「アンタほんっとうに最低だな」 赤が似合う人だ。殴ったのは暴れられたからだけど、こんなに似合うならもうちょっと色々しておけばよかったか。 まだ縛り上げただけだというのに、それだけでこうも俺を誘うのだから流石は俺のために生まれてきた人だ。 「で、それが?」 今更だ。 人でなしだの鬼畜だの、聞き飽きた台詞よりも、もっと酷い言葉が欲しい。この人の本当の言葉が。 こんな言葉に動揺する訳がないことを、この人だって知っているはずだ。 「なんでこんな…!解けこんちくしょう!」 まだ本気じゃなさそうだ。 人の良いただの中忍みたいな顔して、誰よりも戦うのが似合う人なのに。 ま、だからこそ中忍なんだろうけど。 …命が掛かるような戦いにこんな人を何度も出したら戻れなくなる。 この人は誰よりも冷静に戦うくせに、簡単に狂うに違いない。 それとも誰かを守るために己を犠牲にするか。…どっちにしろそう長くはないだろう。 「えー駄目でしょ。わかってるんじゃないの?何されるか」 経験済みの癖に。 …まああの時はお互いに顔なんて知らなかっただろうけど、俺はすぐに分かったのに。 チャクラなんかいくら誤魔化しても、この人の瞳が何より雄弁に証明する。 この人以外に見たことがない輝き。 どこまでも濁らないその鋭さに惚れて、焦れて、強引に手に入れたと思ったのに、あっさり全部振り捨てて逃げたのはアンタだ。 「わかんねぇよ…!アンタみたいなキチガイのことなんて少しも」 ああ、この目だ。 何もかもを切り裂くように鋭くて、そのくせ怪我でもしようものならすぐに潤んで歪む。 そんなときはいつだって悪態つきで手当てしてくれたこの人を、天幕に引っ張り込むのは簡単だった。 だから油断した。逃げるなんて思わなかった。 あれだけ血にまみれて悦んでおきながら…普通の男の顔をして、平気で過ごせるなんて少しも。 「俺にもアンタわかりません。おあいこですね?ってことで…しましょ?」 支給服は脱がせるのが面倒だ。ベストごと切り裂けばいいだろう。 そうしてまた纏う赤を増やした男は、きっと美しいに違いない。 「アンタなんて死んじまえ」 苦々しげに吐き捨てたくせに、体はすっかり抵抗を捨てた。 こういう所も好きだ。抵抗しても適わないと知っているくせに、口ではこうして毒を吐く。 それはまるで睦言だ。 「一杯死のうよ。俺と。今日からずーっとね」 絶頂は小さな死だといったのは誰だったか。 食らい尽くすために突き立てた牙は、今度こそ獲物を逃がさないだろう。 久しぶりに触れる肌の熱にうっとりした。 これから全部が俺のものになるのだと、そう確信して。 ********************************************************************************* 適当。 けだものかかしてきなあれ。いるかのぎゃくしゅう編とかできたら。でもそのまえに虫おわってないとです ご意見ご感想お気軽にどうぞー |