こたつむり(適当)

こたつむりが今日も俺の部屋にのさばっているこの現状。
いったいどうしてくれようか。
「イルカせんせーはやくー」
「早くったって…あんたも手伝え!」
上忍様に比べればたいしたことないと言われれば確かにそれまでだが、俺だって今日もアカデミーも受け付けもこなしてやっと帰ってきたばかりだ。
それを、寝転がってえらそうに飯の催促かと思うと腹が立ったのでみかんを投げつけてやったのだが、コタツにいたはずの上忍はそれを片手に俺に抱きついてきた。
「一緒じゃないと寒いですー」
なんて、頭の悪いことを言いながら。
コタツは寒い寒いと煩い上忍のためじゃなく、俺がくつろぐために設置したものだ。
だがいつの間にか俺のベッドの上を住処にしていたはずの上忍は、それを見つけるや否や質問攻めにした挙句、今度はその居をここに移すことにしたらしい。
転寝するなといい置いても「転寝じゃなくて本気で寝てます!」なんていってそこから出ようとしないから、諦めて放っておいたのだが。
「くっついてないと、寒い」
縋りつく手が求める温もりは、本当なら…女に求めるべきだろうに。
いや、それとも俺は親代わりなのか。
親を早くに失うと、温もりの求め方が下手になるってあたりは身をもって理解してはいるけれど。
「…飯、作れないでしょうが」
振り払うために伸ばした手は、男にからめとられて口付けを落とされた。
「ご飯よりイルカ先生が食べたい」
溜息は興奮を抑えるためのものか。
耳元を擽る熱い吐息に眩暈がしそうだ。
「俺は、飯を食います。途中で潰れてもいいのか?」
空腹は敵だ。それになにより、この男は任務帰りで碌なものを食べていないだろう。
淫行に励むより、すべきことがあるはずだ。
「潰れる…あー抱き潰しちゃいたいけど先生困るもんねぇ?」
くすくす笑いの上忍の体は、コタツに入っていたせいか温かい。
「飯食って、風呂はいって、それからならいいですよ」
そのための休暇だ。なんて言ったら、この男が調子に乗りそうだから言わないけど。
「イルカせんせー発情期?うれしい!」
頭の悪いことを言う男には、拳骨を落とし、鍋の番を命じておいた。
コタツでゆっくり…なんて夢は、しばらく叶えられそうにない。
「はぁ…」
「大丈夫ですよ!コタツプレイとか、たーっぷりしてあげる。なんならお風呂場でもしましょうね!」
「いいから鍋ちゃんと見てなさい!」
「はーい!」
ああこの馬鹿、どうしてくれよう。
勝手に人の懐にもぐりこみやがって腹が立つ。
…もう、二度と手放せないじゃないか。どうせいつかよそへいってしまうのに。
「はぁ…」
「いろっぽーい」
「うるせー」
「好き、大好き!」
「鍋見てろっつったろ!」
「はーい!」
いつまで続くか分からない関係を嘆くより、今は…この日常に溺れてみようか。
コタツよりはずっと、この男と過ごす時間の方が温かいから。


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てきとうー
後ろ向き中忍と、逃がさないようにじわじわその日常を侵食する上忍。
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