ころしたいほどあいしてる

真っ直ぐすぎる笑顔、それに瞳。

何よりその心が、俺を捕らえて離さない。

「だからアナタを」

殺したいほど愛してる。

*****

これが告白だというなら、世のカップルが成立するたびにとんでもないことになっているだろう。

机に突き立てられたクナイは、チャクラを練りこんであったわけでもないのに真っ直ぐに深く沈みこんでいて、この人の実力と…そして本気をうかがわせる。

アカデミーの備品だ。それにアカデミー教師となってから、ずっと使ってきて愛着もある。
それなのに、見事に大穴が空いてしまっている。

「なんてことするんですか…」

「んー?愛の告白」

ヘラヘラと笑っている姿からは想像も出来ない本気の殺気と、まがまがしいまでのチャクラ。
これがいつものことになるなんて、最初は想像もしなかった。

「えーっと。就業時間中ですので、プライベートな用件は後ほど伺います。お引取り下さい」

これだけのことをしでかしながら、男は我冠せずとばかりに俺の言葉を無視した。

「ねぇ。そろそろ返事くれる気になった?」

このセリフも何度聞いただろう?

「…何度も言いましたが、俺は!いきなり!…殺気と武器ぶつけてくるような人と恋人にはなれません!」

大体にして、こんなのを告白と認める気はない。
だって。それじゃ…。

「そ?じゃ、また来るね?」

いきなりこうやって武器を…殺意を向けるくせに手は出さない。

埒が明かない。

「アンタ俺をどうしたいんです?」

今日こそは白状させる。

その決意を込めて真っ直ぐに見つめ返したその先で、男が笑った。

「ぐちゃぐちゃにしたい。俺の入れて喘がせて、とろっとろにして、そしたら、ずっと離れられないでしょ?」

「なっ!?」

残業中で生徒は残っていないとはいえ、こんなとんでもない発言を許せるはずがない。
言葉を失った俺に、男は口布を下げてにやりと笑った。

「真っ直ぐで綺麗なイルカせんせ。ねぇ。その目で俺を見ないで。でも離れないで」

矛盾する言葉。そして矛盾する行動。

「好き。でも同じくらいきっとアンタが憎い。綺麗で、真っ直ぐすぎるアンタが」

少しずつ詰められる距離と、苦痛の中に陶酔を混じりこませたその表情。

「でも欲しい。…だから、俺のモノになって」

懇願は子どもじみていて、行動は子どもそのものだ。

「アンタ、馬鹿だったんですね…」

思わず。そう言っていた。

だってそうだろう?好きなら好きといえばいい。綺麗かどうか触れもしないで分かるつもりでいるこの男が、本当に百戦錬磨と謳われているのか疑問にさえ思う。

俺が、何も感じないでいたなんて思ってるんだろうか?あれだけ…激しい感情をぶつけられて。

男は俺の言葉に一瞬虚を突かれたようだ。
その間抜けな顔を見ると、この男への怒りよりもずっと強く、愛おしさが湧いてくるから不思議だ。

「まあ、バカは俺もですね」

これはもう、あきらめるしかないだろう?

すっと口付けると、すぐさま正気に返って本能のままに俺を貪り始めた。

殺したいなんて。…もうとっくに殺されていたのに。
真っ正直に告白してきたら流石に分からないが、このわがままで歪んだ愛に、俺はもう堕ちてしまった。

後はただ、白状するのを待っていただけ。

存外あっさりと堕ちて来た男にメロメロにとろかされて、でも男も必死なのが嬉しくて。

これからは俺も蕩けさせてやろうとほくそ笑んだのだった。


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適当小話。
これもやんかかだろうか?
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