おいかけっこ13.5(適当)



ミナトの置いていったカゴには、みたことがないようなものが入っていた。
…おそらくは茶菓子の類だと思うが、これはどうしたらいいものか。
弾力があり、褐色だからおそらくは焼き菓子だろう。
甘い匂いがする。彼女が好きだったモノもそういえばこんな形をしていた気がする。
とにかく、一緒に入っていた茶葉らしきものがあるから、これと共に出せば間違いはないだろう。
ミナトは無駄を嫌う。術を教えても一度で覚え、使わせてみれば二度目には術の応用までしてみせる。
なら、これは必要なことであるはずだ。
「…これ、か?」
一緒に入っていた缶には異国で茶を意味する単語が読み取れる。
まずはこれをあけなければならないだろう。
「缶は、缶切り、だったか」
クナイであけてはいけないし、チャクラで切るのもいけない。チャクラ刀でも駄目だ。
だが…この缶は四角い。
「術、なら?」
風遁ならある程度の損傷を覚悟すれば出来なくはないだろう。挑戦する価値はある。
さっき火遁で沸かした湯も、もう冷めてしまったかもしれない。
子どもというのは大人の三倍の時間で生きているから、待つ事が苦手だと言われている。急がなくてはならない。
印を組んで確実に目的を達成できるよう集中した。
「風遁」
音消しも兼ねて術を併用したから、破裂音はわずかなものだった。
ようやく缶の上部を切り落とすことはできたが、内容物が軽く、内部に空洞が予想以上に多かったらしい。大分辺りに飛び散ってしまった。
「…掃除は、あとでいいな」
急須らしきものも入っていたから、軽くゆすいでそれを使うことにした。
布でできたなべつかみに似たものまで入っている。これも使えと言うことだろうか。
「ん?」
その正体が分からないモノを検分しようと手にとって見て、メモらしきものが添えてあることに気がついた。
「…なるほど。缶蓋とやらがあったのか」
缶の開け方は…もはや意味を成さないほど破損させてしまったせいで、今のところ無駄になってしまった。
だがどのようにして茶を淹れれば良いのかが、事細かに書かれている。ありがたいことに、布製のなべつかみもどきの使い方も、待機時間もだ。
茶菓子は小さなカゴに入っているからそのまま出していいらしい。銀色の袋も入っていて、缶で失敗したらそれを使えとある。
…術は、やはりまずかっただろうか。
「こちらに、するか」
切り取り口というものがあるらしいので、それを探し、メモにあったとおりに力をこめて引いた。
…なぜか先ほどより盛大に茶葉が飛び散った。
「…このさじで3杯あれば良い…のか。ならばかまわないな」
こんもりと小山を成した茶葉からは、懐かしい匂いがした。
そういえば、彼女が時々こんな匂いの茶を、変わった茶碗に淹れて飲んでいたかもしれない。
「あれは…確か平たかった」
飯茶碗に良く似ていた気がするが、おそらくは別のものだろう。取っ手のようなものがついていた。
普段はあまり気にせず水気が零れなければ適当に使っていたが、客人にそれではまずいだろう。
ましてや、あの子どもはカカシの番だ。
カカシが、もう見つけてきた。それが嬉しくてたまらない。自然と頬が緩む。
「ああ、茶碗が、先だな」
茶碗を探し始めたものの見つからず、結局はミナトのメモにそれも書いてあったことに気付いてようやっと何とか茶を用意した。
見た目だけは、よく彼女を訪れてきたくノ一に出していたものと良く似ている。おそらくはこれで大丈夫だろう。
急いで運ばなくてはならない。大分時間を使ってしまった。
大急ぎで水屋を飛び出した。
そうして運んだ先で、それらは客人の口に入る前に床に転がることになるとは思いもせずに。


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適当。
お台所クラッシャー白い牙。おまけ。
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