食い尽くす(適当)


前のお話はこれ⇒侵入者の続き。



「っく…!」
四肢の自由は全ての感覚を殺すことに使った。声を殺すために指を噛み、目を閉ざし、できうるならば呼吸さえも止めたいとさえ思った。
抵抗してあの日のように薬を使われるよりは、傍若無人に押し入ってくるモノなど意識の中から切り離してしまう方がずっとましだ。自分が自分じゃなくなるあの感覚は、忍にとって殺されるより苦痛だ。…たとえ、それを言い訳にできないんだとしても。
体も、心も、殺す術は心得ている。与えられる刺激に反射的に反応したとしても、全て拷問だと思えばいい。…興奮した男がそれを許すかどうかはわからなかったが。
「勃ってる」
 玩具のようにもてあそばれているソレに、熱く滑るものが触れる。
「ッ!」
 口、か。そんな行為をする必要などない地位にあるくせに、どうして。
 答えなど分かるはずもない。…知る必要もない。
 いつか飽きていなくなる日まで、耐えることしかできないのだから。
「ん、でちゃいそう?」
「…ぅッ…!」
 応えてなどやらない。目を開けたりもしない。見てしまえばきっと抗えなくなる。
 あの色違いの瞳になにもかもを飲まれて。
「あ、おっきくなった。ふふ」
 思い出すだけで反応する体は、どう抗おうともこの男を忘れることはできないのかもしれない。恐怖よりも諦めを持ってそれを受け入れた。
 いつか、このイキモノが俺に飽きる日がきたら、記憶操作でもしてもらおうか。それともそのときがきたら消されるだろうか。
 里にとって至上の兵器であるこの男を守るために。
「ぁ…!っぅ!」
 達しそうになったそれを押し留めたのは、滴った体液に塗らされた穴に異物を押し込まれたからだった。
「キツイ、ね。間開いちゃったから。…俺以外、誰も触ってないですもんね?」
 確認のようでいて脅しのようでもある言葉も耳を素通りした。陶酔しきった様子で人の体を好きにする男が、狭く受け入れるために作られていない器官を無理矢理こじ開ける。
 細いそれが印を結ぶときはすばらしく早く動くことを知っていた。こんな行為の最中に思い出すことになるとは思わなかったが。
 手際ばかり良いくせにろくな言葉を紡げないコイツの頭は、どうかしてるに違いない。
 なんで、俺なんだ。他にいるだろう?
 そう思うのに否定する自分もいる。
 これは、選んだら二度と変われないイキモノなんだと、どこかで理解してしまっているから。一度手に入れてしまえば囲い込んでしまうから、いつか飽きる日を待つ意味なんてないことも。
 その必死さで、躊躇いのなさで、忍として培った全てを賭けて、人として未成熟な魂を受け入れろと縋りつく。
 こっちにそんな余裕なんてあるわけがないってことなどおかまいなしに。
「っうー…ッ!」
「すき。すきです」
 胸の上に乗る重さは、ふわふわした感触からして頭だろう。手触りだけはいいんだ。その柔らかさに騙されたんじゃないかと思うことがあるくらいにな。
獣のように匂いでもつけるみたいに摺り寄せて、その声に混じる懇願の色を、悲鳴染みたそれを頭から追い出すこともできない。
 うるさい。こんなことしてるくせに被害者ぶりやがって。畜生。
「…やめろ」
 それが行為に対してなのか、それともその傍若無人に人を好きにするくせに、必死で俺の関心を請うことに対してなのか、自分でもわからなかった。
 それを聞く事等ないだろうと分かっていて言ったのは…それがコレに付け入らせる隙を作ることだと気づいていたからだろうか。
「やめません。ねぇ。お願い。好き」
 なんて身勝手なヤツだ。どうせ諦める気なんてないだろうが。そのくせ捨て身で、あっさり追い出されたくせに、少しずつ弱っていくようなイキモノ、俺の手には余る。
 コイツだって理解してるだろうに。
 それでもこの男は、俺以外を選ばない。…いや、選べないのか。
 そんなこと、気づきたくなんかなかったのに。捨てられない重荷を背負うのは、もうごめんだってのに、俺はきっと。
「…知るか」
 吐き出せたのはたったそれだけ。
 後は全部闇の中だ。
「…うん」
 だからそのとき、男がどんな顔をしたのかなんて、俺は知らない。
 分かるのは…過敏になった肌に生ぬるい液体が落ちてきたってことと、どこか剣呑だった気配が緩んだことくらいだった。
 

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適当。
第8段階。食い尽くされたのはさてどっちなのか。

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