鯉恋ものがたり(あくまで子イルカ)

「…カカシ」
「なんだ?五月人形もどきなら今ちゃんと封印されてるかどうか確認…」
「俺、カカシに話があるんだ」
「どうした?何かあったのか?…まさかまた俺の忍犬になんか…!?それともジジイか!?」
「ねぇ、一緒に来てくれる?」
「…どこにだ?」
「その、ちょっと」
「さっきからなんなんだ!さっさと言え!なにやらかした!?」
「…こいのぼりの試作品がちょっとなー?」
「ちょっとって…!?去年も妙な術かけてどっかいっちゃったって話だっただろ!?結局忍犬たちも追いかけ損ねたし…」
「そうそう!それがさー?ちょっとお出かけ中にすっごいことになってたみたいなんだよ!さっすがこいのぼりエクセレント!」
「喜ぶな!被害が出たのか!?」
「被害って言うか…うーん?」
「悩んでる場合か!状況を説明しろ!」
「えーっと!モテモテかな!」
「そんなんでわかるかー!こいのぼりがもてもてってどういうことだ!?」
「え?だからさ、モテモテなんだよ!」
「意味が分からん…!」
「まあいいから、ちょっと着いて来てよ!すっごいんだぜ!」
「喜んでどうする!全く…!とりあえず着いて行けばいいのか…?」
「おうとも!中々楽しいぞ!」
「欠片も楽しい予感がしないんだが…!?」
「あ、でも、そーっとな?そーっと行かないと多分逃げちゃうから」
「…妙な術かけるお前が悪いんだろうが!」
「ほらほら、静かに!」
「く…っ!とりあえず被害状況を把握してからだ…!」
*****
「こ、これ…!?」
「すごいだろ!愛と自由の旅に出た結果、そこらじゅうでで恋を芽生えさせたって感じだよな!」
「鯉って遡上する魚じゃなかったよな…!?いやそもそもこいのぼりだし!」
「赤、青、黒…金色とか桃色とかもいるな!うんうん!中々のモテ男っぷりだ!」
「三代目呼んでこないと…!どうやったんだ!?この術!空一杯のこいのぼりなんて…!しかも全部勝手に動いてるし!」
「あ!こらカカシ!あんまり吼えると逃げちゃうだろ!」
「…ぅぅ…!確かにちょっとざわざわしてるが…!お前のかけた術って感染るのか!?」
「うーん?どうだろう?父ちゃんが作ったヤツを更にちょこっと気まぐれ風味に改造してみたやつだからなぁ?」
「まてまてまて!?そんな適当な術使ったのか!?あれほど術は慎重に使えと…!」
「大発明!だったみたいだよな!」
「目ぇキラキラさせてポーズ決めてる場合か!これもしかしなくても里中のこいのぼりが集結してるだろ!あきらかに!」
「うーんと?多分里中っていうか、火の国一周愛の旅の結果だな!ほらあれ!カッコイイ紋章つきだぜ!」
「…サイズ的に一般家庭のじゃないのが混ざってる!?あの紋って、もしかして火の国の大名のじゃ…!?」
「いやー!しっかし子どもの日に間に合ってよかったな!あとはこれを一網打尽にする術でも…」
「お前はもうなにもするんじゃない!!!」
「まあまあそう吼えるなって!こいのぼりエクセレントの集団が困ってるだろ?」
「俺の方が困ってるわ!…とりあえず俺の部下に捕縛系が得意なのと結界が得意なのがいるから呼んでこないとか…!?」
「おお!がんばれカカシー!よろっちの方は俺が出しとくから!」
「あんなもんは永久封印だって言っただろうが!」
「えー?でもそろそろメイドさん特集じゃ飽きたんじゃないかなぁ?今年はやっぱりわいるどな魅力溢れる肉食系…」
「三代目の蔵書なんかどうでもいい!とにかくもうお前はじっとしてろ!」
「良く吼えるなぁ?腹減ってるんだろ?今すぐ飯作ってくるからー!おやつはこれな!ふわふわつくね団子だぜ!レンコン入り!」
「もご!?…美味い…うぅ…!」
「ほら泣くなって!すぐだからな?じゃ!ちょっと待ってろよー!」
「もうなにがなんだか…とりあえずイルカが飯作ってる間に全部確保しないと…!」


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空一面の一大事に、カカチが呼ぶまでもなく暗部総出でなんとかしたとかしなかったとか。
ドンファンなもともとのこいのぼりエクセレントは凄まじい逃げっぷりを見せたとか見せなかったとか…!
被害は甚大だという話でお送りしました!!!

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