 イルカ先生のツボはよくわからないけど、今ちょっとときめいたのは分かった。良くも悪くも顔にですぎるんだよねぇ? 「しょ、しょうがねぇなぁ!飯食って、それからちょこっとだけならいいですよ!」 「じゃ、出る」 もそもそと這い出して、ちょっと勿体つけながらイルカ先生の腰に抱きついてやったら、ものすごい勢いで真っ赤になって悶えてた。 あー…ヤリタイ。なにそんなかわいい顔しちゃってんの。 「飯、食って、風呂入る前に即効片付けます」 「ん。待ってる」 いい子の返事で小首を傾げて見せたら、やっぱりかわいい顔を真っ赤にして悶えてて、すごくむらむらした。 ***** 本気のイルカ先生はすごい。どうしてこんなに溜まったんだってくらいたくさんつみあがった書類を、凄まじい速さで片付けた。 風呂まできっちり入られてしまったのは誤算だった。洗い立てのイルカ先生もきらいじゃないけど、どうせならイルカ先生の匂いも堪能したかったのに。 「待たせてごめんなさい」 「待ちましたーだからもっとちゃんと撫でてよ?」 「はいはい」 返事こそ面倒そうだが、顔がそれをはっきり裏切ってにやけきっているから何のダメージもない。 素直になればいいのに。…人のことなんか言えないけど。それにこういう態度もかわいい。 「イルカせんせ」 どさくさにまぎれて指先に口付けて、視線で誘ってみた。 分かりやすく反応した下肢ににんまりしながら、懐くフリをしてそこここに触れた。ひくひく体を震わせて反応してるくせに、必死でなんでもないような顔をするのがこの人らしい。 ま、逃がさないけど。 「や、いきなり…!」 「いれたい」 「い、ぁぁ!」 準備しておいた潤滑剤をたっぷり使ったせいか、指を食ませてそれだけでいい声を上げてくれる人を抱きしめた。 もっと泣かせたい。俺だけのために鳴いてほしい。 「ね、いっぱいしたい」 「や、アンタ明日任務…!」 「大丈夫だもん」 「だもんとかいうな…!」 んー説得失敗?ま、いっか。どっちにしろもう…止まれない。 「や、あ!そんな、まだ入れ…!」 「大丈夫入る入る。ホラ息すって吐いて」 足を押し広げてずりゅんと飲み込まれていく性器を見せ付ける。 繋がった所から視線を逸らせないのか、息は乱れきってるのに固まったみたいに目を見開いている。 「う、ぁぁ、ん、ふ…!く、そ…!」 「すご…っ!」 締め付けて搾り取るみたいにうごめいて、本人の知らないところで縋りつく中をどう思ってるんだろう? 「う…!はやく、しろ!」 「はいはいもちろーん?」 我慢できないのは一緒だ。焦らしてみたい気もするけどこっちが持たない。 ぐんと突き上げて、反り返る喉に歯を立てて、舌を絡ませる。 上も下も溶けてしまいそうなほど気持ちイイ。 「ふ、ぅ、あぁ!」 「いく?」 まだいけない。もっとここにいたい。でも出して汚して俺で一杯にしてしまいたい。 一回だけなんてやっぱり無理だ。 「や、ああー!」 「んっ!は、ぁ」 奥の奥まで突っ込んで吐き出して、駆け抜ける快感に背筋を震わせながら倒れこんだ。引く引くと震える太腿に手を這わせて、唇を奪う。 焦点の合わない瞳で、一生懸命応えてくれる舌をたっぷりと味わった。 「う、え?」 「うん。ごめんなさい」 後何回できるだろう。俺はいくらだってできそうなんだけど。 「や、いっかいって!やめろ!もうや…ッん!」 ゆるゆると腰を動かして、上がる声は酷く甘くて、自分だって誘うように腰を使ってるのに気づいてなんかいないだろう。 「どろどろになりましょうね?」 にっこりと笑って見せるとうっかり釣られて頬を染めてくれる所もかわいい。この顔に生まれてよかった。父親そっくりで最低な目にもあったけど、この人が気に入ってくれている。 もっと、全部どろどろになるまで止まれない。 全部、溶けて、この人と一つになるまでは。 「え?あ、あぁん!」 それって最高に幸せじゃない? 甘く爛れた鳴き声にうっとりと目を細めた。 ****** 「アンタやりすぎです…!」 「そう?でも足らない」 「も、もうできねぇっていってんでしょうが!」 足腰立たなくなるまで励んでみたい。一度でいいから。忍としての理性が流石にそこまではできないとストップをかけるのがつらい。 「もっともっと欲しい。ずっとくっついて離れたくない」 身じろぎするのも辛そうなのをいいことに、胸元に顔を埋めてそう囁くと、困ったようにため息を吐かれた。 「ま、まあ今回は許してあげます。代わりに!洗濯とかきっちり片付けて、あと昨夜の書類アカデミーにもってっといてください。あと…」 「んー?なぁに?」 めんどくさいけどそれはいい。でも何で悲しそうな顔するの?やっぱりやだったの? 今更不安に駆られて赤く染まった目じりに舌を這わすと、勢い良く怒鳴りつけられた。 「アンタ怪我なんかしたら承知しねぇからな!ちゃんと元気に帰ってきなさい!」 「はぁい!」 よいこのお返事に満足したのか、怒鳴ったせいで力尽きたのか。どっちか判然としないけど、ことんと瞳を閉じたまま意識を手放してしまったらしい。 「ちゃんと、帰ってきますよー?」 だってもう駄目だ。この人がいないと。生きるのも死ぬのも絶対に。 「くそ、じょ、に…」 「うん。大好き」 寝言でまで毒づくのを楽しんで、窓から家の外に飛び出した。 もちろん昨夜一生懸命片付けてた書類片手に。 ******************************************************************************** 適当。 あついのでとけそうですというはなし。 痴話げんかは犬も食いませんが、のろけビーム直撃食らった後輩暗部をウツっぽくしたかもしれません。 ご意見ご感想お気軽にどうぞ。 |