「ただいまー」 「おう!カカシ!もーいーくつねーると!節分だぜ!」 「なんか違うだろうが!それにもう当日だ!…で、その格好は…?」 「かわいいだろ!今年は…俺が鬼当番だ!」 「鬼のパンツ…全身タイツなのは寒いからなのか?面もなんかちょっと違うような…?あ、でもそういや去年は…俺いなかったよな?」 「そうそう!だから豆まけなくてさ!…きっと鬼が溜まってると思うんだ…!その辺の物陰とか…その、犬友の腹の下とかにさ…!」 「ひっ!?」 「チッ!気付かれたか!パックンを怯えさせるんじゃない!…パックン!逃げてくれ!」 「すまん!」 「あー!?レアな犬友が!」 「追っかけるんじゃない!…お前がまだ寝てると思ってたからな…任務帰りだからせめて肉でもと思ったのに…!」 「肉ならあるぞー!でも!今日の晩飯は太巻きだ!でっかくて太くて頬張ると苦しいくらいの…」 「分かった。…だが食えるサイズにしとけ」 「ちなみに一気にに全部食わないと駄目だからなー!」 「そういやそんな風習もあったか。…無駄に長くするなよ?」 「あれ?なんでわかったの?」 「やっぱりか!普通のサイズにしろ!」 「ちぇー!…でもまあいっか!カカシにはステキコスチュームの方で…」 「またか!?俺はドレスなんか着ないぞ!」 「ドレスじゃないぞ!今日はこれだ!」 「裃に…たすき?」 「これで気合を入れて豆をまくんだ!あ、ついでにまずは水垢離でお清めだぜ!」 「玄関にも色々置いてあったな。そういえば。随分本格的だが…これもお前のおやじさんか?」 「これは母ちゃんから教わったんだ!」 「ならなんかの儀式なのか…!?おやじさんよりは信用できそうだけど…?教わったってのが怪しいが…何か勘違いとか…!?」 「まあとにかく…カカシのはだけた胸元に、皆が夢中になること間違いナシだな!」 「出かけないぞ…?」 「わかってるって!そう怒るな!まずは食え!」 「もが!?…美味いけど…!本当に分かってるんだろうな!?」 「おうとも!自信作のいわしのてまり寿司だぜ!」 「美味いけどな…そっちじゃない!」 「そうだな!まずは水垢離だよな!」 「…もう、いい。確かに風呂には入りたいし…いろいろ他の事は後だ…!」 「きっちり綺麗にして来いよー!」 「…はぁ…」 ***** 「で。クマなのかこれは?」 「すごいだろう!この…完膚なきまでの鬼具合!」 「鬼って言うか…魔物だな。しかもコイツだけタイツじゃないし!顔料か?変化か?」 「えーっと?アスマ兄ちゃん!どっち?」 「…なんで、毎年…俺が…!」 「秘密みたいだな!」 「…心に深い傷が多いヤツだよなぁ…肌赤くしてキバつけるだけでここまで鬼になりきれるってのも稀有な人材か…?」 「さあ!行くぜ!勝負だ!」 「勝負!?なんだそれ!」 「ふふふふふ…!その枡の中にたっぷり入ってる豆で、俺たちを追い出せたらカカシの勝ちだ!でも出てくまで終わらないからその辺宜しくな!」 「どこをどうよろしくするんだ!…くそっ!」 「お!っと!わっ!さっすがカカシだぜ!」 「ちっ!やっぱりイルカはすばしっこいな!てや!」 「うお!なにしやがる箒頭!」 「うるさい…鬼は、外だ!!!」 「いて!てめ、本気だな!?くっ!」 「…よし。逃げたか。クマは終了だな。残りは…お前だ!」 「わっとっとっとっとっ!さっすっがっ…カカシだな!」 「わぁ!?鬼から攻撃できんのか!?」 「え?しないの?とおちゃんはしてたよ?で、かあちゃんに豆ぶつけられて吊るされてた!」 「お前の親父さんを参考にするな!」 「まあまあ!…こい!カカシ!」 「…逃がすか!」 ***** 「くー…負けか…!」 「なんとか…終わったな…!」 「これで…鬼も…終了だな…!」 「そんなにムキにならなくてもいいだろうが…適当に豆にぶつかって逃げるとか…」 「そんなの鬼追っかける人に悪いだろ!真剣勝負で家庭の平和を勝ち取るもんだってとおちゃんが…」 「…もう、いい。修行だと思えば…!…太巻き食って寝るぞ…」 「そうだな…そこで伸びてるアスマ兄ちゃんも持って帰んないと…」 「変化だったんだな…待ちくたびれたか流れ弾に当たったか…?」 「こうしてみるとアスマ兄ちゃんって才能豊かだよなぁ…!とおちゃんを始め、クマにも鬼にもなれるんだぜ!」 「まずなるべきはまともな上忍だがな。ほら、戻るぞ!」 「おうとも!」 ********************************************************************************* 節分の日の思い出ってことで! 寝ぼけ熊の口には容赦なく太巻きがつっこまれたという…! ではではー!ご意見ご感想など、お気軽にどうぞー! |